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突貫工事でZbrushプラグインを公開した話

(約 2,400文字の記事です。)

Zbrush 2022になってからギズモの挙動に焦点移動が~(略)これ、今日はもう5回目くらいに書いている内容なので、さすがにもう省略。

簡単に言うと、凄く便利な機能が付いたのだけれど、逆に「これまで通りでいいんだよ!」という人にとっては使いにくくなったのだ。それを補うためのプラグインを作って、今回は無料で公開したという話だ。

んで、無料公開なのでサービス要素はほとんどなし。今まで積極的に行ってきたバイリンガルUI対応も英語オンリー。プログラムの論理設計も全て頭の中だけで行った一発勝負。そしてアイディアが固まった段階でそのままコーディング&実装&バグテスト、そして完成。

この間40分。できた。あとは公開しておしまい。ちゃんちゃん♪

……、とはならなかったのだ。

無料公開なので「使い方については公式ウェブサイトを読め」でおしまい。1~2時間でできるだろうと思っていた。

ところが、である。その「読めば分かるウェブサイト、全てを網羅したウェブサイト」これを作るのが大変だった。

結果、驚きの3.5時間。なぜ……。理由はいくつかある。

まずはバイリンガル対応の画像を考慮しなければならない点。文章はGoogle翻訳で英語になってくれるだろうが画像は不変だ。だから画像に吹き出し文字を入れる場合には日本語と英語が必要だ。ということはスクショも日本語UIと英語UIの2枚必要だ。

とにかく画像に関する処理が2倍手間がかかる。仮に日本語のみで5分でできる図作りも、実際には10分かかる。それが3枚あれば30分。うん、すぐに1時間くらいは消費する計算になる。The 誤算。

そして「色んなユーザーに対応すべく全方位の禅問答を一人で行わなければならない点」これで執筆速度がガクンと落ちる。仮にハードサーフェスモデラーを対象とした記事ならば割と早く書ける。だがZbrush使いは人物フィギュアなどのソフトサーフェスモデラーのほうが多い。なので2つの方向からの視点でマニュアルの記載内容を検討する必要がある。

また3年以上のベテランZbrushユーザーから、先月から触り始めた初心者まで、ユーザーレベルの違いも意識する必要がある。ベテランユーザーだけを考えるならば「あとは当プラグインのDrawボタンに好きなホットキーを割り当てて使ってね」この1行で済む。だが初心者からすれば「ホットキーの割り当て方法は?元のホットキーを上書きしていいの?元に戻す方法は?」などなど、当初の想定からずれて何倍も情報が膨らむ。

ではこれらを切り捨てていいかというと、それも乱暴な話。というのも現にたくさんあるサイトではそういう「肝心なところ」がすっぽり抜け落ちているサイトがたくさんあるからだ。

なのでそういう「省略したいけれど省略したら困るユーザー」のことを考えると、省略できずに、結果として図解を入れて説明すると、想定の何倍も時間とエネルギーが取られる。だが言いたいことは「あとはユーザーがホットキーを割り当てて好きに使え」この1行だったりする。

結局、40分で完成したプラグインを「万人に向けて分かりやすく使い方を説明した上で、無料であってもDL手段を提供する」までに、トータルで約5時間かかったわけだ。

5時間のただ働きを、あなたはしたいですか?これが「私がZbrushプラグインを無料公開したくない理由」なのだ。この失ったコストを金銭以外でどうやって回収すればいいの?無料のツケは、結局はコストを捻出した人が負うことになるのだ。

これを便利に使ってくれる人がいるのは嬉しい。だがそれは「誰?」だ。顔も知らない。性別も経歴も知らない。そんな人の幸せのために自分を削ることは、自分の幸せにつながるのか?と。だから基本的に無料での開発や公開は、原則として行っていない。

今回は色々あって、Zbrush 2022のギズモ関連の改良で「結構困っているユーザー」を色々と見知ったから。本当は寄付価格で製品版として公開し、無料版は公開NGにしたい。だが今回は、基本を無料版とし、寄付版を文字通り寄付用の手段として公開することにした。

が、私自身は結構冷めていて「人は一度無料で手に入れたものは、以後、決してお金を払わないイキモノ」だと知っているし、善意に期待しても「想像の10分の1にも満たない」ことも知っている。それでも今回無料公開したのは、それなりの理由がある。だがそれは秘密にする(笑)

まぁ、色々と願った時点で、負けているのだが(笑)
誰に対して?知らんwww

とは言え、Zbrushをこれまで通り便利に使えるようにできる無料のプラグインが世に放たれたことは確かだ。しかも無料となれば、使わない手はないでしょ?(撒き餌)今回はそういうプロモーションとしての側面がある。

あとは以後の反応を見て今後のZbrush開発の方向を決めたいと思う。


というのも、私個人の創作活動においてはZbrushの必要性は下がってきている。Blenderのスカルプトで何とかなりそうな造型レベルであることと、リグポージングやテクスチャリング、レンダリングなどの兼ね合いでZbrushオンリーよりもBlenderオンリーのほうが歩があるからだ。なのでZbrush依存の理由がプラグイン開発=マネタイズに絞られつつある、私にとっては、ね。

その動向を決める上でも、無料プラグインに関する反応、寄付、直近に公開した高額プラグインの動向、これらを分析しつつ、次の手を考えたいと持っている。

なお、今個人的に注力していることはウェイト関連とテクスチャ関連だったりする(笑)どちらもZbrushでは無理な分野の話であり、当然ながらBlenderで試行錯誤中だったりする。


今回の創作活動は約45分(累積 約2,715時間)
(735回目のnote更新)


読んでくれてありがとう。気長にマイペースに書いてます。この出会いに感謝😊