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高段者会講義No.3【逆転の可能性を最大化する】

ご覧いただきありがとうございます。
カフェと囲碁ひだまりの八段塾塾長つかさです。

本記事ではカフェと囲碁ひだまりにて月1回開催している
ネット碁五段〜七段を対象にした研究会、
高段者会にてネット碁九段(野狐)のつかさが
行なっている碁盤を使わない囲碁講座の
内容を書いていきます。

本記事の対象者
・ネット碁五段〜七段の高段者
・棋力の伸び悩みを感じはじめた方
・努力でこれる限界がいまだと思っている方

高段者と呼ばれる段階まで囲碁を学び続けてきた方は
皆さん人一倍囲碁に思い入れがあります。
「まだ強くなりたい」と願いつつも
仕事や勉強が忙しい、囲碁にさける時間が少ない
もう強くなれる限界にきている
そう考えていませんか?
本記事では、そういった悩みをかかえる高段者の方へ
本には載っていないけど大切な技術を
七つに分類しお伝えしていきます。

なぜ、七つの技術なのか

皆さんは「上手いプレイヤー」と「強いプレイヤー」の違いについて考えた事はありますか?
塾長つかさは二つの違いを下記のように定義します。
「上手いプレイヤー」
・知識が豊富
・練習対局などではよく勝つ
「強いプレイヤー」
・大会や重要な対局で勝つ
・実力をちゃんと出し切る方法を理解している

どちらも知っている知識が同じで
実力が拮抗している場合、大切なのは
自分の実力を出し切れるかどうかになります。
ネット碁五段〜七段には「上手いプレイヤー」が
多くいます。
八段との決定的な差は実力を出し切る能力または
実力を出させない能力が大きく関わっています。
この2つの能力を八段になるために必要な
七つの技術として細分化しました。
ⅰ、時間
ⅱ、精神
ⅲ、抽象
ⅳ、戦略
ⅴ、情報
ⅵ、学習
ⅶ、検証
七つの技術を習得した時、
八段への道が見えてくるでしょう。

本記事では高段者会講座No.3【逆転の可能性を最大化する】を扱います。

逆転の可能性を最大化する

五段〜七段までのプレイヤーと八段以上のプレイヤーでは不利な局面から逆転するまでのアプローチが違います。

強いプレイヤーほど不利な時は逆転する可能性を大きくする手段を知っているからです。
キーワードは『可能性の積み上げ』です。

一発逆転を狙わない

形勢が悪い(不利)時の八段以上のプレイヤーは、一発逆転を狙わないという特長があります。

自分が不利な時、どうしても不利な局面を見るのがキツくてすぐに打開できそうな手(一発逆転)を狙ってしまいがちです。

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※リボーンの騎士第3巻より

一発逆転を狙う手は決まれば局面を打開できますがデメリットが二つあります。

①成功率が高くない
基本的に不利だった形勢が一気に良くなるという都合の良い展開になる手は成功率が高くありません。
20%未満のような手がほとんどです。

自分は結構、相手が油断していることもあるし一発逆転することあるよ。
という人もいると思いますが、基本的に勘違いです。
一発逆転を狙った手は決まれば爽快で印象に残りやすいものです。
5回に1回しか成功していないのに、強烈な印象をもつ1回を全てだと思い込んでしまっていることがほとんどです。

そもそも、成功率が高いうえに形勢が良くなる手は一発逆転ではなく決め手になります。

②1回失敗したら立て直せない
一発逆転の手は、1回は打ててもそれが失敗するともう一度逆転を狙った手を打つことができなくなります。

成功率の推移が下のようになります。
一発逆転(20%)→5%→1%
一発逆転を狙った手では、失敗したあとの逆転の可能性がいちじるしく失われてしまいます。

これは、何回も対戦することが決まっていれば構いませんが、トーナメントなどの負けられない戦いでは成績を向上させづらくなります。

つまり、八段以上のプレイヤーは一発逆転を狙わずになにをするのかというと『可能性の積み上げ』をしていきます。

『可能性の積み上げ』とは

八段以上のプレイヤーは一気に形勢を逆転させる手より、相手の譲歩を引き出すラインを突いていきます。

相手の譲歩を引き出すラインとは、成功率40%の手です。
目安は、通常打ったらとがめにくるけど勝っている時は反撃が怖いからとがめにこないラインです。
通常より3目〜5目得しそうな欲張った手です。

その1手では逆転できませんが、相手の譲歩を引き出す回数を増やし、相手との差を叙々に詰めることをしていきます。

うまい人の逆転の仕方は細かく詰めていくことにあります。
20目差→15目差→12目差→9目差→6目差→互角

つまり、1回に詰められる距離は短いですが、1歩ずつ詰めることで逆転できる可能性を積み上げし、最大化しているのです。

譲歩は連続する

ここで大切なポイントは、相手の譲歩のラインを見極めることです。
なぜなら、一度譲歩した(ゆるんだ)相手はまた譲歩する(ゆるむ)というところです。
リードを奪って保とうとした時、一度譲歩すると次にとがめようとした時に全体のバランスを崩すことになります。

そんなにしなくてもいいという相手の心理も手伝い、どんどん差を縮めることができます。

つまり、譲歩が連続することを知っていれば、相手の譲歩するラインを見極めることの大切さがわかるようになります。

譲歩のラインを見極めるには

譲歩のラインを見極めるのはとても難しいものです。
ですが、先にも書いたように目安としては3〜5目の得を目安とします。
しかし、どれだけ形勢に差があるのかによっても譲歩のラインは大きく変わります。
20目差ならとがめにきても50目差なら譲歩するパターンもあります。
これは、細かく詰めて逆転できたという経験をどれだけしたかがカギになります。

まとめ

一発逆転を捨て、『可能性の積み上げ』をしましょう!

一発逆転は決まれば爽快で気持ちの良いものですが、成功率が低く成績を向上させることが難しくなります。
強くなるには、「負けるはずだった1局」を勝ちに変えることが必要条件になります。

苦しい時間帯が長くなりますが、歯を食いしばって1歩ずつ相手との距離を縮めましょう。
最後の最後に相手を抜き去る快感は、今までに味わったことのない喜びをくれます。

まずは、不利になったときに細かく詰める意識を持ちましょう。


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最後まで読んでくださりありがとうございました。
つかさ

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