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政治講座V55「連座制:法律の拡大解釈?」

野党陣営の有力候補と目される尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長が朴槿恵元大統領を憲法違反の連座により有罪にしたとされている。今回は恨国の前近代的李氏朝鮮時代に適用した連座制で裁いた張本人であることに注目頂きたい。今回は「やさしい法律講座」と合わせて編集した。視野を広げるためにご覧あれ!

                    皇紀2681年7月7日 七夕

                    さいたま市桜区

                    田村 司

はじめに

有力候補と目される尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長の人物像

朴槿恵元大統領を憲法違反の連座により有罪にしたとされている。

もし、彼が大統領になったら、親戚、部下、同僚、すべてを連座の対象にして犯罪者にするであろうと推測される。日本にとっても好ましい人物とは言えないとの評判も悪いにである。

やさしい法律講座v44 「大韓民国憲法第13条の憲法違反の法律(親日罪)と憲法違反の連座制での拡大解釈 及び日本の公職選挙法」・・・参考資料



文政権の脱原発政策を批判


2021/07/05 16:42




来年3月の韓国大統領選で野党陣営の有力候補と目される尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長(左)が、文在寅(ムン・ジェイン)政権の脱原発政策を批判した。この日、尹氏は脱原発政策に反対するソウル大教授と面会。面会後、記者団に「拙速な脱原発への動きは修正しなければならない」と述べた=5日、ソウル(聯合ニュース)

時代に逆行する「新連座制の亡霊」=韓国


ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2014.09.12 08:54


「すべての国民は、自らの行為ではない親族の行為によって不利益な処遇を受けない」。

大韓民国憲法第13条3項の「連座制禁止」条項である。

個人の犯罪家族・親戚にまで責任を問う連座制は、近代人権思想が確立された後、文明社会から消え去った野蛮的制度だ。韓国でも1894年〔朝鮮高宗(コジョン)31年〕甲午改革の時に連座制が廃止された。

しかし連座制が消えて120年が過ぎた今でも、依然として韓国社会には連座制の亡霊が飛び交う。5日に選任されたイ・インホ新任KBS理事長(78、女性)の祖父の親日行跡論議が代表的だ。イ理事長の任命に反対する新政治民主連合議員らと一部の市民団体は「イ理事長の祖父であるイ・ミョンセは、太平洋戦争で朝鮮人を動員するために作った団体の創立発起人で親日派の巨頭だった」としてイ理事長の辞退を主張した。だが金大中(キム・デジュン)政権時期に女性で最初に4強(ロシア)大使をつとめ、10年間余りにわたって公開活動をしてきたイ理事長に対して、祖父の行跡を口実で攻撃するのは時代錯誤的という批判が相次いでいる。

「連座制禁止」が明文化された1980年の改憲議論過程に参加したソウル大学のキム・チョルス名誉教授(憲法学)は11日「改憲当時には親日よりも親戚の越北などで差別を受けることを防ぐためにこの条項が導入された」として「この頃は統合進歩党の李石基(イ・ソクキ)議員のように、反国家活動(民主革命党事件)で処罰を受けても赦免復権されて国会議員になった人もいるのに、自身と関係がない祖父のことまで引き出すのは憲法精神にそぐわない」と話した。

野党圏にも被害者が多い。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領(妻の父)金槿泰(キム・グンテ)元議員(兄弟)など、家族・親戚の左翼経歴のために連座制攻撃を受けたケースだ。

保守・進歩間の陣営争いが激烈な時に連座制は特に猛威を振るう。保守には親日派、進歩にはアカという烙印を押すものだ。

陣営論理にともなう21世紀版「新連座制」は、社会を分裂させて国益を壊す。

120年前に廃止された連座制が大衆感情に直接・間接的に影響を及ぼしながら社会を誤った方向に引っ張っていくことに対して、自省と憂慮の声が高まっている。ソウル大学のカン・ウォンテク教授(政治学)は「連座制によって被害を受けた進歩勢力が、政治的立場が違うという理由でまた別の連座制を突きつけるのは『政治的な剖棺斬屍(墓に埋められた遺体を掘り起こして痛めつける刑)』として「国家エネルギーの浪費を防いで未来に出て行くためにはこうした古臭い論争から抜け出さなければならない」と話した。

連座制論議の弊害の1つは、使える人材集団を狭めるという点だ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の青瓦台(チョンワデ、大統領府)政策室長をつとめた国民大学のキム・ビョンジュン教授(行政学)は「連座制論議を克服するための案の1つが不偏不党の人事」として「適合したビジョンと哲学を持つ人を適材適所に配置してこそ韓国社会の談論レベルも一次元高くなることができる」と話した。

米国の場合親戚のことや過去の前歴で被害を受けることはほとんどない。2012年1月に米国連邦捜査局(FBI)がわいろ要求疑惑でジミー・メン元州下院議員を逮捕すると娘のグレース・メンは「私は父から独立している」という声明を出し、彼女はその年に下院議員に当選した。

