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政治(法律)講座ⅴ579「知的財産権:種苗法と海外への訴え」

 種苗法(しゅびょうほう)に関する記載は巻末に記載してあるので理解を深めたい方はお読み下さい。
なお、種苗法などの知的財産で被害に遭われた方は法律事務所にご相談ください。
吾輩が以前在籍していた法律事務所には「知的財産訴訟」に強みをもつ辻本先生がおりますのでご相談下さい。URLは次の通りです。
大宮駅徒歩3分 オレンジ法律事務所 Ò 埼玉県さいたま市大宮区 弁護士 辻本恵太 ほか (orangelaw.jp)
なお、知的財産以外も6名の弁護士が居りますので親身になって法律相談にのりますので気軽にお声掛けください。

         皇紀2682年11月11日
         さいたま市桜区
         政治研究者 田村 司

「韓国にルビーロマンを盗まれた」と訴える日本に、韓国の栽培農家「あきれる」「抗議なら中国に…」

Record China 2022/11/10 13:45

© Record China


2022年11月10日、韓国・ハンギョレによると、世界で最も高級なブドウとされる石川県産「ルビーロマン」が韓国に流出したとみられていることに対し、韓国の栽培農家から困惑の声が上がっている。

記事によると、現時点で韓国でルビーロマンを栽培・販売することは法的に問題がない。韓国の国立種子院は「韓国で品種保護登録がされないまま登録可能期間(6年)が過ぎてしまったため、誰でも栽培・販売が可能だ」と説明した。

国立種子院関係者は「韓国では20年11月に初めてルビーロマンの生産・販売の届け出があったが、この時点ですでに品種保護登録期間が終了していたため届け出を受理しない理由はなかった」と話した。ルビーロマンの生産・販売の届け出をした韓国の農家は27カ所に上るという。

最近日本でルビーロマンの苗木流出問題が浮上したことについて、国立種子院は「自国品種の流出頻度が増え、これに対する権利を強化するために日本が持ち出してきたイシューではないか」と指摘した。現在韓国で栽培されているルビーロマンの苗木はほとんどが中国から入ってきたものとみられている。

韓国のルビーロマン栽培農家のイさんは「急に日本から苗木を盗んだ泥棒のように扱われ、あきれている」とし、「国家機関である国立種子院に合法的に生産・販売の届け出をした」と悔しさを吐露した。

イさんは18年に中国から入ってきたルビーロマンの苗木を21年から本格的に生産し、デパートなどに納品している。イさんは「もし保護期間(6年)が過ぎていない状態で苗木が無断流出したのなら、それは日本の管理がずさんだったということで、中国に抗議するべき問題だ」と主張したという。

日本もこうした問題を認識し、韓国をはじめとする各国への商標出願を進めている。商標登録が完了すると韓国の栽培農家はルビーロマンの商標を使用する際にロイヤリティーを支払うことになるが、栽培や別の商標で販売することは問題ない韓国の特許審判院は今年8月、全羅南道のある事業者が19年9月に登録し保有していたルビーロマンの商標権を無効としたが、これは日本ではなく韓国内の特定人がルビーロマンに対する商標権を独占することに対し不満を抱いた他の種苗メーカーが審判を請求したものという。

この記事を見た韓国のネットユーザーは「6年も放っておいた日本側の責任が大きい。自分たちのミスを他国に押し付けないで」「登録しなかったのは日本。ルビーロマンはもう韓国のもの」「盗まれたら嫌だよね?昔の韓国はまさに同じ気持ちだった」「まずは韓国の文化財を返して」「こっちは国を奪われたのに、ブドウくらいで騒がれても…」など、特に問題視していない様子。

また「中国が間にいるのに、弱い韓国だけに言うのはひきょう」「文句を言うなら中国にどうぞ」「『ルビーロマン』が使えなくなったら『ルビーロマンス』を使えばいい」などの声も。

