安いパックの豚バラ肉は血汁が滲んでいるような気がしてならない。今朝もそんな夢を見たせいで少し気持ちが悪かった。はやく焼いてしまいたい。菜箸もフライパンも家にひとつしかないからそれを使う。震えているような指先で油を引いて火をつけて、やっとのことでラップを外した。フライパンにどさっと肉が落ちる瞬間によろける。入れ物でしかない発泡スチロールのトレイが急に軽くなるのは分かっているのに、バランスがとれない。ふと温まってきたらしい肉が不服そうな色をしてわたしを見つめた。多分弱火でじわじわ
