リニア中央新幹線は本当に必要なインフラなのか?:千葉利宏
JR東海は、3月29日に国土交通省で開かれたリニア中央新幹線の静岡工区に関する会議で東京―名古屋間の開業時期について当初計画の2027年を断念し、最短で2034年になる見通しを示した。その3日後の4月1日に、静岡工区の着工に慎重な対応を続けてきた川勝平太静岡県知事が新入職員への訓示で職業差別とも取れる発言をしたことの責任を問われ、10日に辞職届を提出。日本経済新聞は14日付社説で「知事辞任を機にリニアを前へ」と掲載し、リニアが早期の実現へ動き出すことへの期待を示した。
2011年にリニアの整備計画が正式決定して10年以上が経過し、その間に日本の人口減少・少子高齢化の深刻さが広く認識されるようになった。2014年に公表され、10年ぶりに再評価が行われた「消滅可能性都市」に関する分析では、2050年までに4割の自治体が消滅する可能性があるとの結果が示された。それでも「移動時間の短縮は日本の基軸である東名阪のより緊密な連携をもたらし、新たな成長の道を開くだろう」(日経社説)との認識は変わらないのか。
リニア中央新幹線は、民間企業であるJR東海が自前で約9兆円を投資して建設するとは言え、それに合わせて国・自治体もインフラ整備を行い、東海道新幹線の3倍と言われる電力消費量を使って運営される。3兆円の財政投融資も投入され、この先、50年、100年と活用しなければならない社会インフラである。本当にリニアは100年後の日本にとって必要なインフラなのか?
■リニアによって形成される「日本中央回廊」とは?
日本の国土の将来像を示す「国土形成計画」が2023年7月に閣議決定され、筆者はその内容を解説するブログ記事「人口減少時代の国土づくりを考える」(2023/07/18)を書いた。1962年に策定された最初の「全国総合開発計画」から数えて8回目となる計画では、「シームレスな拠点連結型国土」を掲げ、「リアルとデジタルが融合した地域生活圏の形成」をめざす。その実現のために「地域マネジメントのパラダイムシフト」を進め、「東京一極集中の是正」に取り組む方針を掲げた。
新しい計画の中で、強い違和感を覚えたのが、リニア中央新幹線の開通によって、3大都市圏が一体となった「日本中央回廊(コリドー)」を形成するという構想だ。リニア中央新幹線によって「東京一極集中」がますます加速することは多くの専門家が指摘しており、「三大都市圏が一体になる」ということは「幻想」に過ぎないように思えたからだ。
続きは↓
http://blog.livedoor.jp/corporate_pr/archives/61453456.html
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