厳冬期の陽だまりハイキング

晴れ渡った冬の一日、東京湾口を出てすぐ、半分外洋に面した金田湾の美しい砂浜沿いに建つ、京急長沢駅から、キャベツやダイコン(三浦大根ではなく青首大根のようだ)、ブロッコリが植わった畑の縁を、水仙、菜の花、ハコベやナズナを楽しみながら、旧津久井村の村社、浅間神社奥宮がまつられている三浦富士へ登った。

山頂から浦賀水道を隔てて指呼の間に房総半島の鋸山を望み、稜線を高射砲の陣地があった砲台山、つつじで有名な武山不動のある武山までたどる。武山山頂には、海上安全のお地蔵様である焼火(たくひ)地蔵菩薩がある。姿が美しい地蔵様で、島根県隠岐島の焼火権現を移したものらしい(隠岐島の焼火山は、北前船の航路の安全を守った重要な目標だった)。

もこもことした大きな樹冠を形成する照葉樹林の上を、トンビだろうか、中型の猛禽類が輪を描いて飛んでいるのを眺めながら武山を南に下りると、キャベツ畑の中を遊歩道がつけてあり、小川沿いの道を津久井浜に降りてこられる。

浜辺にはしゃれたイタリアンレストランもあるが、せっかくなので、金田漁港で上がったばかりの地魚を握ってくれる地元の回転すしで寿司をつまむ。東京湾と外洋の境目だからか、海の色が違う。湖面のように静かな、きらきら光る水面を眺めながら10キロも続く白い砂浜を歩く。

厳冬期だからことさら、海からの日差しが透き通って暖かく感じられた。

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