一方で「6年以上過ぎていたとはいえ、盗んだものであることに変わりはない」「日本の品種を盗むのは何回目?本当に恥ずかしい」「盗んだと潔く認めよう」「韓国もオリジナルのブドウをつくるべき。これではキムチを盗もうとする中国を批判できない」など批判的な声も寄せられている。(翻訳・編集/堂本)

種苗法(しゅびょうほう)

種苗法は、農業の耕作、生産の分野ではなく、知的財産の分野としての特色を持つ。

1,自家増殖の権利制限の廃止

2,指定地国・地域制度の導入(輸出規制の強化)

3,種苗法の概略・・・品種登録出願人は、審査を経て品種登録を受けると、出願に係る品種について育成者権を取得する。育成者権者は、登録品種および当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用(定義語)する権利を専有し、これをこの権利を侵害する者に対して、差止請求・損害賠償請求をすることができる(損害賠償請求について、損害推定・過失推定規定がある)。 知的財産権の効力は、原則として付与国の領域内にしか及ばない(属地主義)、日本の育成者権は、海外での利用行為にその効力は及ばない。日本の登録が海外でも審査・登録が認められる可能性はすくない。海外での利用行為を止めるためには、独自に海外にも出願し、権利を取得の必要あり。ただし、「植物の新品種の保護に関する国際条約」締結国では、新規性や先願(出願の先後)等との関係で、最初の出願国での出願時に当該外国でも出願したものとして取扱われる。 当該外国が十分な知的財産権の保護制度が整備された国家とは限らない。なお、侵害、詐欺、虚偽に関する罰則もある。

品種登録の流れ(種苗法の条文より抜粋)

1,品種登録及び品種登録出願

品種(人為的変異又は自然的変異の特性)育成をした者は、「品種登録」できる。

2,登録要件(省略)

ただし、出願品種に関し誤認を生じさせる、類似の商品のものは受理されない。

3,譲渡制限、

(日本国内においては一年さかのぼった日前に、外国において四年(永年性植物は六年)さかのぼった日前に業として譲渡されていた場合)受理されない。

4,品種登録願書を農林水産大臣に提出

5,出願料 

一件につき47,200円を超えない範囲内

6,職務育成品種 

従業者等が育成をした品種について、業務の範囲に属し、従業者等の職務に属する品種(以下「職務育成品種」という。)である場合を除き使用者等のため専用利用権を設定することを定めた契約、勤務規則その他の定めの条項は、無効とする。

7,先願主義

同一の品種又は特性により明確に区別されない品種について二以上の品種登録出願があったときは、最先の出願者に限り、品種登録を受けることができる。

8,外国人の権利の享有

⑴ 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない外国人は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き育成者権その他育成者権に関する権利を享有することができない。

ジュネーヴで改正された1961.12.2の「植物の新品種の保護に関する国際条約」を締結している国(以下「締約国」という。)又は同条約を締結している政府間機関(以下「政府間機関」という。)の構成国(以下「締約国等」と総称する。)である場合

解説:裏返すと締約国には育成者権の権利を享有する。

⑵ 同条約を適用することとされている国を含む。以下「同盟国」という。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合(前号に掲げる場合を除く。)

⑶ その者の属する国が、日本国民に対し品種の育成に関してその国の国民と同一の条件による保護を認める国(その国の国民に対し日本国が育成者権その他育成者権に関する権利の享有を認めることを条件として日本国民に対し当該保護を認める国を含む。)であり、かつ、その者の出願品種につき品種の育成に関する保護を認める場合

9,優先権の主張 

優先権を主張することができる。

一 締約国、政府間機関又は同盟国に対する品種登録出願に相当する出願(以下「締約国出願」と総称する。)をした者又はその承継人(日本国民、締約国等若しくは同盟国に属する者又は日本国、締約国等若しくは同盟国に住所若しくは居所(法人にあっては、営業所)を有する者に限る。) 締約国出願のうち最先の出願をした日(以下「締約国出願日」という。)の翌日から一年以内に当該締約国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合

