超個人的2022年最強プレイリスト20(MIS.W57代アドカレ企画12月13日)

気の赴くまま流るるまま、今年もさまざまな音楽を聴いてきました。今回は私が今年初めて聴いた曲の中でも選りすぐりの曲を20曲紹介していきます。自分が本年中に初めて出会った曲orアーティストを揃えていますが、リリースされた年はかなりばらついていますご了承願います。

Relive / toconoma

4人組インストゥルメンタルバンド、toconomaが2014年にリリースした2ndアルバム『TENT』収録楽曲。

バチバチにカッティングの効いたギターリフのイントロに始まり、緻密なメロディのキーボード、自在に動きながらリズムの核をつくるベースと安定したドラムが最高にマッチしていて、どこをとっても気持ちいい。普段からジャズやインスト楽曲を聴かない人にこそ聴いてほしいと思える一曲。

Cynical city / 新東京

2021年結成、新進気鋭のバンド、新東京のデビューシングル曲。

関ジャニの2021年ベスト楽曲を紹介する回でYaffleが紹介してたのをきっかけに聴き始めたんですが、出す曲出す曲もれなくブッ刺さりまくってビビってる。ちなみにメンバー全員大学生で、ドラムスを担当しているのは早稲田の創造理工の先輩らしい。こわすぎ。

この『Cynical City』は、超絶技巧でふんだんに味付けされていながら、流行どころのいわゆる丸サ進行にしっかり収まってくれる安心感がある。AメロBメロのトリッキーなリズムパターンから一転、サビで開ける瞬間の心地よさが異常。どこで聴いても「ここ」が新しい東京だ。

ストラトキャスター・シーサイド / Suspended 4th

名古屋市栄を中心として積極的に路上ライブも行っている、4人組ロックバンドSuspended 4thの楽曲。

「イントロの長い楽曲は流行らない」とかいうどこぞの音楽評論家の知ったような口ぶりを撥ね除けるような、イントロからのギターの展開がアツい。この熱量で繰り出されるイントロは、歌い出しよりも歌い出しだ。

最新アルバム収録の『Veneztia』は打って変わって叙情的なサウンドの楽曲なのでギャップに酔いしれたい方は是非。

ファンファーレがきこえる / Base Ball Bear

今年で結成21周年になるスリーピースロックバンド、Base Ball Bear、略して「ベボベ」の16thシングル表題曲。凝ったコードワークと一筋縄ではいかない歌詞が特徴のベボベの真骨頂。

サビに向かって計算され尽くしたAメロ・Bメロから、一気に開けて短くリフレインする展開が最高。ラスサビの「変えたいと思っ!わっ!ないっ!か」のハマり具合が気持ち良すぎてドーパミンドバドバ。変えてやれ、3分後の世界。

北上のススメ / ネクライトーキー

ボカロP経験のある人がバンドをやると、有形ランペイジ然りヨルシカ然りでどうしてもマニアックで内向的なバンドになりがちで、それはそれで個人的にはとっても好きなんだけど、ネクライトーキーは真正面からポップスをしていて非常に良い。歌詞の端々に潜ませた毒っ気と、Vo.もっさの丸々っとした歌声がクセになって頭から離れない。

特に『北上のススメ』は、全体的にコロコロとしたサウンドで耳を掴みつつ、降参のメタファーとして「北へ向かう」というワードチョイスが絶妙。

できっこないをやらなくちゃ / サンボマスター

忘れもしない2月某日の某国立大学入試の当日。これ以上ないような緊張感と不安感に苛まれながらキャンパスの最寄駅を降り、会場へ向かっていた時に聴いていたのがこの曲。徒歩7分の道のりの間、気付けば大粒の涙が溢れていた。普段なら所謂「背中を押してくれる歌詞」をあまり好まなかったし、生半可な「応援ソング」であれば興醒めしていたところだっただろう。この曲の歌詞と音が持つパワーは、極限まで切り詰めた情緒を刺激するのに十分だった。

今思えばそんな精神状態で良い結果が返ってくるなど到底考えられないのは確かだが、この曲を聴いたあの時の涙を誇りに思い、一生涯忘れまいと心に誓った。

春を告げる /  Pastel*Palettes

バンドリ!ガールズバンドパーティーのアプリサービス開始5周年を記念したカバー楽曲追加キャンペーンの一環として、2022年3月13日にゲームサイズが公開されたこの曲。yamaの楽曲『春を告げる』をパスパレのボーカル丸山彩を演じる前島亜美がカバーしている。

