見出し画像

政治講座v208「ロシアの戦車(張子の虎)は時代遅れ」

戦前日本は戦術に於いても、かつ、技術に於いても優れていた。真珠湾攻撃における飛行機の活躍は米国を驚かせた。それまでは艦隊VS艦隊の戦いが主流であったが、戦闘機による制空権確保の有効性にいち早く気が付いた米国は、戦闘機や爆撃機の増産体制に入るのである。戦闘機の有効性と攻撃能力の成果をまざまざと見せつけたのが日本の零戦戦闘機による真珠湾攻撃であったのである。戦争は消耗戦でもあるので生産能力の差がその後の勝敗になることは、日本も分かっていたのである。戦争は持ちこたえて2年という当初から計算されていた。ドイツ・イタリアの敗戦ご集中して日本に攻撃が集中してきたのである。
さて、艦隊VS艦隊から戦闘機による制空権の時代に移ったのは80年前の話してある。戦車VS戦車の時代も現代においては時代錯誤の戦術である。ドローンなどが今回のウクライナの防御戦術で成果を上げている姿が報道されている。
歴史を見ると日本の戦艦大和、戦艦武蔵の末路が時代錯誤の結果でもあった。相手を威嚇する兵器としては有効性があったが、戦果を出した記録がないのが残念であった。

零戦

大和

大和(やまと)は、大日本帝国海軍が建造した大和型戦艦の1番艦2番艦の武蔵とともに、史上最大にして唯一46センチ砲を搭載した超弩級戦艦である。建造当初は、世界最大最強の戦艦だった。呉海軍工廠で建造。昭和20年(1945年)4月7日、天一号作戦(坊ノ岬沖海戦)で沈没


武蔵

武蔵(むさし)は、大日本帝国海軍の大和型戦艦の2番艦。艦名は武蔵国から因んで命名された。この名を持つ大日本帝国海軍の艦船としては3隻目にあたる。大日本帝国海軍が建造した最後の戦艦である。

なぜ武蔵は沈み、粉々に砕け散ったのか?

謎を解明するため、NHKは入手した映像を1,000万枚の画像に分解し、それらを組み合わせることで、武蔵の立体モデルを作成。完成した武蔵は全長263メートル、基準排水量6万5千トン、ジャンボジェット機3機分もの大きさだった。前方に世界最大の46センチ砲を2基、後方に1基を搭載し、主砲からの砲弾は42キロ先まで届いたとされる。当時のアメリカの最新鋭の戦艦、アイオワ級の38キロをしのぎ、遠距離攻撃で敵をせん滅する戦術だった。

さらに武蔵は最強の防御力も誇っていた。40センチもの厚さの装甲板は、敵艦の砲撃からの衝撃を和らげるため、斜めに取り付けられていた。建造を担ったのは日本最大の造船設備を誇っていた三菱重工長崎造船所。4年の歳月をかけ、1942年に完成した。

技術の粋を集め、国の命運をかけて建造された武蔵。
しかし、その命は短かった。

太平洋戦争末期、南方の重要拠点、フィリピン・レイテ島に侵攻するアメリカ軍をせん滅するため、大和とともに出撃した武蔵だったが、作戦の途中、シブヤン海で沈没した。戦艦同士の戦いならば、たしかに武蔵は世界一の攻撃力に加え、最強の防御力を誇っていた。しかし、武蔵と戦ったのは戦艦ではなく航空機だったのである。

日本の真珠湾攻撃によって、航空機が戦況を左右すると認識したアメリカは、事前に情報をつかみ、パイロットたちに至近距離から魚雷を命中させる訓練を徹底。一方、レイテ沖海戦の4か月前、マリアナ沖の海戦で空母3隻失うなど壊滅的な被害を受けた日本は、武蔵に護衛航空機をつけることができなかった。

このとき、海軍上層部の一部は武蔵が出撃したとしても、戦況を覆すのは難しいと認識していたようだ。武蔵がいた艦隊の参謀長は戦後、当時の作戦について、手記でこう振り返っている。
「レイテ沖海戦は、兵理(へいり)を超越して、ただ遮二無二突撃するという肉弾特攻戦であった」

武蔵は戦艦の砲撃の角度に対しては強度を高めていたが、航空機による魚雷は真横からの攻撃。専門家は複数の魚雷がつなぎ目付近を直撃した結果、リベットがはずれ、その隙間から浸水して沈没したのではないかと分析する。しかも海軍上層部はその弱点に気付きながらも、対策をとらなかったことが、武蔵の建造に携わった人物の手記からもわかっている。

武蔵沈没の原因は、攻撃によって装甲板を破られたのではなく、分厚い装甲板をつなげていたリベットにあったのだ。

しかし、武蔵にはもうひとつの謎が残っている。形をとどめたまま沈んだ武蔵が、なぜ、バラバラになっていたのか?