連座制の感覚が色濃く残る韓国と朴大統領にのしかかる一族の“暗部”


韓国の野党が、朴槿恵(パク・クネ)大統領に対して、「実妹(朴槿令=パク・クンリョン=氏)の親日言動について釈明せよ」と要求したのは、この国に連座制の感覚が色濃く残っているからなのだろう。連座制の背後にあるのは「一族重視」の儒教思想だ。その中で、朴氏が「一族無視」を貫いているのは賢明なことと思われる。大統領一族には“出来悪の人物”が多すぎるようだから。 韓国で「一族」とは32親等までというから目が回る。そうした一族で最近、韓国紙に登場したのは「いとこの夫にあたる70代の元国会議員」だ。

8月19日の聯合ニュースによると、「マンション建設の許認可をめぐる大規模な不正事件にからみ指名手配を受けていた男から、青瓦台(大統領府)秘書官を通じて事件をもみ消すよう頼まれ、計5300万ウォン(約534万円)を受け取った疑い」で逮捕された。朴氏が「一族無視」の姿勢を何度も示しているのに、業者は「それでも、いとこの夫」に請託すれば何とかなると考えたのだ。8月4日には、「いとこである50代の女性」が自分の母親(大統領の母である陸英修=ユク・ヨンス=氏の妹)に刃物を振り回し、罰金刑を受けたと通信社ニューシスが報じている。一族には詐欺常習犯もいる。
企業を買収・合併したり不動産を購入するとして、5人から4億6000万ウォン(約4642万円)を借りた後、返さなかったとして逮捕された「いとこの息子」は、それまでにも「数回、詐欺罪で処罰を受けていることが分かった」(中央日報、2013年9月10日)という。日本で人気があったが覚醒剤使用で退去処分となった歌手、桂銀淑(ケ・ウンスク)は帰国後、リースで入手したポルシェを売り払った容疑で逮捕されたが、朝鮮日報(14年8月7日)は、その詐欺の指南役が「大統領のいとこの息子」だったと報じている。前述の詐欺常習犯と同一人物なのか、どうか。


金正恩(キム・ジョンウン)氏
一族郎党をまとめて処罰 北朝鮮の無慈悲な粛清「連座制」とは

女優も男優も家族もみんなまとめて…金正恩氏の「無慈悲な処罰」とは

北朝鮮には「連座制」がある。誰かが国家反逆罪に問われたら、その一族郎党がまとめて処罰されるシステムだ。現在、政治犯収容所には8~12万人が囚われていると推定されるが、その何割かは本人に罪はなく、この「連座制」で送られた人々だと見られている。たとえば、韓国のNGO・北韓人権情報センターが2016年8月1日に発表した「北朝鮮政治犯収容所の勤務者、収容者、失踪者人名辞典」によれば、ここで言及された収容者・収容推定者・行方不明者1258人の罪名で最も多かったのが、連座制の365人(29%)だった。


連座制が大規模に適用された事例として知られるのが、1990年代に起きた「フルンゼ軍事大学留学組事件」と「第6軍団軍事クーデター未遂事件」、そして「深化組事件」だ。いずれも千人単位の人々が粛清対象となり、とくに深化組事件では2万5000人が処刑されたり収容所送りになったりしたと言われる。

これらはいずれも、金正日総書記の時代に起きた出来事だ。金正恩党委員長の時代になってからは、これほど大規模な連座制の適用は報告されていない。ただし、2013年に金正恩氏の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が処刑された際には、彼に連なる人々が大勢粛清された。

その中には、「喜び組」出身で一時は銀幕のスターだった女優キム・ヘギョンや、北朝鮮きっての「イケメン俳優」と言われたチェ・ウンチョルも含まれている。とくにチェ・ウンチョルは、張成沢氏の縁戚だった。彼は、一時は北朝鮮で「実力ナンバーワン」と言われた張成沢氏の威光を背景に、様々な利権事業に介入して巨額のカネを手にしたのだ。そこまでは良かったものの、2013年12月に張成沢氏が処刑されると、「張成沢一派」と見なされともに葬られてしまったのだ。

またキム・ヘギョンは張成沢氏の愛人であり、ふたりの間には子供もいるとされる。このほかにも、張成沢氏の関連で連座制により収容所送りになった人々もいると思われる。その実態が明らかになれば、いずれ深化組事件などと同等の大粛清として語られる日も来るかもしれない。

改めて言うまでもないことだが、罪を犯したわけでもないのに、肉体的・政治的に葬られるなどあってはならないことだ。金正恩氏は、この非道かつ無慈悲な手段を、迷わず行使できる人物なのである。