二 前条第三号に規定する国であって日本国民に対し日本国と同一の条件により優先権の主張を認めるもの(締約国及び同盟国を除く。以下「特定国」という。)に対する品種登録出願に相当する出願(以下「特定国出願」という。)をした者又はその承継人(日本国民又は当該特定国に属する者に限る。) 特定国出願のうち最先の出願(当該特定国に属する者にあっては、当該特定国出願)をした日(以下「特定国出願日」という。)の翌日から一年以内に当該特定国出願に係る品種につき品種登録出願をする場合

2 出願者が前項の規定により優先権を主張した場合には、締約国出願日又は特定国出願日から品種登録出願をした日までの間にされた当該出願品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種についての品種登録出願、公表、譲渡その他の行為は、当該品種登録出願についての品種登録を妨げる事由とはならない。

10、出願公表

一 品種登録出願の番号及び年月日

二 出願者の氏名又は名称及び住所又は居所

三 出願品種の属する農林水産植物の種類

四 出願品種の名称

五 出願公表の年月日

六 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

11 出願品種の審査

詳細省略

12 品種登録

 品種登録は、品種登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。

一 品種登録の番号及び年月日

二 品種の属する農林水産植物の種類

三 品種の名称

四 品種の特性

五 育成者権の存続期間

六 品種登録を受ける者の氏名又は名称及び住所又は居所

七 前各号に掲げるもののほか、農林水産省令で定める事項

13 育成者権の発生及び存続期間

第十九条 育成者権は、品種登録により発生する。(権利の発生)

2 育成者権の存続期間は、品種登録の日から25年(第四条第二項に規定する品種にあっては、30年)とする。

14 育成者権の効力

第二十条 育成者権者は、品種登録を受けている品種(以下「登録品種」という。)及び当該登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する。ただし、その育成者権について専用利用権を設定したときは、専用利用権者がこれらの品種を利用する権利を専有する範囲については、この限りでない。

2 登録品種の育成者権者は、当該登録品種に係る次に掲げる品種が品種登録された場合にこれらの品種の育成者が当該品種について有することとなる権利と同一の種類の権利を専有する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。

一 変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換えその他の農林水産省令で定める方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性により当該登録品種と明確に区別できる品種

二 その品種の繁殖のため常に登録品種の植物体を交雑させる必要がある品種

3 登録品種が、前項第一号の農林水産省令で定める方法により、当該登録品種以外の品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成された品種である場合における同項及び次条第二項の規定の適用については、前項中「次に」とあるのは「第二号に」と、同条第二項中「前条第二項各号」とあるのは「前条第二項第二号」とする。

15 育成者権の効力が及ばない範囲

第二十一条 育成者権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。

一 新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用

二 登録品種(登録品種と特性により明確に区別されない品種を含む。以下この項において同じ。)の育成をする方法についての特許権を有する者又はその特許につき専用実施権若しくは通常実施権を有する者が当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為

三 前号の特許権の消滅後において、同号の特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し、又は当該種苗を調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、若しくはこれらの行為をする目的をもって保管する行為

四 前二号の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為

五 前号の収穫物に係る加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為

 農業を営む者で政令で定めるものが、最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第二項各号に掲げる品種(以下「登録品種等」と総称する。)の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。

3 前項の規定は、農林水産省令で定める栄養繁殖をする植物に属する品種の種苗を用いる場合は、適用しない。

4 育成者権者、専用利用権者若しくは通常利用権者の行為又は第一項各号に掲げる行為により登録品種等の種苗、収穫物又は加工品が譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない。ただし、当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない。

16 名称を使用する義務等

第二十二条 登録品種(登録品種であった品種を含む。以下この条において同じ。)の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称(第四十八条第二項の規定により名称が変更された場合にあっては、その変更後の名称)を使用しなければならない。

2 登録品種が属する農林水産植物の種類又はこれと類似の農林水産植物の種類として農林水産省令で定めるものに属する当該登録品種以外の品種の種苗を業として譲渡の申出をし、又は譲渡する場合には、当該登録品種の名称を使用してはならない。

17 共有に係る育成者権

第二十三条 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。

2 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその登録品種等を利用することができる。

3 育成者権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その育成者権について専用利用権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができない。