原曲が真夜中2時ならばこちらは空が少し明るんだ朝5時といったところか。Aメロで鳴り続けるシンセのコロコロした音が最高潮に可愛い。

Make Debut! / ウマ娘 プリティーダービー

2021年にアプリ版がリリースされて以来快進撃を続けるプロジェクト、「ウマ娘 プリティーダービー」。2018年放映のアニメ1期オープニングがこの曲である。新しいプロジェクトの始まりとしてふさわしい爽やかな一曲になっている。

うちでは朝の番組はテレ朝系の「グッドモーニング」を見ていまして、その天気予報のコーナーでかかっていたんですが、今年自分がウマ娘を始めてからこの曲の存在に気づいたという思い出があったりします。依田さんありがとう。

命を背負って / Xenoblade3

ゼノブレイドシリーズには作品ごとにストーリームービー中の盛り上がる場面に使われる楽曲がある。初代の『敵との対峙』、2の『Counterattack!』の流れを汲むこの曲。

6人の主人公が、お互いの身体を融合させるインタリンクという能力を得て、戦いを以て安定化させられている世界に立ち向かっていくというストーリーを持つ本作で、6人全員がインタリンクできるようになるシーンで流れる一曲。リズムの緩急の付け方、メロディ担当楽器のリレーが前2作よりも圧倒的にパワーアップされていてまさに最強。また前2作ではこの系統の楽曲が乱発されていて若干食傷ぎみだったが、今回は出てくるシーンが少ないことで却って印象深い楽曲になった。
未プレイの方は是非。

バトロワ・ゲームズ / ポルノグラフィティ

最新アルバム『暁』収録曲。

デビューから23年J-POPの表舞台に立ち続けながらも、ありとあらゆる音楽を吸収して己がのものにしてしまうポルノグラフィティの真骨頂たる楽曲。ラジオでは「荒野行動やPUBGみたいなゲームを題材に歌詞を…」とか話してたけど冷静に考えて着眼点がぶっ飛んでる。電脳的な音作りの曲に対して、「ゲームのピコピコした曲みたいだ」と思うのが一般人なら、「バトルロワイヤルゲームは現代社会の縮図」と切り込むのが我らが新藤晴一なのである。

終始無機的な音がなり続けるのに対して、歌詞や歌声はまさに人間味そのもの。サビ終わりのタイトル回収の落ちメロの破壊力は必聴。

MELODY / 岡野昭仁&井口理

ポルノグラフィティのボーカル岡野昭仁によるソロプロジェクト「歌を抱えて、歩いていく」の第4弾楽曲として発表されたこの曲。

まずは、極限まで洗練されまくったサウンドがエグい。普通のテンポの当て方から絶妙にずらすことで、どこにも解決せずに絶えず違和感を起こし続ける演奏が聴く者を惹き込んで離さない。イントロのスネアだけで即座にこの違和感を演出する演奏スキルは圧巻。

歌詞も、「音楽」というものそのものに魅惑されてしまった感情を、King Gnu井口理とポルノグラフィティ岡野昭仁歌唱力の化身のような2人が歌い上げることで完成するという変態仕様。

これが単なる記念碑的な楽曲ではなく、2人のボーカリストと曲を担当したBREIMENという天才集団による確信犯的な犯行であることは間違いない。

フライディ・チャイナタウン / 泰葉

YouTubeなんかでたまに流れてくる、Goose HouseやらNightcoreアレンジといった類の、「原曲の良さを潰してまでアンタは何を伝えたいんだ?」みたいなのが昔からどうも苦手で、「日本の80年代のシティポップがLAのクラブで流行ってる」っていうのを聞いた時もどうせそういう類のだと思っていた。テンポとかキーを適当に変えまくって、オケの楽器は総とっかえするくせにコードやらメロディはパクって、ボーカルだけ抽出してまんま出しみたいなやつだろうと。

もちろんそういう受け入れ方でも悪くはないんでしょうけど、実際の動画を見る限り全くもってそんなことはなく、むしろ心からこの曲を楽しんでいるような気がして、こちらの方がひねくれていたのを恥じてしまうほどだった。

異世界混合大舞踏会(feat. おばけ) / 星野源

映画『ゴーストブック おばけずかん』主題歌。

『創造』や『Cube』の時もそうだったけど、タイアップの曲を書いた時の星野源の己の出し方は異次元。どん兵衛食ってへらへらしたりMステで「どーーーーーもーーーー!!!!星野源でーーーーーす!!」とか毎回言ってた爽やかサブカル陰キャが星野源だと思っているならそれは完全に罠だ。シリアルサイコパス的な彼の側面の方がより芯に近く、より「星野源」なのだ。

