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君と私の15年



15年前、3日間に及ぶ壮絶な出産という大冒険を経て、この世界に産声をあげた。

出産に立ち会ったのは親戚の叔母だった。
「まるで白雪姫のように白いわね!」とうっとりした目で娘を見つめる叔母。

体力を使い果たし意識が朦朧とする中でそっと横を見ると、保育器に寝かせられた娘は本当に綺麗だった。

その時に心に誓った。
この世界に生まれてきて良かったと思ってもらえるように、この子を幸せにしようと。

自分の心に刻み込むように誓ったんだ
何があっても絶対に守っていくと。

あれから15年。
怒涛のように過ぎていった。
この15年、何をしてあげれただろうか。
あの日娘に誓ったあの決意を果たせていただろうか。
目先の仕事に追われて、大事な瞬間を見逃してきてはないだろうか。

小さかった頃は目を離さず手も離さなかった。
だけど大きくなるとだんだん私の視界から離れ、この手からも離れて行く。
それを寂しく切なく感じながら、
たくましく自分の力で立ち上がり歩く背中を見て、子離れできていなかったのは私の方だと気付かされる。
でもそれ以上に、子供の持つ生命力の強さに驚かされた。
苦しくても逃げ出したくても精一杯逃げずに頑張ろうとしている姿に、
何度後ろから願っただろうか。

「どうかこの子のこれからの未来が幸せいっぱいでありますように。」


母親になったあの日。
まだ若くて未熟だった私は正直不安だらけだった。
私が母親になんてなれるわけがない。
だけどそれでも目の前には赤ん坊がいて、
私のさじ加減一つで生きるも死ぬもどっちにも転ぶ状況。
不安を感じることに罪悪感を感じた。
こんなじゃだめだ、しっかりしよう。
そんな私の顔を見て、ニコッと笑ってくれた。
その笑顔に何度も励まされた15年だった。


ありがとう、こんなに美しく立派に育ってくれて。
ありがとう、私に貴重な経験をさせてくれて。


15歳になった娘へ。
私は大した人間ではないから何も特別な事はできないけど、
少し大人になった今の君に伝えたいことがあるんだ。


不登校でも、引きこもりでも、あなたが大事。
学校に行かないと愛されない、認めてもらえないと思わないでほしい。
あなたが大事なんだ。
成績が良いとか、部活や宿題を頑張るとか、
そんな表面的なものは私にはどうでもいい。
人の価値というのは、そんな事で判断できるほど単純じゃないから。
この先もっと大きな不安が必ずやってくる。
だけど、どんな状況でも私は絶対に見捨てない。
だから安心してこの世界を生きてほしい。

この世界に生まれてきて良かったと思える事がまだまだこれからたくさんあるから。


Happy Birthday to you.

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