え、いいの?

長年、切望し続けて
望んで望んで、
望み続けて、
そんな都合の良い状況
妄想の世界でしか起こり得ないと
思うような絶好のチャンスが
びっくりするくらい
きれいにお膳立てされたように
整って、自然にさりげなく
自分の前に現れると

両手を上げて大喜びではなく、
面食らって、拍子抜けして、
誰にか分からないけど
「え、いいの?え、本当に?え?え?え?」
とドギマギしながら
躊躇して、確認を取りたくなる。

「見間違いじゃないよね?
 だよね、だよね、間違いなく整ってるよね?
 え、あれも、これも、それも、
 このタイミングで全部そろってるね?
 え、どゆこと?」

目の前のチャンスに
慌てて飛び込む事をせず、
「え、飛び込むよ?いいの?
 まじで?まじか?」
と現実に起きてる事とは信じ難く
変な二の足を踏む。

「このチャンス、
 私が飛び込んでいいのですか?
 え、誰が用意してくれたのですか?
 え、偶然?え、なんでこんな偶然が?
 え?え?え?
 ん?冷静にあり得なくない?
 え?いいの?」

ピンチはチャンスという教えのもと
ピンチをチャンスに転じさせる
努力と知恵を叩き込まれてきたのに
このチャンスでしかないチャンスを
私はどう受け止めて理解すればよいのか
分からない戸惑い。
こんなうまい話、まさか裏があるとか?
なんか1点くらいデメリットがないと
逆に不安になるくらい
チャンスでしかない。

「え、いいの?」
「え、いいの?」
誰に対してのかわからない
質問を繰り返し
「君が長年待ち望んでいたチャンスだよ!
 おめでとう!」
と背中を押してもらいたい自分に
笑う。
ピンチには身軽に
「チャンス到来!」と
飛び込むくせに
チャンスには二の足踏むんだ。
照れてるような、はにかむような、
モジモジした躊躇を抱えて、
「止めるなら今だよ、
 もう飛び込むじゃうよ。
 止められないよ。」
とまた誰にかわからないが
言っている。

ぐだぐだ言わずに
はよ飛び込め!って
ツッコミたくなるような
自分のごにょごにょした感じを
飛び込む前の少しの期間
楽しんでいるような
妙な感じ。

ひひひ、
そろそろ飛び込みますか。

止めるなら今だよ。
もー止まらないけどね。

ぴょーん。



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