見出し画像

月影太陽光発電所 発電14日目 中級1

 素浪人エンジニア月影です。ウォーキング後は、苔庭の草引きをし、バラに薬散布してから、朝ご飯。。。鯉も棒鱈ねむりから、起きだして、朝の運動中。
 さて、noteで頭の体操に、お付き合い下さい。(noteは、いつでも過去に跳べますので、基礎編や初級編の補習は後日にして....中級編は太陽光発電のいろいろな課題を考えていきます。)

・太陽光発電システムの出力性能測定
 中級編は、月影が予備役勤番ですごした太陽光発電システムの世界を、LTSpiceを計測ツールに使いながら、一緒に楽しめたらと想います。
 本日は、基礎知識として、太陽光発電システム発電量予測の確認です。
なお、中級編は特許等が関係するかも知れませんが、「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは費用請求されても、月影は一切関知しませんのでそのつもりで。」 (スパイ大作戦って、すごい邦訳。。)

・太陽光発電システムの発電量予測手法
 太陽光は利便性がなく、燃料不要の理財製品なので、キャピタルリターン計算が必須です。したがって、設置環境での発電量予測や診断は技術的に必要となります。
 発電量予測は、各種webサイトに、推定発電量シミュレーションがあり、投資対効果を競っています。この計算には、機器性能データの他に、各地の日射量データと気温データが必要な為、計算手法として、JIS C 8907:2005【太陽光発電システムの発電電力量推定方法】が定められています。日射量データベースは、NEDO:METPV-11計算シミュレーション、気温データは気象庁データベースで得れますので、JISC8907を理解することで、シミュレーション計算が可能であり、GUIを付ければ、ツール化することが出来ます。
 JPEA資料:年間予想発電量の算出 解説での簡易式がJISC8907方式説明に便利なので、下記で説明します。
   Ep=H×K×P×365÷1
       Ep:年間予想発電量(kWh/m2/日)
       H :設置面の1日当りの年平均日射量(kWh/m2/日)
       K :損失係数 ----各種損失係数から成る係数
          *年平均セルの温度上昇による損失 ----約 15%
          *パワーコンディショナによる損失 ----約 8%
          *配線、受光面の汚れ等の損失   ----約 7%
       P :システム容量(kW)
       365:年間の日数
       1 :標準状態における日射強度(kW/m2) 
  H項の日射量は、太陽電池の設置緯度・経度、方位角、傾斜角度での日射強度ですので、NEDOデータベース:METPV-11(年間時別日射量)
,MONSOLA-11(年間月別日射量)で得ます。
 K項損失係数において、セル温度上昇は(気温+設置形態別での温度上昇)なので、気象庁データベースの気温データと、JISC8907で定めた設置形態別温度係数C×NEDO日射データを加算することで得ます。
また、使用機器性能値は、パワコン変換効率や配線損失を設定することで、年間予想発電量を計算する方式となってます。
 爺は同手法を応用して、気象庁の近傍地日射量情報と発電実績データから、システムの各種条件を入力し、アレイ傾斜角を逆算できるか確認してみましたが、結構精度よく再現できたことを覚えています。 
 注意点は、損失係数が販売上の差異化ポイントである為、各社シミュレーションでは、使用した損失係数の前提条件を全て記載していない事です。各社ともに自社優位の損失係数には、自社製品の特性値を使用しますが、特性値の確度や詳細を記載しませんので、残念ながら各社のシミュレーション結果をもって、各社間の発電性能を比較することはできません

・損失係数:太陽電池モジュール温度の重要性と影響
 損失係数Kは、各種補正係数の乗算値なのですが、セルの温度上昇損失が約15%と大きいことがわかります。これは、太陽電池の出力電力温度係数と日射での温度上昇が大きいことが原因です。
この温度係数差の発電量影響を計算するには、セル温度が設置場所で何℃になるのかが必要になります。セル温度は、気温+設置係数×日射強度なので、地域別に気温と日射強度のデータベースと設置係数により計算します。太陽電池の出力は、このセル温度値と太陽電池温度係数を乗算することで発生電力量に換算することになります。下記は、セル温度45℃(気温25℃+温度上昇20℃)を想定した簡単な電力比較表になります。
(屋根置き:温度上昇=(C:21.5)×日射強度(1kW/m2)=21.5℃)
 Pansonic社のヘテロ型モジュールやCIS系モジュールは、温度係数がアピールポイントですが、この差は夏場しかグラフ上では優位差が見える化しないかも知れません。

上表では、Panasonic社HITと三菱電機社PERCの温度係数差が大きく感じるのに、発電量差は3.24%です。ここで、三菱電機は対抗軸として、パワコンのMPPT効率を99.8%化し、JISC8907でのアレイ負荷整合補正係数:97%に対し、2.8%改善することで、他社競争軸としたのだと想います。。。。違うかな?
 でも、発電量予測のK値:損失係数の詳細が明確でないと、他社比較は容易でないと感じませんか?
 (MPPT効率は、太陽電池アレイの屋外診断でも重要です。)

さて、本日の発電は終了です。発電量推定は汎用技術ですので、興味のある方はWEB検索やJIS規格をお調べください。中級編では、発電量推定(発電量保証?)の対となるべき、太陽電池アレイの屋外診断手法の課題が内容の一部となっていきますので、お楽しみに。。。noteの読者は、意外に理系の方多いのかな?と月影は想う。
・今日のひとこと
 今年は、花がいまひとつですね。。池の燕子花も、例年より花が小さいように思います。。いつもは、白もまじるのですが、ことしは出ない?


素浪人シルバーエンジニア 月影四郎と申します。幕府学問所を卒業後、仕官したお城づとめも終了し、素浪人として歩き始めました。  皆さまに楽しんでいただけたらとふと思いたち、徒然なるままにnoteデビューした次第でございます。