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「議論」に重要なのは「前提」だという話

時折、SNS上で熱いやり取りをしている人たちを見かけます。とある投稿に対して、持論を熱く語る人もいますね。

私自身「反論したい」「何か言ってやりたい」と感じたことが少なからずあるので、気持ちはわかります。


熱いやり取りをしている人たちは「議論」しているつもりかもしれませんが、多くの場合そうは見えません。ほぼ確実に足りていないものがあるからです。

それは「前提を考えること」そして「共有すること」です。

その投稿に対する前提を考えず、何か問題を解決しようという姿勢がないことが多いように思います。ただ自分の気持ちを収めるために言う。少なくとも私にはそう見えます。

そして、投稿できる文字数が限られているSNSでは、前提まで丁寧に説明をするのは難しいことです。「前提を共有すること」がしにくいといえます。

その点の理解も抜け落ちてしまっているのではないでしょうか。

SNSをポジティブに楽しみたいと思っている私がずっと気になっていることなので、少し考えを書いてみようと思います。

前提を考えないとどうなるか

まず、前提を考えないとどうなるのか、具体例を挙げて見てみます。

例えば、AさんとBさんが「洗濯機を使わないとき、フタを閉めておくか、開けておくか」について考えが異なるとします。そして、お互いに相手の考えが理解できないようです。

Aさん「フタは閉めておく」
Bさん「フタは開けておく」

AさんはBさんに「虫が入るかもしれないから、閉めておいたほうがいいよ」と言ったとします。

すると、Bさんは「虫が入ることはめったにないよ。少なくとも自分は経験がないな。洗濯後は内部を乾燥させるためにも開けておいたほうがいい」と返しました。

これだけ聞くと、自身の経験もふまえたBさんの話のほうが説得力がありそうです。

しかし、この会話には前提の共有が抜けていることにお気づきでしょうか。

仮に、Aさんの家の洗濯機は室外にあり、Bさんの家の洗濯機は室内にあるとしたら?

AさんとBさんが「洗濯機を使わないとき、フタを閉めておくか、開けておくか」について、相手を説得しようとしていること自体がズレているのです。

前提をお互い共有できていれば、「室外に洗濯機を置いている場合は、虫が入るかもしれないからフタを閉めておいたほうがいいよ」「室内なら、洗濯機の内部を乾燥させるためにも開けておいたほうがいいね」という話で終わります。

前提の共有がないままだと、自分の主張が正しいと信じて延々と言い合ってしまうのではないでしょうか。

自分の考えで「決めつける」危険性

そもそも、何かについて話すとき、発信するときに「こうするべき」「これが普通だ」と決めつけてしまうとトラブルにつながりやすくなります。

先ほどの例だと、AさんもBさんも「洗濯後の洗濯機はこうしておくべき」という決めつけから、持論を展開しています。

何か決めつけられると、「自分はそんなことないのに」と少しイラッとするかもしれません。あるいは、それが自分に当てはまっていたとすると「なぜこの人はえらそうにそんなことが言えるのか?」とモヤモヤしてしまうことが多いのではないでしょうか。

決めつけられたときは、つい反論したくなる人が多いかもしれません。しかしその前に、相手と自分との前提が違うかもしれないと考えることをおすすめします。

自分の家の洗濯機は室内にあるけれど、もしかしたら相手の家の洗濯機は室外にあるのかもしれない。つまり、相手と自分の前提は異なるのだと考えるとよいかもしれません。

そこからスタートすれば、自然と相手の主張の前提を考えるようになります。

相手の前提がわからないときは

相手の前提を考えてもわからないことはあるでしょう。自分なりの答えを出したとしても、それが合っているかどうかはわかりません。

相手の前提を何パターンか検討し、「もし、こういう前提でこういう投稿をしていたら問題だ」ということもあるかもしれません。

その場合は、お互いの前提を共有することから始めるとよいと思います。

とはいえ、SNSでは議論をしたくて投稿しているわけではない人も多いのではないでしょうか。

「議論したいわけじゃない」も、一つの「前提」です。SNSの使い方は人それぞれ。それもふまえて、対応を考えるとよいと思います。

言葉を受け取る人のために

相手の前提を考えること。
自分の前提を共有すること。

この2つを意識できる人が増えるだけでも、SNSは平和になるのではないでしょうか。さらに、意識することで「これは言わないほうがいい」といった判断もできるようになります。

議論は悪いことではありません。

しかし、前提を考えようとしない、前提が共有されていない議論は何も解決しないのです。そして、生まれるのは、負の感情だけではないでしょうか。


そのやり取りは、何かを解決しますか? 誰かを幸せにしますか?

「SNSをポジティブに楽しみたい」と考えている私の気持ちです。そして、それがこの記事における私の「前提」です。


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