この点について、爆発研究所代表の吉田正典さんは武蔵が積んでいた火薬が水中で大爆発した可能性を指摘する

主砲付近に大量の弾と火薬を積んでいた

戦闘で主砲を撃つ機会がほとんどなかった武蔵には、160発以上の弾とそれを発射するための100トンの火薬が残っていたと見られる。さらに、火薬の缶の残骸が海底に散らばる一方で、映像に映っていた主砲弾はわずか3発。戦況を覆すための攻撃力があだとなって、武蔵は砕け散ったのだ。

ロシア軍の弱さに青ざめる北朝鮮と中国

伊東 乾 2022/04/18 06:00

© JBpress 提供 ロシアの戦車の天敵、無人攻撃機「MQ-9」
(2021年9月9日撮影、米空軍のサイトより)

21世紀の今日、戦車という兵器はすでに「弱い者いじめ」の道具にしかなっていません。なぜか?
今日の「強者」、つまり高度に情報化された西側の兵器は、AIの指令誘導などで確実にターゲットを落とします。象徴的だったケースとして2020年1月3日に米軍によって暗殺されたイランの特殊部隊を率いた智将・ガセム・ソレイマニ司令官のケースが挙げられます。
ソレイマニ暗殺に用いられたのは米空軍の軍事用ドローン「MQ-9リーパー」無人機でした。このドローン、巨大なミサイルを搭載して14時間、疲れを知らず飛び続けることができます

 米軍の対戦車ミサイル「ヘルファイア」など、20世紀後半に開発されたインテリジェントな誘導兵器は、GPSを筆頭に冷戦後に発展した情報システムで命中精度を上げました。こうしたミサイルがMQ-9のような軍事用無人機に搭載されることで、冷戦後第2世代の爆砕精度は格段に上昇。さらに2010年代以降の第3次AIブーム、民生では「自動運転車」と喧伝された機械学習技術を吸収して、冷戦後第3世代の「スマート兵器」は、ピンポイント攻撃力をケタ違いに強化した。それを2020年の年頭に見せつけたのが隣国イラクのバクダード国際空港近郊を走行中の自動車をターゲットとしたソレイマニ司令官爆殺であったことは、リアルタイムで本連載にも記しました。

 これに対して「戦車」にはどのようなイノベーションがあったのか?
実は、ほぼ、何もなかったんですね。後述する通り冷戦中期、1970年代で実質、軍事イノベーションがストップしていた。
今回のウクライナ戦争で、露軍のダメダメぶりが世界にはっきり露呈しました。特に戦車を中心とする陸軍力は「世界最強」というロシアのこけおどしが、完全に化けの皮を剝がされた。

 すでに「戦車」という兵器が「軍馬」に近づいている。つまり、パレードで昔を懐かしむ退役軍人など、高齢者の目を楽しませる、郷愁の対象に変質しつつあるのです。


便所無しの兵器の欠点


「大」は無理な兵器内用便事情

 実は「戦車」という兵器には、他の米露最新鋭機を含め「便所」は、原則一切装備されていません戦闘機のコックピットも同様とのこと。

 見た目にはかっこいいブルーインパルスにもトイレはなく、一度搭乗したら「締まりよく」我慢するしかない。便所は基地にあります。

 これは西側も同じことで、米軍の主力戦車M1エイブラムズは、1980年に正式採用された戦後「第3世代」主力戦車ですが、これにもトイレはついていません。戦車乗りは多くの時間を、微妙にモジモジしながら戦闘しているわけですね。

 ナチス時代、ドイツの天才的智将として敵からも称賛された「砂漠のキツネ」エルヴィン・ロンメル(1891-1944)は、戦車部隊の凄まじい高速電撃作戦でフランスを瞬時に落としましたが、彼はトイレに行きたかっただけなのかもしれません。

 戦車というのは60トンほどもある鉄の塊をディーゼルエンジンで動かす、もともとは1916年に英国で発明された兵器

 何しろ重いので、速度は時速40キロほど、燃費は凄まじく悪く、リッター200メートルとか400メートル、2000リッターからの燃料を積んでいても航続距離はせいぜい400~500キロ。補給なしの航続時間は半日程度

 でも考えてみてください。長距離トラックの運転でも10時間運転しっぱなしでは参ってしまいます。高速道路で400キロ、パーキングエリアがなかったら・・・。東京から大垣までトイレに行けない状態。

 皮肉な話ですが、英国で秘密開発中は暗号で「水運搬車(Water Carrige)」つまりWCで聴こえが悪いので「タンク」と呼ばれるようになったのは有名な話。

 でも戦車自体の中にはトイレ用のポリ「タンク」は持っていなかった。戦隊壊滅の有効な方法として、下剤をばら撒く戦法が可能かもしれません。

 前線の兵士たちは常にトイレを我慢しながら戦っており、前近代的な装備しか持たないウクライナ戦争のロシア軍は、第2次大戦さながらの非人間的な戦闘環境を強いられているわけです。

