記憶冷凍
試験の為に夜遅くまで暗記したのに朝になったらすーっかり忘れていて悔しい〜思いをしたなんてことは誰にでもありますよね〜。
今の私がそう。あるある〜……なんて言っている場合ではない。毎晩夜中まで勉強してるのに次の日になるとすっかり抜けているんだ。
今度の試験がダメだったらもう次はないっていうのに。くそっ!
ふぅ……。熱くなっても仕方がない。コタツで少しのぼせたかな。アイスでも食べて一休みするとしよう。
冷蔵庫は一階にある。廊下に出ると寒いはずの温度が今は心地いい。火照った身体をクールダウンしてくれる。
台所奥の冷蔵庫。冷凍室はちょうど頭の高さだ。扉を開けると室温よりも更に低い冷気。いい……今の私に必要なのはやはり冷え。よし、頭を突っ込んでみよう。
「あぁ……なんか、冷やされてめちゃめちゃ記憶が定着している気がする! そういえば肉体とか遺伝子とか冷凍して保存するよな……そうだ!」
頭の回転も早くなっているのを感じる。パソコンも冷やすといいって言うもんな。
私は家の外に出ると、高く積もっている雪の塊に頭から突っ込んだ。
「おぉー! 冷える〜! ん〜、でも、なんかボーッとしてきた……ねむい。そうか、記憶が『保存』されてるんだ。だから、今は、頭から抜けてるってことかー。アッ、アッ、今って何してるんだっけ? あれっ、合格通知が目の前に」
爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!