和製ホラーのオチにありがちな「結局、一番怖いのは人間なんですよ……」を星野源が言うとここまで説得力があるのかと思わされた。踊りがイマイチ流行らなかったのがかわいそうなので誰かTik Tokにでも上げてやってください。

それでは、 / 藤井風

あまりにも美しく優しい響きのイントロから、ぴたりと音が止んで続く歌い出し

「あ…」

この第一声で全身がとろけた。聴いてるだけで心がひたすら浄化されていくような感覚に陥るこの曲。自分が死んだら葬式でこの曲かけてくれ。多分四十九日待たずに成仏できる。

この曲は2ndアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』全11曲中の9曲目に位置し、この後続くのは名曲中の名曲『"青春病"』『旅路』である。死ぬってこんなん。

More One Night / チト(cv.水瀬いのり), ユーリ(cv.久保ユリカ)

アニメ『少女終末旅行』エンディングテーマ。

度重なる戦争で文明が崩壊してしまった世界を、チト・ユーリの二人が旅をする、というストーリー。もうどうしようにもない世界観で二人が健気に生き延びる姿が心に訴えかけてくる作品だ。

曲調としてはアニソンらしくPopでキャッチーだけれど、どこか切なさを帯びていてとても良い。終わるまでは終わらないんだよ人間ってのは。

月の椀 / サカナクション

最新アルバム「アダプト」収録楽曲。

2020年9月から放映されたトヨタのCMでサビの部分だけ公開してから一年半を経た2022年3月にフルバージョンが公開されるという焦らしプレイ。もう「気になりダンス」の方が名前として通るだろという頃にやっと判明した正式曲名が「月の椀」である。カッコよすぎ。

サカナクションの楽曲のなかでも『アイデンティティ』『陽炎』の流れを汲むオリエンタルな雰囲気で最高にアガる一曲。現在公式YouTubeチャンネルにて週替わりで過去のライブ映像が無料公開中なので是非。

ミックスナッツ/Official髭男dism

もはや説明不要。

アニメやドラマの主題歌って、「どれだけ作品に寄り添えているか」というのが一つの評価の指標としてあると思うんですが、この曲は寄り添い方が尋常じゃない。「アーニャはピーナッツ好き」→「ミックスナッツの中でピーナッツだけ木の実じゃない」→「フォージャー家の環境」の連想ゲームの末端が「幸せに胃がもたれる」なのいい意味で最高に狂ってる。作品に対するラブコールとしてこれほどない決定版だ。SPY×FAMILYが主題歌1話使い捨ての方のアニメじゃなくて本当によかった。

あやとりうた / くりたにか

琴葉姉妹が童謡的なメロディに乗せて交互に歌う、シンプルな楽曲。あやとりうたという名が示す通り、左下に向かう歌詞と右下に向かう歌詞がお互いの歌詞の文字を取り合って進むという、映像表現の発想として唯一無二のアイデアが光る。バカリズムのフリップ芸をボカロ曲にしたらこんな感じ。多分新しいいろは歌作ってボカロ曲にできる。

1分にも満たない間に36もの文字が共有され、最終的にタイトルを回収する構成力が見事。もう一回記憶を消して聴きたい曲ナンバーワン。

黒塗り世界宛て書簡 / フロクロ(Frog96)

「歌詞のところどころを規制音で隠して音楽の一つとしてしまう」という発想、一体どんなもの食ってたら思いつくんでしょうか。毎日ヤクルト1000でも飲めばいいですか。随所にさまざまな歌詞やフレーズの引用を用いた上で、アイデンティティの暴力で殴りつけてくる怪作。『ことばのおばけがまどからみている』『ただ選択があった』を初めて見た時にも感じたが、音楽と映像を一人で完結させるボカロPという存在そのものに正解を突きつけるのがフロクロという存在なのだ。

Golden Forest / bohemianvoodoo

4人組インストゥルメンタルバンド、bohemianvoodooによる楽曲。

イントロからおよそ二つのモチーフだけを行ったり来たり用いて曲が展開されているが、その展開がいちいち格好いい。特にアコギとピアノがユニゾンするパートは絶品。鬼に金棒、白ごはんに佃煮、春日に若林、の次くらいに最強の組み合わせだ。

聞いてるだけでオシャレな人間になったつもりになれる曲が好きなら絶対ハマる。是非。

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