 現在ウクライナ戦争にも主力投入されているロシアの「T72(ウラル)」なども、トイレは配備されていません。1台3人の乗組員は戦車の中で飲食はできても、用便は原則、不可能

 実際には「小」の方は、ペットボトルでも何でも持ち込んで凌ぐ工夫もできるでしょう。しかし、飲食もする狭い空間に3人配備の中で「大便」の余地はない。

 つまり、戦車の乗員が大便するためには、車内の配備位置を離れ、外に出、野原などで用を足すことになります。

 こう考えると、まだ実践投入されたことのない「T14」へのトイレ装備は「画期的」です。「大便休憩中」に襲われたら、戦車はひとたまりもありません。 呵々。


「巡洋艦モスクワ」轟沈が象徴するもの

 ロシア軍の連戦連敗はまた、北朝鮮にとっては悪夢と映っていることでしょう。兵器の威力という点ではおそらく中国も同じだと思われます。

 建国以来一貫して兵器をソ連~ロシアに頼る北朝鮮にとって、ウクライナのロ軍敗退は、もし本当に開戦してしまったら、平壌で何が起きるかの近未来地獄絵図と見えるはずで、「火星17」ロケット花火なぞ打ち上げて見せている(https://www.bbc.com/japanese/60871358)。

 原理的にこの戦争でロシアに勝ち目はないと私は思います。また北朝鮮は仮に本当に戦端が開かれてしまえば「電撃戦」で終わる可能性が高いでしょう。しかし、合理的な根拠があります。正味で「冷戦ど真ん中」1970年代の戦車でウクライナに侵攻し、ブチャやキーウ、マリウポリの市民を蹂躙見せしめに殺した市民の遺体を街路に放置する占領地の恐怖統治など「弱い者いじめ」しかできていません。国連も戦争犯罪摘発に動き始めました。これに対して、ウクライナ軍が米国ほか西側から供与される武器は「冷戦崩壊後第3世代2010年代のAI制御「ドローン搭載ミサイル」ですから、最初から歯が立つわけがありません。片や1.7トンの対戦車ミサイル搭載して14時間、不眠不休で飛び続ける「MQ-9リーパー無人機」。

 対する側は、数時間に1回は「大便休憩」でハッチを開け、持ち場を離れ兵士が無防備にパンツを下ろし野原にしゃがみこまねばならないプレジネフ・モデルの「T72 」ソ連戦車

 両者が5~6時間も戦闘を続ければ、生身の兵隊はお腹がゴロゴロ言い始めますし、疲れを知らないAIは一瞬のスキも見逃しません

 何が起きるかは火を見るより明らか。

 その結果は「キーウ近郊」に累々と放置されたままになっている、まる焼けになった無残なソ連戦車残骸を、どなたもご覧になったでしょう。あれです。

 また焼け焦げた戦車の数の3倍、哀れなロシア兵の若者が命を落としている。こんな必敗状況で、命からがら現地から引き揚げてきたロシア将兵は、一部始終を見、かろうじて生還できたわけで、再出撃の命令を拒否するロシア兵続出との報も聞かれます。

 旧ソ連軍のミニチュア「チビ太」状態の北朝鮮については言及の必要もないでしょう。

 さて、そんな中4月14日、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」沈没(https://www.asahi.com/articles/ASQ4H2520Q4GUHBI044.html)という象徴的なニュースが飛び込んで来ました。

 ロシア側は「火災」といい、米~ウクライナ側は対艦ミサイル「ネプチューン」2発で沈めたと主張。どちらが正しいにせよ「モスクワ」が沈んだ事実は間違いありません

 この「モスクワ」も1976年竣工、79年進水式の後「アンドロポフ体制」のソ連海軍巡洋艦として83年1月に就役、90年に退役していた典型的な「冷戦期モデル」の軍艦でした。

 静かに余生を送っていた旧世代巡洋艦、プーチンが権力を掌握した2000年に「再就役」し、老骨に鞭打って黒海艦隊のこけおどし武力を象徴していたわけですが、そういう弱点を見落とす米軍ではありませんでした。で一発轟沈。


参考文献・参考資料 

ロシア軍の弱さに青ざめる北朝鮮と中国 (msn.com)

零式艦上戦闘機 - Wikipedia

大和 (戦艦) - Wikipedia

武蔵 (戦艦) - Wikipedia

“無敵の不沈艦”はなぜ沈んだ? 武蔵の知られざる真実と最後 | NスペPlus (nhk.or.jp)

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?