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珈琲のこと

美味しい、と思ったのは大学生になってから。

自分でドリップするようになったのは社会人になってから。あれから20年以上、毎朝必ず自分でドリップして珈琲を楽しんでいた。

朝だけに限らず、多い日は昼でも夜でも、テーブルに座る時には必ず珈琲を飲んでいた。

豆にこだわってみたりもした。

淹れ方にこだわってみたりもした。

珈琲店にもたくさん通い、居心地の良いお店には一杯の珈琲で随分長居をしたり。

離れた恋人と、それぞれ別の場所で一緒に珈琲を味わっていたりもした。


人生で一番口にするのが多いのは珈琲だと思っていた。


なのに。

なぜだかわからないけれど。

気づくと、もう数ヶ月珈琲を淹れていない。

淹れていないことに気づいていなかった。

飲みたいともさして思わず

美味しいとも思えず。

私の中の何かが変わってしまったのだろうか。

今、私は、何か変わってしまったのだろうか。

変、なのだろうか。

また、毎朝珈琲を淹れる日がやって来るのだろうか。

美味しさを再び感じられるのだろうか。


と、最近そんなことを考えている。

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