【創作BL小説】ズルして始めた番関係【stardust番外編1/雨宮先生編】

⚠️創作BLです。

⚠️本編は以下のサイトで無料公開しています。
https://tsukiyo-novel.com/2021/11/29/stardust/

⚠️オメガバース要素含みますので、閲覧はご注意ください。

⚠️一部性的描写を含みます。18歳未満の方は閲覧・購入をお控え下さいますようお願い致します。(イチャイチャ度★★★☆☆)

梓を惑わす薬

「・・梓。そろそろ戻ってきたら」

そっと窓を開けて声をかけた。

ベランダの手すりに寄りかかり、スマホで音楽を聞いている梓。少し髪だの肩だのが濡れるのも構わず。

漏れ聞こえてくるその歌声は僕の耳にも懐かしい。

「・・またその曲、聞いてるんだ」

そう言えば、梓はバツが悪そうな顔をした。

「すぐ戻るから。・・あっちで待ってて」

そういって僕を押した左手の薬指には、僕とお揃いの指輪が嵌っている。

今日はあれから6年。君と初恋の幼馴染の運命が永遠に別れた日。


      『雨にうたえば』


僕が高校教師だったあの頃。思い返せば僕は随分焦っていた。運命の番を手に入れること、子供を作ること。普通のオメガの様にいかない人生が怖かったのだ。

それが、思いもよらない形で現れた運命のアルファ。そして突如始まったヒート、フェロモン。

梓にもう少しで触れられそうで触れられない。そんな距離感がもどかしかった。

どうしても番になりたかった。頑なに拒む彼をどうにか誘い込む手立てはないか?ずっと考えていた。

「あ・・これ、まだあったんだ」

一人暮らしの僕の部屋。ある時ふと思い出して見つけ出したのが精神刺激薬。

これは感覚を一時的に過敏にする薬で、芸術畑の人間がインスピレーションを得たい時に飲むサプリみたいなものだ。

音大時代に作曲の課題がうまくいかない時に飲んでいた。その余りがたまたま僕の部屋にまだあったのだ。

柔らかい厚い膜に包まれていて噛むとすぐに中の甘い液体が流れ出す、即効性のもの・・。

『これを灰原くんに悪用出来ないか?』

悪魔が囁いた。


嗅覚が過敏になればフェロモンはもっと効いて、うなじを噛まずにいられないかも。いやダメだ、そんな騙す様なこと。じゃあいつまで待ってる気だ?自分の不完全なフェロモンも、いつまで持つか分からない。チャンスは無限にはないんだ。

でも・・なんてグルグル迷ったけれど。

上手くいけば梓が手に入る。欲に負けて、僕は刺激薬を持ち歩く様になった。


梓が陥落した日

運命のあの日。放課後の音楽室。

フェロモンに吸い寄せられて僕のうなじを噛もうとして、だけどギリギリで右手を滑り込ませてなんとかそれを防いだ梓。

手の甲の痛々しい噛み跡。

「・・そんなに僕が嫌かい」
「ひかりが好きなだけです」

そう言われて、僕の中で何かが切れてしまった。精神刺激薬で揺さぶりをかけても耐えられるかな?って。

ワイシャツをはだけたまま、僕は梓の首に抱きついて言った。

「じゃあ一回ちゃんとキスしてくれたら、もう諦めるから。これからネックガードする、灰原くんが噛み付けない様にする。
・・星屑くんには内緒にするから、お願い」

梓は少し迷いに揺れたが、分かったと了承した。

「目、閉じて・・」

そう言って梓をキスに誘い込んだ。ズボンのポケットに忍ばせていた刺激薬をさっと口に含んで噛んだ。溶け出した甘い液体。

梓に唇を合わせ、ぬるりと舌を忍ばせる。キスの合間に混ぜた精神刺激薬。その効果は想定以上で・・

グラリと視界が揺れた。次に感じたのは、えも言われぬ熱。梓が欲しい!って強烈な思い。

刺激薬の餌食になったのはお互い様で。

「な、に・・これ・・!」

襲い掛かる様に僕を抱きしめて匂いを貪った梓。その荒い息遣いにドキドキした。

「灰原くん、ね、どう?」
「・・なんで、こんな匂いが・・!」

はふはふと僕を貪るのが止まらない梓。耳元で言った。

「ね、番になったらもっとイイ匂いするよ、甘い甘い匂いだ。もっと君はイイ気持ちになれる。嗅ぎたくない?うなじ噛んでみてよ、ちょっとだけでも良い、ほら!」

そういって煽ると、梓は僕のうなじをカリと噛んだ。

少し舐めるように甘く噛んだのは、最初だけ。

「んん・・!」
そう僕が声を漏らすと、梓はその歯をギリギリと食い込ませた。強く強く。

こうして梓の最後の抵抗は陥落した。

うなじの噛み跡は一生消えないんじゃないかと思う程の痛みで、梓が番として脳髄に刻まれるのを確かに実感した。

それは梓も同じだったみたいで・・

「先生・・」
「灰原くん・・」
「・・俺・・」

欲に濡れた瞳。指先を絡め合う。ドキドキが高まり過ぎて、もうたまらなかった。

触れたい、今すぐ。

だから・・

「・・ね、今日はこれから僕の家に来てよ。泊まって?返さないから」

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