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武蔵五日市駅の裏山を歩く

初夏の清々しい陽射しに誘われて、新宿から中央線、青梅線、五日市線を乗り継いで1時間半で着く武蔵五日市駅の裏に広がる深澤集落から南沢山に登った。

道端には安政4年の銘がある道祖神や、庚申塔が立っている。江戸時代後期から20世紀初めまでは、林業と養蚕で栄えた地域だ。目指す南沢山は、檜原街道と青梅街道をつなぐ金比羅尾根のすぐ横にピークを持つ山だ。武蔵五日市の町のすぐ上にありながら、金比羅尾根を使って御嶽神社や青梅方面にもアクセスがいい集落だ。秋川を秋留台地から下れば多摩川本流にも接続する。

6月の里山では濃厚な甘い香りを持つテイカカズラが花盛り。ヤマユリのつぼみも膨らんでいる。ピンク、白、青のアジサイが山すそを彩る。5月にはかわいい白花をつけていたミツバウツギが不思議な形の若い果実をつけている。ミツバウツギにかぶさるように、大きなオニグルミが若い実をつけている。

山道を行くと、樹齢数百年はあろうかというウラジロカシが尖った石灰岩の上にあった。青空に樹冠を大きく広げて山を抱く姿は、マザーツリーという言葉を思い起こさせる。

南沢山山頂から金比羅尾根をくだって、武蔵五日市の町まで戻る半日のハイキングだが、下山途中には、アジサイシーズンだけ開園する全山アジサイで覆われた南沢あじさい山があり、地元のおばあちゃんがつくった香り高い草餅をごちそうになった。コンビニで売っている草餅とは違うヨモギの香ばしさに驚く。

夏至を過ぎ、初夏のさわやかさから、梅雨、盛夏へと季節が巡る。ハイキングも熱暑を逃れて、そろそろ標高を上げていこう。

土井二郎

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