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#04 INTERVIEW イラストレーター/あきさんぽ

やりたいことから逃げずに、楽しめる人。


はじめに。

やりたいこと、ありますか?そのことを、“そのうちそのうち・・”と言って後回しにしていたりしますか?
今回、彼女のインタビューをしたことで思ったのは、実はどんなことも方法とアイデアと行動力があれば、人ってどんどん前に進めちゃうんだな、ということ。逃げずに楽しめてしまう『強さ』を、彼女から感じることができました。


イラストレーター・あきさんぽについて

あきさんぽ・28歳。イラストレーター。好きなものはラジオ、さくらももこさん、“間取り”本、ゆらゆら帝国さん。小学生から続けていることは友人との文通だ。

彼女との出会いは7年前。以前勤めていた職場で出会った。
当時21歳でアルバイトだった彼女は、今の印象とさほど変わらない。
あきさんぽさんは、一言で言うとお日様のような人だ。いつも笑顔で明るく、コロコロと表情を変えながら楽しそうにしゃべる女の子。真面目で、いつも一生懸命だったから、社員達からとても好かれていた。勤務していたのはたった1年弱ほどだったけれど、何年経っても連絡がとりたいなと思えるのは、その人柄のせいなんだろうと思う。

ほんわか、のんびり。まるで、彼女が好きなさくらももこさんみたいな世界感をもつ彼女。話していると、その世界へ引き込まれてしまいそう。今回は、そんなあきさんぽさんのこれまでと、これからについて。


ぶらり2人で新宿散歩で、インタビュー。

「思い入れの強い場所はどこですか?」という問いに「新宿です!」と答えてくれたので、今回は新宿へ。
お互いの元職場付近へ行ってみたり、その後は近くのカフェでお茶したり。ゆるりとぶらぶらと散歩しながら、彼女の話を聞いた。あきさんぽさんと会うのは、約一年ぶりだった。


大切な友人との出会い。イラストを描くこととの向き合い方。

──お久しぶりですね。最近はどんな仕事をしてるんですか?
「ご無沙汰しています! そうですね、、以前は旅行誌のカットをよくご依頼いただいていましたが、一番最近だと、友人のミュージシャン『kiss the gambler』さんのEPイメージカバーを制作しました。(下イメージ)」

kiss the gambler EP「帰る場所を見つけた?」

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加納エミリ、ラッキーオールドサン、寿々木ここね、豊田道倫らの作品も手がける映像作家・小池 茅(ラブワンダーランド)が監督を務めたMVも。(kiss the gambler サマーサンライズ (Official Video) 下イメージ。※リンク)スクリーンショット 2020-11-03 14.45.16


──素敵ですね。曲と、あきさんぽさんの絵のイメージがぴったりあうのがすごい。もともとご友人で、過去にもイメージカバーを何度かご担当していたんですよね。
「ありがとうございます。彼女とは数年前に、共通の知人の紹介で出会ったばかりなんですが、いまはとても仲のいい友人なんです。

そして今回、彼女のカバーを制作したのは3度目だったのですが、なかなかスムーズにはいかず、リリース直前のMVが仕上がった時点で描き直しをしました。やっぱり、イメージのすり合わせは大事だなと思いました。」


友人、kiss the gamblerさんとの出会い。

「実は、互いに通っていた美容師さんに紹介されたことがきっかけで、友人になったんです。ある時、大好きなミュージシャンの坂本慎太郎さん(元ゆらゆら帝国)のライブチケットが当選したんですが、2枚で購入してしまい、1枚あまって困っていたんです。しかも会場が富山県で…。それを美容師さんに相談したところ、kiss the gamblerさんを紹介してもらうことになりました。」

──へ〜!それでそんなに仲のいい友人に??
「はい。『あきちゃんと彼女、絶対気が合うと思うよ。』そう言われ、ライブに行くまえに一度会ってお茶したんです。するとまるで昔からの友人のような感覚で、意気投合できました。本当に、紹介してくれた美容師さんには感謝です。」

そこから友人になり、ジャケットをお願いされる仲にまでなった、というのだ。そういう紹介って、物怖じして断っちゃう人も多そうだけど、彼女の行動力はやはり人とは違うのかも・・、とふと思った。


