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読書|一線の湖

重厚感のある一冊。

中盤まで一気に盛り上げといて、後半にかけてこれでもかとたたみかけてくる。
この物語はどこまで続くのだろう。

冬と春の入り混じる風を感じながら海辺をドライブ。
遠くまで見渡せる山道を一気に駆け上がる。
文字に起こすとチープな感じが否めないけど、そんな感覚に陥ってしまう。

いつもの読書メーターに品のある感想書きました。

ポイント書くなら
・今年一番の良書(まだ三月なのに!)
・私的2024年本屋大賞


感じた気持ちを言葉に起こすのは難しい。
その点、作家さんの言葉の使い方に躍動感や重みを感じ頷いてしまう。
心動かされ、(たぶんあるんだろうと思われる)私の琴線に触れる。
著者が水墨画家ということもあり、奥行きも感じる物語。
そこかしこに現れては胸を打つ描写は多い。

面白いはずだ、と手に取って二ヶ月。
読まなかった期間がほぼ二ヶ月。
ここ数日の間に一気に読ませた、この本の力ってなんなん!?って感じで寝る間も惜しみながら読みました。
早よ、読めばよかった。

もし読まれることがあれば、前作の「線は、僕を描く」から始めることをお薦めします。

ここからはネタバレ。


霜介が主人公でありながら、彼を取り巻く人たちも気になる本書。
シイタケの夢がこどもたちの描く花に繋がっていくなんて思いもしない。
面白くもあるシーンですが、感動の一言に尽きます。
失ったモノを霜介が受け容れるシーンは花開くように頭の中で映像化されます。
彼らのいるその景色に触れてみたい、見ていたい、そんな愛溢れる霜介の授業が涙を誘います。

ここまでが中盤。
ここで終わってもよはずなのに中盤。
まだ半分も残っている。
相当満足したのにこの後の展開は?と斜に構えて読み進めました。

嗚呼…
そう来るのかぁ…
たまらんなぁ…


湖栖さん、そこにいたのね。
わたしゃ、てっきりどこかへ逃亡したのかと思ったら、当たらずとも遠からずだったようで。
静かな湖畔で過ごす日々に霜介が感じたことが伝わる。
彼らが「別荘」で過ごす日々は作品となり、湖山先生の引退式へと繋がってゆく。風は流れ、水は流れる。雨が降り、日が差し込む。
自然に身を任せ、あるがままを見つめていく姿は終わりのない時間を過ごしているかのよう。
沈黙から生まれる一筋の光、徐々にスピードを上げる疾走感にも似てます。
彼らの想いはいつだって交差しては行き違い、絡み合っては一つになっていく。

最後に。
タイトルの持つ雰囲気が随所に現れます。
鋭さと穏やかさと愛溢れる作品です。

書きすぎたな。
何もない行間に想いを詰めるとしたらそこしかないのだと気づく。


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