『篭のなかには二艘の舟』@書きかけ
書きかけもとりあえずアップして、どんどん書き換えていく方向で。創作訓練として「プロット100本できるかな」から。
更新記録
2021/09/18開始
2021/09/20名前修正
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ムロカ、異形に桃を献上す。
舐めずると桃の皮はぺろりと剥けて、夜気にみずみずしい匂いがたちこめた。ざらつく舌が果肉を喰むたび、桃を支え持つ手が濡れていく。
濡れた音を立て、野卑にも猥雑にも見える食べ方が、この上なく高貴で眩い様子に見えるのは、舌の主がこの世ならざる美貌のせいだ