天才なのはその子じゃなかった
私の友人には天才がいる。その子は私と同じ中学二年生だ。その子はいつもテストで全教科満点、通知表もオール5。全国模試でも1位。(任意で結果を見せてもらった)
本人にいうと無視される。学力を褒められるのは嫌いなのだろうか?
今日は図書館でその子に勉強を教えてもらっていた。私から見て天才のその子に教えてもらうのはついていけるか心配だったけど、その子は私にも分かりやすく、丁寧に教えてくれた。
何気に先生より分かりやすいと思う。もう先生の授業受けないでこの子の授業受けていたい(迷惑)
私は聞いた。
「どういう勉強したらそんな学力高くなれるの?」
「予習で完璧に理解する、授業で復習、授業後に学習内容を固める」
その子はあっさりそう答えた。何その一日中勉強しかしてない様な人の回答(私は一日に5時間勉強して1時間ゲームをする)
「余り時間はかからないよ。やってみ」
「時間はかからないって……学校帰ってからの時間なんて、ゆーて6時間くらいしかないでしょ?それやってたら他のことできなくない?」
その子は私を見て目を伏せた。呆れられたのだろうか。
「君だから時間はかからないんだよ。休日に3時間、平日に1時間やってみて。分からない所は私に聞きな」
何を根拠にそう言っているのかは全く分からなかったが、その子なりに色々考えてくれたのだろうと思い、取り敢えず試してみることにした。
最初だから、まずは次回授業でやる所をやってみる。……教科書を開いた瞬間、やる気を失いそうになった。……何書いてあるのかが分からない。
「……で、この勉強方の感想は?」
「授業の内容めっちゃ頭に入った」
「それは良かった」
流石に何度も質問するのは悪いと思ったので、Google先生とかYouTubeとかで粘った。
代わりにゲームやる時間が無くなるという事件が起こったが、まあ仕方ない。
「相手が君じゃなかったら、この勉強法は勧めないで別のを勧めていたよ」
「え、そうなの?何で?」
「……君は前に、学力を褒めてくれたことがあったよね」
「……うん」
「同時に、教えるのが上手いって言ってくれたこともあったよね」
「そうだね。だって、私はそれで成績とれてる様なもんだし……」
何だか言い訳をする様になってしまった。
しかしその子は首を振って言った。
「私ね、他の子にはカンニングのプロなんじゃないかとか、君にだけエコ贔屓しているとか言われてるの」
「は?何それ」
どんなにプロでも毎回成功する訳ないし、その子は一人にエコ贔屓するような人ではない(と思う)
酷い言いがかりだ。
「……私ね、勉強を教えるのが凄い苦手なんだ。だから協調性が無い、周りに合わせられないの。馬鹿だよね」
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