受託系ITサービス業の4~6月期DI値は▲46.2ポイント(下)

取引先業種では製造業が最大の落込み

取引先業種別では、「製造業」の▲48.8Pを筆頭に、「建設・不動産業」▲37.0P、「卸売・小売業」▲34.3P、「サービス業」▲33.3P、「金融・保険業」▲29.7P、「電気・ガス業」24.1P、「情報通信業」▲23.7P、「官公庁・団体」▲10.8Pと、全業種がマイナスとなった。

このうち1~3月期と比べ「減少」の見通しの落ち込みが大きいのは、「製造」が49.0Pでトップだった。以下、「卸売・小売業」40.0P、「建設・不動産業」37.0P、「サービス業」34.1Pの順。「電気・ガス業」は「横ばい」が4.5P増加、「官公庁・団体」は同じく「横ばい」が19.3P増加した。公共サービスは不況に強いということだ。

「金融・保険業」はメガバンクのシステム統合がひと段落したこともあって、「増加」の見通しが8.1%あるなど極端な落ち込みはなかった。平均して売りげ高の3割を占める同業者間取引きの変動は確認できない。

また本調査はエンタープライズ系業務アプリケーションの開発・運用に軸足を置いている受託系ITサービス業が対象なので、エンベデッド系アプリケーション開発や通信サービス系の状況は反映されていない。

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▲4〜6月の売上高見通し(取引先業種別)


依然として強い人手不足感

これに対して雇用(採用)判断では、「人手不足」感が依然として強いことが明らかになった。要員について「不足」%から「過剰」%を引いた雇用判断DIがそれ。「不足」は1~3月期の77.7%から59.6%に減少したものの、「過剰」は引き続き0.0%のためDI値は59.6Pとなった。

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▲4〜6月の雇用判断DI値

4~6月の売上高見通しに黄色信号(▲46.2Pの大幅減速)が点滅しているにもかかわらず、なぜ雇用判断は「人手不足」なのだろうか。会社の組織ないし指揮命令系統を考えると、どうやらそれは、回答の情報源が異なるためではないか、ということに気がつく。

売上高見通しは営業部門から経営陣に情報が上げられ、雇用判断は現業部門から人事部門に要求が集約される。現業部門は契約に基づいて稼動しているため、向こう3〜6か月先の受注状況が勘案されない。その結果、「人手不足」感と売上高見通しには3~6か月のズレが生じるのだ。

4~6月期の売上高見通しに黄色信号が点滅したということは、主力のソフトウェア受託開発業務の新規プロジェクトが先延ばしになっていることを示している。つまり7~9月期に回復(ないし上昇)に転じるかどうかは予断を許さない

だけでなく、4月新卒採用が重なっていることだ。本調査に回答した企業は業界大手ないし地域での取引ポジション上位に位置する企業が多いので、7~9月期に元請け(ないし2次請けクラス)で人員余剰の第1波、10月以後に3次、4次下請けに第2波が押し寄せると予想される。

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