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白と黒、ときどきグレー

心理学に『曖昧さへの耐性』という言葉がある。
要するに、「曖昧なことを無理にはっきりさせるのではなくて、そのままにしておいても良いんじゃない?」というもの。

世の中、白黒つけられるものばかりではなくて
時にははっきりしない状況や、
どう頑張ってもはっきりさせられない状況がある。
それを納得せざる負えない時や
その曖昧を受け入れるしか選択肢がない時がある。

私はせっかちだからいつも白黒つけたがる。

というよりも、
どちらかわからない状況や
先の見えない状況が苦手。
具体的に数値に表してくれたり
わかりやすい言葉なんかに非常に安心する。
グレーというものが存在するというのは知っているけど、
なるべくなら存在しない方が助かる。
だって無駄に悩まされる羽目になるからね。

だけど最近
グレーというものに対して少し苦手意識が薄れてきたように思う。
というより
グレーというものを受け入れた方が心が楽になるということに気付いた。

当たり前の話なんだけど
世の中自分の思った通りにいくはずがない。
だけど不思議と
今まで結果的には思った通りになってきた。(紆余曲折しながらね)
だから調子に乗って、ついつい毎回上手くいく気がしていた。
そんな時に師匠からお説教頂いた。
「変な自信は持つなよ?」と。笑

久しぶりに今上手くいかないことが連続している。
その代表例を挙げるとするなら子供。
どうしてこんなに思うようにいかないのか。
親のいう通りにいかないのが当たり前だけど、
ついつい期待してしまう。
嫌でも数年後の状況を想像してしまう。
想像力が豊かすぎて仇となるんだけど。

そんな時に師匠から
「そんなん簡単に上手くいくわけないやん!甘いんだよ!」
というまたお説教を頂いた。
なんと有難いお説教なんでしょう。

私は普段あんまり人に泣き言を言わないんだけど、
彼は電話越しに私のまとまりのないオチのないダラダラな悩みを
「うんうん。」と聞いてくれる。

師匠は決定的な答えをくれたわけではないんだけど、(←失礼)
一通り泣いて胸のモヤモヤを話すと不思議とスッキリする。
別に答えが見つかったわけではないけど
まぁどうにかなるかという気持ちになった。

これがグレーを受け入れるということなんだと実感した。
どうにもならないことがあって
ならいっそのこと、どうにもならないとそのまま受け止めちゃえ!
答えなんて出てこなくてもいい、
上手い方法がないままでもいい。

「そうゆうものなんだよ、自分よ。」と
悟ることこそが最大の答えなんだと思った。

昔、ある僧侶からこんな話を聞いた。

ある所に末期の病気の人がいた。
その人から、自分はもう長くないから生きてる間に法名を頂きたいと
連絡が来た。
本来は亡くなってからもらうものだけど、今生きてる間に頂きたい、と。

その僧侶はその方の元に向かった。
病床で彼は僧侶になぜ自分はこうなってしまったのかと言った。
こんな病気になってしまって
まだまだしたいこともたくさんあったのに
もうあと僅かしか生きられないなんて。
どうしてこうなってしまったんだ。
悔やんでも悔やみきれない。

すると僧侶は言った。
生きているとね、いろんな事がある。
自分ではどうしようもできない事があるものなんだよ。
そんな時は、「そうかぁ、どうにもならないんだなぁ。」と受け入れることです。
それが南無阿弥陀仏なのですよ。

その男性は清々しい気持ちになったんだとか。
そして法名を頂いたその方は少しして息を引き取ったという。


上手くいかない時、
どうにもなりそうにない時、
そんな時はそのままその状況を飲み込んでしまおう。
もしかしたらその瞬間、災い転じて福となりどうにかなるかもしれない。
残念ながらどうにもならないままかもしれない。

大事なのはどうにもならないそれに意識を向けるのではなく
今ある時間に集中すること。
今自分にできることを一つ一つやっていこう。

白黒、ときどきグレー。



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