[オピニオン]「腐敗連座制」
ある若者が大学を卒業し、公務員試験に合格した。ところが発令がでない。「身元照会」で、親族が越北(進んで北朝鮮に渡ること)したことが明らかになったためだ。ある会社員が海外出張命令を受け、パスポートの発給を申込んだ。ところが、発給が拒否された。父親が思想犯であるとの理由だった。今ではほとんどなくなったものの、10〜20年前まで、私たちの周りで見かけられる風景だった。これは、親戚の中に「問題人物」がいる場合、進学、就業、海外出張など、社会生活に不利益を伴なう連座制(縁座制)から来ているものだ。

◆連座制の歴史は長い。高句麗(コグリョ)、百済(ペクジェ)、新羅(シルラ)は、反逆者の家族を奴婢にしたり、打ち首にしていた。朝鮮時代には、連座の範囲を具体的に明示した。謀反大逆罪の場合、罪人は全身を切断して殺し父親と16歳以上の息子は絞首刑に処した。16歳以下の息子と母親および妻妾は、奴婢にした。

さらに、罪人の家族を辺境に移住させることもあった。この連座制は、1894年の甲午(カボ)の改革(金弘集ら開化派が、政治制度を近代的に改革したこと)の際に廃止されたが、その後日本による植民地時代と南北分断の過程で再び復活した。とりわけ、分断という韓国の事情がら、多くの被害者をつくりだした。映画「実尾島(シルミド)」で、ソル・ギョングの役は、越北した父のせいで連座制に引っ掛かり、社会に適応できないまま、暴力団となった人物。

◆野党ハンナラ党が、政治家の腐敗行為に対する連座制の導入を進めるということだ。「政治家の配偶者、随行秘書、運転手、執事など、代理人や側近が賄賂を受取ると、本人が受け取ったものと見なして処罰する」との条項を、腐敗防止法や刑法に盛り込もうというのである。かつてとは性格が異なるものの、連座であることには違いない。「手先」だけが処罰を受け、「黒幕」は法の網から逃げ延びるケースが数多とあるわが国の現実政治において、制度として定着すれば、腐敗を追放する一つの方法になり得ると思ったのだろう。

◆しかし、目的が手段を全て正当化するとは限らない。いくら志は良くても、法の原理に反するものであるなら、問題がある。憲法第13条第3項は「すべての国民は、自らの行為ではない、親族の行為により、不利益な処遇を受けないものとする」と規定づけて、連座制を禁じている。大事なことは、そうした制度ではなく、政治家やその周りの人々すべてが、自ら腐敗には染まらないという心構えを、内面化することである。「心—行動の連座制」とでも言うべきだろうか。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com


日本の連座制とは

犯罪者の特定関係者に刑事上の連帯責任を負わせる制度。

(1)日本では律(律令)にも規定があるが,特に武家法で漸次強化された。江戸時代には縁坐は緩和されたが,一般的には公的・私的関係ともに広く適用された。

(2)選挙運動において,公職選挙法に定める特定の者が一定の選挙違反を犯し刑に処せられた場合,検察官が高等裁判所に起訴し,被選挙人の当選も無効とさせる制度

1950年公職選挙法にその規定が設けられて以来,実際に当選無効となった例は1994年までにわずか1例しかなかった。政治改革の一環として1994年1月細川護煕(もりひろ)内閣)に法改正が行われ,従来の選挙運動総括主宰者,出納責任者,地域主宰者,親族,特定の公務員のほかに,新たに議員秘書も関係者に加えられ,親族・秘書が禁錮以上の刑に処せられた時は,執行猶予つき判決でも連座制が適用されることになった。さらに1994年11月(村山富市内閣)には選挙運動の計画立案,指揮を行う〈組織的運動管理者〉にも適用範囲が拡大され,その者が禁錮以上の刑を受けた場合は,候補者の当選を無効とするとともに5年間はその選挙区からの立候補が禁止され,選挙権などの公民権停止も適用される。



【西岡力】反日? 大統領候補・尹錫悦の本性【WiLL増刊号#566】
72,306 回視聴2021/07/05

朴槿恵元大統領の裁判は無茶苦茶だった。捜査・起訴したのは、この人物。憲法違反の財産共同体という理由の連座で起訴。

To be continued ! See you later !


参考文献

室谷克実著 『崩韓論』飛鳥新社 2017.2.13 第1刷発行

韓光熙著 野村旗守取材構成『わが朝鮮総連の罪と罰』文藝春秋 2002.4.30 1刷

深田祐介・萩原遼著 『北朝鮮・狂気の正体』扶桑社 2003.1.30 初版1刷

金賢植・孫光柱著 『金正日の権力闘争』光文社 1998.4.25 初版1刷

V・ペトロフ A・スターソフ 著 下斗米伸夫・金成浩 訳 『金正日に悩まされるロシア』草思社 2004.5.12 1刷発行

武藤 正敏著 『文在寅よいう災厄』悟空出版 2019.9.8 4刷発行

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