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春をかんじる

親愛なるアルフレドへ


今日はお母さんの誕生日にピアノを贈るために楽器屋さんに行ったの。

ピアノといっても、電子ピアノだからそんな大層なものでも無いのだけれど。

コロナのご時世だからかしら。みんなおうちで楽しめるピアノの購入するのか4月まで入荷待ちなんてものもあって、到底お母さんの誕生日には間に合いそうになかったわ。

私の家の電子ピアノは1980年代のもので、なんとなく命が消えていくように日に日に音が小さくなっていくの。小さい頃からあのピアノを弾いていたから愛着もあるからこれを使いたいけれど、音が出なくなってしまったらピアノとしては活躍できないから、仕方ないわね。

ゆっくり休んでもらうしかないわ。


犬も車も金魚も、そして今度はピアノも。

愛を持って接したものとのお別れは、すごく辛いね。

仲良くなるのにはすごく時間がかかるのに、お別れは突然であっという間。

私たちが費やしてヴィンテージものの関係になったと思ったら、プツンと事切れちゃって。

残されたものはいつも置いてけぼりで寂しい。


だからこそ、おうちに招き入れるときは丁寧に検討するの。

私が今後ずっと愛を注げるかを考えるの。

そのおかげで、出会いにはドキドキする。


ただ、私、人と本だけは出会いに丁寧いさが欠けているかも、なんて今思ったわ。

めまぐるしくて、ひとつひとつを味わっていないわ。

なんだか、別れを悲しむよりも、はじまりらしいはじまりもない関係は、少し見直すべきかもしれないわね。


今日も、強い風と暖かい気候だったの。

春の訪れを感じるね。

素敵な出会いがありますように!


おやすみなさい、アルフレド


                                つきみ

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