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月影太陽光発電所 発電4日目

 素浪人エンジニア月影です。うーむ今日はくもりですね~
 昨日は、太陽電池モジュールの出力シミュレーションを何につかうの?をぼんやりと紹介しましたが、太陽光発電では、太陽電池で発電する不安定な直流電力を、電力会社の電力網に流しこむ方法も少しだけ理解しておくと、シミュレーションの必要性がわかると思い、今日も、すこし寄り道してから、CAE環境:LTspiceの設定について説明します。
・ちょっと寄り道
 太陽光発電は日射変動に追随するので、非常に出力変動が大きい厄介な電源です。変動があまりにも大きいので、電力として使用するには、バッテリーに充電して使用するか、交流電源網を巨大なバッテリーとして使用する必要があります。もし、住宅の屋根に、太陽電池モジュールを5kW搭載していても、これはモジュール温度:25℃、日射強度:1000w/m2での出力ですので、日中でも雲で出力が大きく変動するため、太陽電池出力だけ(自立運転モード)で、家電製品を連続運転することは非常に困難です。
 このように変動の大きい直流電力を交流電源網をバッテリーに見立てて、電力を流し込むポンプの役割を果たす機器が必要になり、開発されたのがパワーコンディショナ(通称:パワコン)になります。
 パワコンは太陽電池アレイの変動する直流入力電力に応じて、交流電源網に少しだけ高い電圧をかけて電力を流しこむ制御を、交流サイクルの半サイクル毎(50Hz地区なら10msec毎)に実施しています。
 また、太陽電池モジュールでは変換効率と温度特性を性能指標としますが、パワコンでは、太陽電池アレイの最高電力点を常においかけるためのMPPT効率と、直流から交流に電力変換するための電力変換効率を重視します。太陽電池モジュールの変換効率改善が頭打ち同様に、パワコンも、MPPT効率:99.8%、電力変換効率98%の住宅用パワコンが販売されていることから、効率性能競争も頭打ちだと思います。
 MPPT効率(Maximum Power Point Tracking)は、日射変動により太陽電池アレイの最大電力ポイント(最大電力が出る電圧・電流点)が変化しても、追従できているかの効率値のことです。MPPT効率は太陽電池アレイの性能診断に重要なカギにもなるので覚えておいてください。海外では、MPPT効率は重視するのですが、国内では競争軸になってないようです。。車の燃費に例えれば、電力変換効率値は高速道路燃費で、MPPT効率は市街地モード時での燃費悪化する率にあたるかな~。
 なお、パワコンの電力変換効率をいかすためには、太陽電池アレイからの入力電圧を310V程度に設計する必要があります。これは、家庭用パワコンは交流200Vに逆潮流するために、直流から交流を作り出すインバータ回路の直流電圧に、
 200v×1.4142(サインカーブの頂点)×110%≒310V
が必要なためです。太陽電池アレイから310Vが入力できれば、パワコン入力をインバータ部に直結できるので、入力電圧の昇圧・降圧動作が停止し、効率UPが可能です。言い換えると、電圧UPしたり電圧down動作用のコンバータ回路が動作すると、電力変換効率の低下となります。このため、パワコンは電力変換効率を、定格入力電圧(当然、最高効率になる電圧値です)で表現することになっています。
 しかし、屋根面積には限りがありますし、太陽電池モジュール形状からも屋根への積載枚数は決まってしまいます。南面や東面の屋根形状は当然違うので、太陽電池アレイの各種接続パターンも発生することになり、パワコンのコンバータ回路も、太陽電池アレイの出電圧設計が必要になり、前日紹介のシミュレーションも必要になる訳です。
 また、月影爺は、太陽電池モジュールの長期サービス供給はセル生産・供給状況が大きく変化していくことから、近未来的には完全互換モジュール供給が困難になると思っています。シミュレーションによる異性能モジュール混載での影響確認は簡単なので、みなさんも勉強題材として考えるのは面白いと思います。

・本日のテーマ
  今日は、太陽光発電の出力シミュレーションに用いるアナログ・デバイセズ社さんが無償提供されている電子回路CAE環境:LTspiceのインストール方法と設定について紹介します。LTspiceは無償ソフトですが、米国ICメーカーが自社ICの動作シミュレーション用に配布している信頼性の高い定番ソフトですので、安心してインストールください。アナログICメーカの雄:アナログデバイセズ社さんのH.P.から、最新版LTspiceがインストール可能です。
インストール方法や初期設定はspicemanさんのサイトに丁寧な解説がありますので、お読みいただき、本サイト:設定方法の①、②、③を実行ください。
なお、③コントロールパネルの下記設定2点は必須事項ですので、お忘れなきよう注意ください。特に、計算エンジンはNORMALでは計算が収束しない場合が多いので、Alternateが必須です。


 LTspiceは有名な電子回路CAE環境ですので、解説本も多く出版されてますので、必要な方は、お買い求めください。
 電子回路ハード屋は、『LTspiceで学ぶ電子回路』渋谷道雄氏著を本棚や会社に持っていると非常に便利です。(操作をすぐ忘れるので・・)
 次回は、シミュレーションモデルのテスト配布をしてみますので、お待ちください。
note下書きでは、Zipファイル添付にて、ダウンロード・解凍動作まで確認できましたが、本日は寄り道がながくなりすぎました。。すいません。

・本日のひとこと
月影爺は昨日、ポチっとなノートPCが届いたので、LTspiceのテストに活躍中。うーむ使いなれたOFFICEを付けなかったことを後悔。。。。
MICROSOFTさん、旧バージョン仕様を老人むけに優待してーと言いたい。



素浪人シルバーエンジニア 月影四郎と申します。幕府学問所を卒業後、仕官したお城づとめも終了し、素浪人として歩き始めました。  皆さまに楽しんでいただけたらとふと思いたち、徒然なるままにnoteデビューした次第でございます。