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取締役候補者・竹内真さんに聞く、企業価値最大化のための社外取締役の役割

2021年9月の取締役会で、ツクルバは経営体制及びコーポレートガバナンスの強化を目的に、ビジョナル株式会社取締役CTOの竹内真さんを新たな社外取締役候補者として選任しました。

2021年10月に行われる株主総会で株主のみなさまからの承認を経て社外取締役に選任されますが、それに先立ち、本noteでは、竹内さんがツクルバに感じるポテンシャル、企業価値最大化実現のための社外取締役としての自らの役割をどうお考えか、お話を伺います。

プロフィール
竹内 真/Takeuchi Shin
2001年、電気通信大学情報工学科を卒業後、富士ソフト株式会社に入社し、主に官公庁や大手通信会社向けのシステム開発に従事。2007年、株式会社リクルートにて全社共通基盤フレームワーク開発などに従事し、同時にSeasarプロジェクト内でOSS活動も開始。2008年、株式会社レイハウオリを創業。その後、ビズリーチの創業準備期に参画し、取締役CTOに就任。2020年2月、ビジョナル株式会社CTOに就任。社外活動として一般社団法人日本CTO協会理事を務める。

ポテンシャルが大きい中古不動産市場で第一人者となることへの期待

村上:今日はよろしくお願いします。今回、ツクルバの社外取締役候補者に選任させていただきました。社外取締役は、株主視点での経営の意思決定や取締役会を監督することが役割となります。成長ベンチャーにおいては積極的な先行投資と事業の本質的成長、そして規律の両立が必要だと感じており、そこにツクルバはどのように真摯に向き合うのか、企業価値最大化をどう実現するのか、この辺りお話をできればと存じます。

まずは、ツクルバの事業について、竹内さんは率直にどのように考えていますか?

竹内:ツクルバの事業ドメインである不動産市場自体が巨大でかつ分散しているマーケットなので、非常にポテンシャルがあると思っています。人間が多く介在してブラックボックス化している市場はIT化の余地があります。そういう意味で、不動産業界のDXは世界観が大きく、面白いと思います。

その中でも、中古不動産市場は必然的に拡大していくマーケットです。ですので、このタイミングでこの市場を大きく取りに行く、という点で非常に期待できるビジネスだと思います。リノベーションという切り口からスタートし、そこで風穴を開けて第一人者となって中古不動産市場で横に広げていってマーケットを取りに行けたら理想的ではないかと思います。

現在は、中古の不動産の買い替えはまだ当たり前になっていません。しかし、人生100年時代といわれるなか、30歳で家を購入して70年住むということを考えると3回、4回買い替えるということも当たり前になり、流動性はますます上がっていくと考えられます。

不動産市場におけるテクノロジーのポテンシャル

村上:不動産市場におけるDXは面白そうとのことですが、不動産市場におけるテクノロジー活用のポテンシャルについてどう思いますか?

竹内:不動産に限らず、転職なども含めたライフイベントに伴うビジネスについては、これまでは一つのトランザクションに向けてビジネスを行ってきました。しかし、今後は、これが一生に1回から3回、4回、5回と増えていき、ライフタイムバリュー*(「LTV」)が上がっていくと思います。そうすると、「顧客とつながり続けられるか」ということが重要になります。このとき、インターネットを用いると低コストで顧客とやわらかい接点を保ち続けていくことが可能になります。

家でいえば、買う、メンテナンスする、トラブルに対処する、ライフステージの変化によりまた売るなど、つながり続けることによって顧客と企業のお互いにとって良いことがあります。

インターネットの力を使ってつながり続けていくことで、「人生を通してツクルバと住まいを共にする」という文化をつくることができると思います。そこまでいったら、時代の勝者になれるのではないでしょうか。

*顧客生涯価値のことを指し、ある顧客から生涯に渡って得られる利益を意味します。

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Visionalと共通する「流動性」へのアプローチ

村上:ライフイベントに伴うビジネスへのツクルバのアプローチについて、竹内さんが取締役CTOを務めるVisionalのアプローチと共通するところはありますか?

