残念なお知らせがあります。

最近、少し落ち込み気味だった私を
友達が、気遣ってくれて、
気分転換をしようと言ってくれた。
「イメチェンだ!イメチェン!」
と騒ぐ友達を見て
過去に逆の事があった事を思い出した。
二人とも大学生だった頃に
彼女が彼氏と別れて
落ち込んでた時に
二人で気分転換に「イメチェンだ!」と
美容院へ行き
二人で劇的に髪のカラーも長さもかえ
パーマをあてた事があった。
あの時は、「イメチェンだ!イメチェンだ!」と
叫んでたのは、私の方だったのに、
立場は逆転していた。
懐かしさと、彼女との関係が今なお良好な事に嬉しいなと思いながら
「よし、イメチェンだ!」と
やはり二人して美容院へ行く事にした。

二人とも美容院で並んで座り
同時にカットしてもらうことにした。
でも、二人ともいい歳だし
あまりの冒険的なヘアースタイルは
流石に仕事上ダメだろうと言うことで、
今回は、大人なイメチェンで
髪のスペシャルエステコースを受け、
毛先をそろえる程度のカットで
止まる事にした。

学生に戻ったようなくだらないおしゃべりを
しながら鏡越しに目を合わせ
笑って時間を過ごした。
そんな中、美容師さんが彼女に近づき
彼女の耳元で小声で
「残念なお知らせがあります。」
と囁いた。そして彼女にだけ聞こえるように
何がごにょごにょ言っていた。
すると彼女が
はっきりした大きな声で
「そんな、
 白髪二本見つけただけで残念って大袈裟な!
 それ残念って言うんやったら
 頭髪どころか、陰毛にもすでに白髪
 みつけてるっちゅーねん、こっちは!
 そっちの方がよっぽど残念やわ!」
と言った。その彼女の言動にあわあわする
美容師さんが面白くて大笑いしてしまった。
「ホンマごめんな。
 昔はこんなん違うかったんやけど、
 女子らしい恥じらいを失ってしまったわ。
 もーこれが一番残念なお知らせやわ。
 残念な女でごめんやでー。」
と言う彼女の喋りっぷりに
腹を抱えて笑った。
同い年の彼女と、これから先
どんどん一緒に年老いていく中で
色々な残念なお知らせが待ち構えて
いるかもしれないが
彼女とだったら大笑いして
楽しめそうな予感がした。
「ではここで、私もひとつ
 残念なお知らせを発表します。」
と私の最近落ち込み気味だった理由を
少し冗談ぽく話すると、
「あーそりゃ、残念やわ。諦めろ!」
と軽くあしらわれ、そこからお互いの
残念なお知らせ発表会に発展した。
仕事でうまくいかなかった話
人間関係のトラブル
理想と現実のギャップ
色んな残念話を
発表しあい
最後は
「食べれるって思っても、からあげは
 三個くらいで残念ながら
 胃もたれするよーになった事を
 発表します!」
など、どうでもいいことも言い合った。
そして
「あー残念。」
「そりゃ、ご愁傷様。」
「無念!」
「成仏してくださーい!」
と軽く相手の発表を受け流しあった。

残念なお知らせは
この先何度もあると思います。
でも、それでも楽しみ
笑いに変えるだろうという
手ごたえもあります。


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