依頼であれば手段は選ばぬ
私は祓屋。この名を言うと陰陽師を連想されたりするが、そうではない。私が祓うのは“人”だ。
不良を祓ったりテロリストを祓ったりモンペを祓ったり……依頼されればどんな人間だろうと祓う。
そこに手段は選ばぬ。不良ならば痛め付け、テロリストなら殺す。モンペは面倒だが口論。面倒だが。
この仕事は時に人も殺すが、殺し屋ではないのて勘違いせんでほしい。殺し屋は悪魔でも手段だ。故に〇〇を殺して欲しい等の依頼は断っている。
この祓屋をやっていて面白いのが、以前に私が祓った奴が依頼してくることがあるということだ。内容は大抵「自分を祓えと依頼した奴を祓ってほしい」だが……祓うという言葉を付ければ何でもいい訳では無いからな。まあ、対象が二度と依頼者に近寄れないようにはしてやったが。
さて、ここで祓屋仕事を一つ見せてやろう。依頼者は三人家族。父母娘と言った構成だ。
出来れば家に来て依頼内容を聞いて欲しいと言われた為、私は依頼者らの家に来ている。これくらいなら……さーびす、だ。
家に着いたので呼び鈴を鳴らす。
「祓屋だ。依頼を聞こう」
中へ通され、客室に案内された。私達はそれぞれ向かい合ったソファに腰掛けた。
「この度は態々ありがとうございます……」
と母親であろう人が言った。
「礼はいらぬ。して、依頼内容は?」
単刀直入にそう聞いた。母親の隣に座る娘が答えた。
「私をいじめている人達を、祓ってください」
聞くと、その娘は半年前から学校でいじめられているらしい。被害者は他にもいて、自'殺寸前だそうだ。この手の依頼は何度も承ったことがある。
「良かろう、ただし心得よ。私がするのはそのいじめっ子らを祓うことのみ。その後どうするかは、貴君ら次第だ」
そういうと三人は嬉しそうに頷いた。
いじめっ子らを祓うとき、よく言われることが「いじめられる方にも原因がある」や「いじめる理由があった」等だが、そんなものは関係無い。私は承った仕事をこなすだけだ。
いじめっ子らの情報はあの家族から貰った。私がいなければ自ら手を下すつもりだったらしい。
いじめっ子の主犯格は五人。因みに此奴らは全員中学一年らしい。
私は此奴らが外出しているところをつけ、隙を見て路地裏に引き摺り込んだ。今回は二人同時だ。二人は私を見ると恐怖で震えていた。私の顔は……少々説明し難い。
悲鳴を上げられると面倒な為、先に喉を締め上げる。そこから先はまあ……単に痛め付けた。
残り三人にも同じことをした。その後五人が転校するように促した。……依頼完了。
私は依頼者らの家に戻り、結果を報告してやった。すると三人は泣いて礼を言ってきた。
「何度も言うが、仕事故礼などいらぬ」
そういうと、父親が
「いらなくても受け取ってください」
と言った。
報酬を受け取り、私は家を後にした。これであの娘や他のいじめられっ子らがどうなるかなどは知らぬが。
まあ、以上が私の祓屋という仕事だ。中々地味だっただろうか?
そういえば、家を出る時にあの娘にいらぬと言っているのに「お礼だから」ととあるチラシを貰ったな……確認してみるか。
『スイーツバイキング特売』
……ふむ。私を舐めているな、あの娘。
ここから近いではないか。
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