竹内:あると思います。転職市場では、以前は一生の間に転職を1回するかどうかというような状態でした。しかしもっと雇用が流動化して3回、4回、5回と転職するようになり、優秀な人がよりマーケットが拡大しているところへ転職していくことをVisionalの事業を通じて支えることは、日本の国力強化につながると信じています。

ツクルバも、能動的に、いい物件、いい暮らしを中古不動産市場の中で創出していくことによって、家の購入が一生に一度の買い物ではなくなり、流動性が増していくというイメージがあります。このイメージは、転職市場と似ていると思います。

竹内:さらに、不動産市場は転職市場よりも圧倒的に巨大なマーケットです。ここで、流動化を促していくことは非常に面白味があります。そして、自分がVisionalで培ってきた経験は、ここで活きてくると思います。

不動産市場で組織としてテクノロジーを活用する強み

村上:ビズリーチの創業初期からテクノロジー組織の立ち上げを行い、テクノロジーのバックグラウンドを活かして経営に携わってきた経験から、不動産市場において、ツクルバが組織としてテクノロジーを活用していく利点についてどう思いますか?

竹内:不動産市場は特殊な市場だと思います。細分化されていて、「企業」というよりも、「担当者」レベルで善し悪しが決まる面が大きいように感じますし、組織の力を使って戦っている会社は多くない印象です。逆にそのような状況にあるからこそ、組織としてテクノロジーの力を活用して戦うというのは、大きな武器になるのではないでしょうか。

村上:将来的には、インターネットから手軽に良質な情報を取れるということのみならず、ワンクリックで不動産売買ができるような世界観をつくっていきたいと考えています。この点について、どう思いますか?

竹内:商取引がシンプルであればあるほど、インターネット取引との相性が良いです。不動産は買うもの自体が明確です。最近は、車もインターネットで買える時代です。住宅のインターネット取引も、車の延長線上にあると思います。車でも、故障リスクなどがありますが、このリスクを減らしていくことが大事で、不動産も同じだと思っています。また、住宅の方が手数料が規制されているので中古車よりもシンプルな部分もあると思います。

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人間性豊かな経営陣・メンバーに感じるポテンシャル

村上:竹内さんには、社外取締役候補者に選任させていただく前から、ツクルバの経営陣やメンバーと数多く面談をしていただき、アドバイス等をいただいていました。竹内さんから見て、ツクルバのメンバーに何か感じることはありますか?

竹内:社員数が多くないながら、優秀な経営陣・メンバーが集まっていると感じます。ビジネスについて優秀なのはもちろんですが、人間的に豊かな方が多いと思います。ツクルバのビジネスは、人の暮らしに大きく関わっているものですので、そういったビジネスを展開する以上は人間的に豊かな人が行うべきであると思います。そういう意味で非常にバランスが取れている方が多いなと感じます。

ツクルバの企業価値最大化のための社外取締役の役割

村上:ありがとうございます。そういった経営陣・メンバーのポテンシャルをツクルバの企業価値最大化に活かすため、社外取締役に就任後に行うべきことは何でしょうか?

竹内:「選択と集中」を投げかけることだと思います。ポテンシャルはエネルギーの総和です。ツクルバにはポテンシャルがあると感じています。そして、ある点で突き抜けて企業価値を最大化するためにはエネルギーが必要なので、必要なところにエネルギーを集中させる必要があります。

社外取締役として、他の経営陣よりも価値を発揮できるのは、良い意味で「事業に想いがない」からこそ、客観的な視点で、「これは何でやっているのか?収益のインパクトがあるのか?」という問いをシンプルに投げかけられる点だと考えています。

上場してビジネスを行っている以上は、短期的な結果を出すためのリソース配分は重要です。他方で、不動産業界を変革して企業価値を最大化させるためには、プロダクト等への将来投資を行っていくことも重要です。その中で、投資の結果が出にくいとか、その投資がなくても結果が出るというのがあれば切り捨てていく必要があります。社外取締役としては、経営陣が適切な判断をできるように疑問を投げかけ、自分が思うことを理解・納得してもらうことが大切で、これを最初にやるべきことだと思っています。