一回一回、仕事を楽しむこと。

──ちなみに、作品を描く上で大事にしてることはありますか?
「そうですね、自分で納得がいくもの(作品として残したいもの)を描くこと、依頼された内容や相手のことをよく知って興味を持つことから始めること。その二点は気にしています。特に、依頼をされて描くものはそれをきっかけで知るものや興味が広がりやすいことが多くて、一回一回を楽しんで仕事をしたほうが良いものができると思ってます。」

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働き方は、ひとつじゃない。

そうそう、いまは会社にも勤めているんですよね。どんな会社なんですか?「はい。昨年からなんですが、『コーナープリンティング』という会社の営業の部署にも勤務するようになりました。オリジナルグッズの制作会社です。若い会社なのですが、スタッフの個人活動を応援してくれる会社なんですよ。わたしのようにイラストレーターをしたりとか、DJだったり。お客さん自ら制作ができる工房も持ってます。」

──工房も??それはスタッフにとっても嬉しいですね。スタッフの個人活動を応援してくれるというのは、新しくて素敵!

「はい、そうなんです。フリーでやっていた頃も良かったですが、今はいまで、充実しています。いろんなクリエイターさんと出会いもあるし、勉強にもなるので、とてもいい刺激になっています。ちなみに、会社のHPは見た目がゆるめなんですが、日々Instagramの方で新商品の紹介を随時しており、力が入っています。社長が自らアップしていたり、各部門のスタッフも加工内容を紹介したりしています。そのおかげもあってか、依頼はSNS経由が多い気がします。」


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CORNER PRINTING
https://cornerprint.thebase.in/
instagram : https://www.instagram.com/corner_printing/?hl=ja
twitter  : https://twitter.com/cornerprinting3?s=20


──へ〜!社長さん自ら!笑 確かにとても魅力的。かっこいいし、発注したくなりますね。(アキちゃんと一緒にインスタを確認中・・)
?あれ、スケボーしてますね(笑)。

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「あ、そうなんです!(笑)。スケボーやってるスタッフが多いんですよ。で、いつの間にか手作りのスケボーするスペースができちゃってました…。」
──なにそれ。自由!
「あ、もちろん、全員仕事はしっかりして、休憩時間はメリハリをつけて好きなことをしている・・!という感じです(笑)。」
──それはそうですよね…笑。
「はい、なのでそういうところも含めて、いままでの職場にはない楽しさを感じています。」


なんだか、聞いていると、会社というよりグループというか、仲間、というのだろうか。どうやら、スタッフ同士の関係が縦ではなく、横の関係のようだ。
そういえば、”縦の関係で部下をコントロールする時代は終わりつつある”という記事を読んだことがある。そういう自分はというと、縦の関係で育ってきた人間の一人。そうか、わたしはもう古い人間なんだな、と悲しく思いつつ、同時にそこで新しい時代への兆しに喜びも感じた。


「そういえば、さきほどお話した、友人のkiss the gamblerさんも、会社に勤めながら活動しているんですよ。頭もとても良いんです。」
──へ〜!会社も勤めながら、やりたいこともやる。会社も、それをサポートしてあげたり…。そういう働き方は、これからスタンダードな生き方になっていきそうですよね。
「たまに、仕事終わりに一緒にご飯を食べたりするのですが、社会人でこその経験から作品が生まれてくることも多く、彼女からはマイナスをプラスに変える才能を感じています。」
──なるほど、逆にそれを生かした作品作り、ということなんですね。どんなことにおいても発想次第で、すべてを自分への糧にしてしまうのは、確かに才能と言えますね!かっこいいなあ。


イラストレーターになろうと思ったきっかけ

──最近は絵もやりつつ、会社にも勤めつつ、武蔵野美術大学の通信で油絵を学んでるそうですね。
「はい、3年前からです。ずっと、ちゃんと絵を学びたいなと思っていましたので。今年は休学を挟んでいるのですが、来年は卒制もあります。実はもともとは、グラフィックデザインの学校の出身だったので、絵は独学に近かったんです。」

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(上:大学で制作した油絵作品)

──あれれ、そうなんですか。もともとはイラストレーターになろうと思っていなかったという事?
「実を言うと、“イラストレーター”という存在自体、よく知らなかったんです(笑)。専門学生だった時のある日、学校から歩いて10~15分ほどの所にあった、「ペーターズギャラリー」に立ち寄ったことがきっかけで、今の進む道を決める事ができました。そこでその時、展示されたイラストレーターさん達の作品を見て、こういうことを活動としてる人達がいる、ということを知ったんです。それからは、そのギャラリー以外にも足を運んだり、いろんな展示を見にいきました。最初の頃は、自分が描くことよりも、イラストレーターのファンに近かった気がします。」
ペーターズギャラリー : http://www.paters.co.jp/gallery/gallery.html