18 法人が解散した場合等における育成者権の消滅

第二十四条 育成者権は、次に掲げる場合には、消滅する。

一 育成者権者である法人が解散した場合において、その育成者権が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第二百三十九条第三項その他これに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

二 育成者権者である個人が死亡した場合において、その育成者権が民法第959条の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。

(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。(相続財産の管理人の代理権の消滅)
第九百五十六条 
2 前項の場合には、相続財産の管理人は、遅滞なく相続人に対して管理の計算をしなければならない。

19 専用利用権

第二十五条 育成者権者は、その育成者権について専用利用権を設定することができる。

2 専用利用権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を専有する。

3 専用利用権は、品種の利用の事業とともにする場合、育成者権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

4 専用利用権者は、育成者権者の承諾を得た場合に限り、その専用利用権について質権を設定し、又は他人に通常利用権を許諾することができる。

5 第二十三条の規定は、専用利用権に準用する。

20 通常利用権

第二十六条 育成者権者は、その育成者権について他人に通常利用権を許諾することができる。

2 通常利用権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録品種等を利用する権利を有する。

21 先育成による通常利用権

第二十七条 登録品種の育成をした者よりも先に当該登録品種と同一の品種又は特性により明確に区別されない品種の育成をした者は、その登録品種に係る育成者権について通常利用権を有する。

22 質権

第三十条 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該登録品種等を利用することができない。

2 育成者権、専用利用権又は通常利用権を目的とする質権は、育成者権、専用利用権若しくは通常利用権の対価又は登録品種等の利用に対しその育成者権者若しくは専用利用権者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行うことができる。ただし、その払渡し又は引渡し前に差押えをしなければならない。

23 登録の効果

第三十二条 次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じない。

一 育成者権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、放棄による消滅又は処分の制限

二 専用利用権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は育成者権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限

三 育成者権又は専用利用権を目的とする質権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更、消滅(混同又は担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限

2 前項各号の相続その他の一般承継の場合は、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。

3 通常利用権は、その登録をしたときは、その育成者権若しくは専用利用権又はその育成者権についての専用利用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。

4 第八条第三項又は第二十七条の規定による通常利用権は、登録しなくても、前項の効力を有する。

5 通常利用権の移転、変更、消滅若しくは処分の制限又は通常利用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅若しくは処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。

24 権利侵害 の差止請求権

第三十三条 育成者権者又は専用利用権者は、自己の育成者権又は専用利用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

2 育成者権者又は専用利用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した種苗、収穫物若しくは加工品又は侵害の行為に供した物の廃棄その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

25 損害の額の推定等

第三十四条 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した種苗、収穫物又は加工品を譲渡したときは、その譲渡した種苗、収穫物又は加工品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、育成者権者又は専用利用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた種苗、収穫物又は加工品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、育成者権者又は専用利用権者の利用の能力に応じた額を超えない限度において、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を育成者権者又は専用利用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

2 育成者権者又は専用利用権者が故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、育成者権者又は専用利用権者が受けた損害の額と推定する。

3 育成者権者又は専用利用権者は、故意又は過失により自己の育成者権又は専用利用権を侵害した者に対し、その登録品種等の利用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

4 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、育成者権又は専用利用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

26 過失の推定

第三十五条 他人の育成者権又は専用利用権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。

27 具体的態様の明示義務

第三十六条 育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、育成者権者又は専用利用権者が侵害の行為を組成したものとして主張する種苗、収穫物又は加工品の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。

28 書類の提出等

第三十七条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害の行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。

29 秘密保持命令

第四十条 裁判所は、育成者権又は専用利用権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があった場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。

30 信用回復の措置

第四十四条 故意又は過失により育成者権又は専用利用権を侵害したことにより育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、育成者権者又は専用利用権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、育成者権者又は専用利用権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。

31 品種登録の維持及び取消し

(登録料)

第四十五条 育成者権者は、第十九条第二項に規定する存続期間の満了までの各年について、一件ごとに、36,000円を超えない範囲内で農林水産省令で定める額の登録料を納付しなければならない。

