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偶然に生まれた唯一無二のカスタムボールペン




はじめに


偶然の出来事が時に特別なものを生み出すことがあります。
私が愛用している野原工芸のチューリップウッド、スタンダードボールペンも、そんな予期せぬ出来事から新たな魅力が生まれた一例です。

修理中に発見された小さな割れのリペアが唯一無二のカスタムボールペンへと変化させました。木軸ペンの奥深さ、野原工芸の職人技の素晴らしさを改めて感じます。

新たな唯一無二の握り心地。
今回はそのエピソードについてお話しします。


野原工芸とは


野原工芸は、木のボールペンやシャープペンシル、欅などの茶筒、そして伝統的な防寒具「なぎそねこ」を製造・販売する工房です。文具好きならば、その名を知らない人はいないほどの存在です。

特に木製の筆記具は、素材の風合いを最大限に活かし、高精度の部品と日本の職人技を融合させた逸品で、日常使いとしての機能性と美しさを兼ね備えています。
また、野原工芸は「なぎそねこ」と呼ばれる防寒具も取り扱っています。「なぎそねこ」は、南木曽町で伝統的に使われている防寒具で、作業の邪魔にならないよう前身頃がない形状が特徴です。
来店は完全予約制で、ゆっくりと製品を選べる体制が整っています。

チューリップウッド


チューリップウッドは、その名前からもわかるように、明るくカラフルな木材で、特にアメリカやブラジルに自生することが知られています。チューリップウッドは硬く、耐久性があり、魅力的な木目を持つことから、高級家具や楽器、装飾品などに使用されることが多いです  。

特にブラジル産のチューリップウッドは、黄色、オレンジ、ピンクなどの鮮やかな色合いを持ち、しばしば黒い縞模様が入ることが特徴です。これにより、見た目に非常に美しいコントラストが生まれ、装飾的な価値が高いとされています 。

また、木材としての特性も優れており、高い密度と強度を持つため、耐久性があり、長期間使用することができます。
加工はー難しいので廃材率が高くなる傾向があるが、滑らかな仕上がり、美しい加工面を得ることができるため、職人やアーティストに人気があります 。

リペアから理想のカスタム品が誕生


先日、私は愛用している野原工芸のチューリップウッド、スタンダードボールペンの金具を交換してもらうために修理を依頼しました。

その際、クリップ部分に小さな割れが発見され、工房の職人さんが丁寧に修理を施してくれました。割れをパテ埋めで固定し、ペンの表面を僅かながら研磨。

本当に僅かな表面の研磨量です。おそらくミクロン台。
私のペンには名前が彫られていますが、少し薄くなる程度です。

この研磨作業により、ペンの表面は割れもほとんど分からない状態に修復され、とても美しい仕上がりです。

戻ってきたペンを眺めつつ握ってみると、(んっ?)

野原工芸のペンは複数所有していますが、明らかに他のペンと握り心地が違う。
何が違うのだろう?
見た目では全然わかりませんでした。

ただ、人間の手の感触ってすごいものです。

ペンの形状が表面研磨によりわずかに変化したようです。
この変化は微細ですが、握り心地に独特な違いをもたらしました。以前の柔らかな曲線も素晴らしかったのですが、今回の修理後は、曲線ですがストレート、直線形状を握って感じるので、手にフィットしやすく、まさに「唯一無二」の感触です。

今回の経験から、野原工芸の職人技と木材の個性がどれだけ繊細で素晴らしいかを改めて感じることができました。木軸ペンを愛する全ての人にとって、こうした細やかな変化も楽しみの一つなのかもしれません。

ちなみにこのペンにはアクロインキのブルー1.0が装着されおり、主にプライベート用として使用しています。

ぬらぬら感がたまりません。

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