キリコの憂鬱7
街がいつもより寒くて暖かい
スパンコールのようにライトを装備した街路樹が
私の行手を阻んでいるようだ
数え切れないほどの電球が1日を彩って
美しいだとか綺麗だとか華やかだとか
溢れんばかりの季節が溢れているこの夜が
はっきりと言える嫌いだと
美しいものには裏があるって教えられてきた
「キリコ美しいものは欺瞞に満ちているのよだから世界は美しい」
そんな言葉ばかり脳裏に残っている
他面的に生きている人間がこのように出来上がって
私は終始苦笑い
街の光に遮られて人の悲しみが見えなくて
腐った季節に火をつけてしまいたいって思うんだ
忘れてしまいたいって言うならば
一時くらい忘れてしまいたいって言うならば
同じじゃないの火をつけるって
どこか人間なのね互いに、火を見ると安心するから
いつからこんなふうに思うようになったのかな
呟いて遠くを見てみるとそうね、幸福が遠い遠いところに行ってしまった
妬むからこんなふうに思ってしまう自分も好きじゃないけれど
本当にこんなふうにしか思えない自分も好きじゃない
つまり、私は相変わらず何もかもが嫌いなのだ
私の声は誰かを傷つけて嘲笑するためにあるのかもしれない
サンタクロースに嫌われた者たちが集う場所があればいいのに
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