ドラグナーの本分045_1

#05 テット、空に舞う(3)

 テットはペーターの胸元にぶら下げられてフワフワと宙を舞う。今日は少し風があるのか、若干ペーターがバランス取りに苦労している模様。機首方向が風下側へ流れている。

 ペーターの魔法力によってマイナスGで上へ加速するのだが、ペーターの上面の面積が結構大きいので空気抵抗と釣り合って等速移動になるのだ。そのほうが都合がいい。地面にあるテット本体からケーブルを取り出さねばならないためだ。掃除機のコード巻き取り部分みたいな機構なので、あんまり激しく引き出すと故障する恐れがある。ここではお見せできないが、テットの上昇中にアッシュがせっせとテットのボディからケーブルを引き出しているというシュールな場面があったのだ。挿絵化する日は多分来ない。

 今日の更新の内容は実はこれまでなのだが、せっかくなので解説を少々。なぜテットの頭が高所へ運ばれているのか?それは周辺にいるはずのゴールドバードを広域にわたって観測するためである。エレノアはテットと魔法力を使って普通の人の数十倍もの視覚を一時的に得ることができる。ただし、広域すぎて距離感がつかみにくくなる。真正面に見えた物の位置がが2km先なのか3km先なのかが分かりづらくなる。そこで上空にテットの目を移動させ、上空からも見ることで距離感を補うことができる。テットアイズとでも呼ぼうか。

 テットも万能ではないので自力飛行なんでできないし、エレノアとテレパシーで通信なんてことも不可能。ペーターに連れられて上空に移動し、地面のボディに有線通信で情報を送り、ボディにタッチしているエレノアは魔法力の授受とともにテットからの情報を得る。この世界は何かにつけて接触しないと魔法力の伝搬ができないという制限がある。そうしないと、魔法力で何でもありな世界になってしまうからね。それはつまらない。


 今日の更新はここまで。次回に続く。


読んでくれてありがとう。気長にマイペースに書いてます。この出会いに感謝😊