村上:非常に大事なことだと思います。ツクルバのミッションは、「場の発明を通じて欲しい未来をつくる」ですが、ビジネスとして成功し、企業として成長することでこのミッションを達成できると思っています。ですので、「ビジネスとして成功する」ことが一番大事だと思います。

竹内:ツクルバの経営陣が、そのような考えを持って経営されているということは感じています。中古不動産市場の拡大は、今後の日本においてますます重要になっていくと思いますので、ツクルバの企業成長は、それ自体が社会貢献につながるのではないでしょうか。

村上:そうですね。ツクルバとしても、今後の企業成長により注力するために、経営体制の変更を行いました。これは、よりシンプルで迅速な意思決定を行うことが目的です。事業からより大きな収益を上げ、その収益を再投資して成長していくのが大事だと思っています。そして、それを実現するために、竹内さんに社外取締役として力を貸していただきたいです。

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ツクルバの社外取締役を引き受けた理由

村上:10月の株主総会で無事承認されると、竹内さんとしても初めての社外取締役の就任になります。今回、社外取締役候補者になることを引き受けていただいた理由は何でしょうか?

竹内:ツクルバという会社や経営陣にポテンシャルを感じたからというのは、さっきお話した通りですが、それ以外に自分としても社外取締役就任は良い経験になると思いました。

Visionalはグループ経営体制になっていて、ホールディングカンパニー自体は事業をもっておらず、法人格として、経営と執行が分離しています。規模が大きくなればそうあるべきだと思いますし、経営陣自身も、実務執行に対して自らを投影しない状態で影響力を行使していくことが必要だと考えています。

ただ、自分たちが0→1をやってきた会社で経営と執行の分離をしても、メンバーに対する影響力は依然として強いという面がもしかしたらあるかもしれません。

これに対し、社外取締役の場合、「創業メンバーだから」という影響力を持っていません。その中で、「自分が何ができるか」ということを試すのは私自身にとっても非常にいい経験になると思います。

村上:私たちとしても、竹内さんの就任によって結果を出し、さらなる企業価値向上を実現したいと思っています。もう少し、「ツクルバの」社外取締役候補者の選任をお受けいただいた理由を教えていただけますか?

竹内:ツクルバのポテンシャルはすごく高いと思っています。PLに出てくる数字はまだそこまで大きくないかもしれませんが、事業KPIであるGMVは着実に増加してプラットフォームとして成長していますし、経営陣と話せば話すほどその確信を深めています。ディレクションをさらに良い方向に変えるとさらに良い方向に進むのでは、という感触はあります。ですので、ツクルバの社外取締役をやってみようと思いました。

村上:ありがとうございます。取締役会の意思決定は、企業価値最大化のためにあるので、社外取締役は、株主視点で、真摯にそこに向き合い意思決定をしているかを監督する必要があります。実は、私は、経営者となる前は、社外取締役に保守的な印象がありました。しかしながら、自分が経営者となり、様々な経営者の方々から勉強させていただくと、良い企業はむしろ社外取締役を「武器」にしていると思いました。社外取締役が、経営の監督を企業価値最大化という観点から積極的に行い、「企業価値最大化のためにちゃんと投資しているのか」などの「攻めのガバナンス」を行っていると思いました。

竹内さんの姿勢や考えは、まさに企業価値最大化のためのガバナンスを体現しているものであり、株主の価値に繋がるものと考えます。竹内さんの考えとツクルバが社外取締役に求めているものが合致していると思い、今回お願いさせていただきました。

村上:このインタビューは、ツクルバを応援してくれている株主や投資家のみなさまに読んでいただくことを予定しているのですが、株主の代表という機能を有する社外取締役の候補者として、株主・投資家のみなさまにメッセージをいただけますでしょうか。

竹内:ツクルバの社外取締役候補者としてこの度選任を受けました。10月の株主総会で無事承認をいただきましたら、私のこれまでの経営やテクノロジー分野での経験を活かし、ツクルバの他の取締役のみなさんと共に、企業価値の最大化に向けて責任を持って携わっていきたいと思います。応援いただけましたら幸いです。

村上:ありがとうございます。取締役としてご一緒できるのが楽しみです。本日はありがとうございました。


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