──なるほど。でもその後、イラストレーターになろう、と思ったきっかけは何だったのですか?
「よく通っていた、そのペーターズギャラリーで、『描きたいなら、描いてみなよ』って言われたことですね。きっと、彼らには何でもないセリフだったかもしれません。でも、そのとき自分のなかの何か“枷”のようなものが外れたような気がして。そこから、イラストをやっていこうって気持ちになれました。」
──その言葉を、もしかしたら身体はずっと待っていたのかもしれませんね。それが、あきさんぽさんが、本当はずっとやりたかったことがわかった時なのかも。



尊敬してる人。

──人生において、尊敬してる人や、影響された人はいますか??
「2014年に他界されてしまいましたが、イラストレーターの安西水丸さんです。技術などをどうこう考える前に、自分がすきなように好きなものの絵を描き、また人が描く絵のことも大好きで、本当にイラストレーションが大好きなんだなと思う人でした。筆が止まってしまったり、悩んだ時は、水丸さんの本や絵を見ると無理せずに自分らしくいようと思えるんです。」
──無理せず、自分らしく、というのが一番大事なことですよね。

「あともう一人。出版社の編集者Mさんです。初めて本のカットを依頼していただいた方で、仕事でもプライベートでもお付き合いが続いています。完璧主義者、凝り性で妥協をしないため、一緒に仕事をさせていただく度に勉強になることが多く、大変でも面白いと思えます。街のイラストマップを一緒に制作した際には100点近くの建物イラストを描きましたが、一緒に取材を交えつつ一日練り歩きました。」


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──100?!大変でしたね・・・。
「そうですね、大変でしたが、それも同時にやりがいもありました。もともと散歩が大好きな私にとって、ただ絵を描くだけじゃない仕事の仕方を経験でき、そんな自分のことも理解いただき気にかけてくださって感謝してます。」

──まだまだ聞き足りないけど、今日はここまで。ありがとうございました。
「ありがとうございました!」

別れのときも、出会ったときと変わらずいつもニコニコ、お日様のような笑顔だった。


まとめ。

やりたいことがあって、それをやり続ける人はかっこいい。
でも、実際、やりたいことを続けるのは大変なことだ。やりたいことで“生活”をするのは、更に難しい。それを理由に、夢をあきらめる人も多い。でも今回の彼女や友人のkiss the gamblerさんを思うと、もしかしたら、それらは全て都合のいい言い訳、なのかもしれないとも思った。

方法はいくらでも転がっていて、やり方は自由なのだ。
そこには自己責任はもちろんついてくるけれど、それを彼女自身、楽しんでるようにも見えた。
逃げない。諦めない。むしろ楽しみたい。

彼女はテレビは見ずに、ラジオを嗜む。SNSで繋がるだけじゃなく、手紙でスローなコミュニケーションを楽しめることを知っている。時代に流されることなく、ゆっくりと丁寧に人生を歩む様はとてもかっこいい。


これまでの話から少し想像できるが、Web関連についてはやや疎いというあきさんぽさん。でもその苦手を克服しつつ、現在、自分のホームページを製作中とのこと。

流されず、一つ一つを丁寧に。自分のペースで、まるで散歩するように人生を辿る、あきさんぽさん。きっと、もっともっと変化し続けていくんだろう。その変化を、今後も楽しく追わせて頂こうと思う。
これからも応援しています。


あきさんぽ PROFILE
instagram : https://www.instagram.com/osanpo_tokyo/?hl=ja
日本デザイン専門学校 グラフィックデザイン学科 卒業
武蔵野美術大学 通信教育課程油絵学科 在籍中
出身 :東京都八王子市/好きな色:ブラック、チャコール、モスグリーン、オフホワイト/好きな映画:「転々」「インスタント沼」/これに出会えてよかったと思う分野やジャンル:湯村輝彦さんのへたうま、安西水丸さんのイラストレーション/好きな作家:さくらももこさん、益田ミリさん、小川洋子さん


ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。



過去インタビューはこちら。よければご一読くださいませ〜


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