32 在外者の裁判籍

第五十条 日本国内に住所及び居所(法人にあっては、営業所)を有しない者の育成者権その他育成者権に関する権利については、農林水産省の所在地をもって民事訴訟法第五条第四号の財産の所在地とみなす。

33 品種登録表示

第五十五条 登録品種の種苗を業として譲渡する者は、農林水産省令で定めるところにより、その譲渡する登録品種の種苗又はその種苗の包装にその種苗が品種登録に係る旨の表示(以下「品種登録表示」という。)を付するように努めなければならない。

34 虚偽表示の禁止

第五十六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 登録品種以外の品種の種苗又はその種苗の包装に品種登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為

二 登録品種以外の品種の種苗であって、その種苗又はその種苗の包装に品種登録表示又はこれと紛らわしい表示を付したものの譲渡又は譲渡のための展示をする行為

三 登録品種以外の品種の種苗を譲渡するため、広告にその種苗が品種登録に係る旨を表示し、又はこれと紛らわしい表示をする行為

35 条約の効力

第五十七条 新品種の保護に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による。

36 指定種苗 

指定種苗」とは、種苗(林業の用に供される樹木の種苗を除く。)のうち、種子、胞子、茎、根、苗、苗木、穂木、台木、種菌その他政令で定めるもので品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして農林水産大臣が指定するもの

「種苗業者」とは、指定種苗の販売を業とする者をいう。

37 種苗業者の届出

第五十八条 種苗業者は、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない。

一 氏名又は名称及び住所

二 取り扱う指定種苗の種類

三 その他農林水産省令で定める事項

38 指定種苗についての表示

第五十九条 指定種苗は、その包装に次に掲げる事項を表示したもの又は当該事項を表示する証票を添付したものでなければ、販売してはならない。

ただし、掲示その他見やすい方法をもってその指定種苗につき第一号から第四号まで及び第六号に掲げる事項を表示する場合又は種苗業者以外の者が販売する場合は、この限りでない。

一 表示をした種苗業者の氏名又は名称及び住所

二 種類及び品種(接木した苗木にあっては、穂木及び台木の種類及び品種)

三 生産地

四 種子については、採種の年月又は有効期限及び発芽率

五 数量

六 その他農林水産省令で定める事項

2 前項第三号に掲げる生産地の表示は、国内産のものにあっては当該生産地の属する都道府県名をもって、外国産のものにあっては当該生産地の属する国名をもってこれをしなければならない。

3 前二項に規定するもののほか、需要者が自然的経済的条件に適合した品種の種苗を選択するに際しその品種の栽培適地、用途その他の栽培上又は利用上の特徴を識別するための表示が必要であると認められる指定種苗については、農林水産大臣は、その識別のため表示すべき事項その他の当該表示に関し種苗業者が遵守すべき基準を定め、これを公表するものとする。

4 農林水産大臣は、前項の規定により定められた基準を遵守しない種苗業者があるときは、その者に対し、その基準を遵守すべき旨の勧告をすることができる。

39 指定種苗についての命令

第六十条 農林水産大臣は、前条第一項及び第二項の規定に違反した種苗業者に対し、同条第一項各号に掲げる事項を表示し、若しくは当該事項の表示を変更すべき旨を命じ、又はその違反行為に係る指定種苗の販売を禁止することができる。

2 農林水産大臣は、前条第四項の規定による勧告を受けた種苗業者がその勧告に従わなかったときは、当該種苗業者に対し、期限を定めて、同条第三項の基準を遵守すべきことを命ずることができる。

40 指定種苗の生産等に関する基準

第六十一条 農林水産大臣は、優良な品質の指定種苗の流通を確保するため特に必要があると認められるときは、当該指定種苗の生産、調整、保管又は包装について当該指定種苗の生産を業とする者及び種苗業者が遵守すべき基準を定め、これを公表するものとする。

2 農林水産大臣は、前項の規定により定められた基準を遵守しない指定種苗の生産を業とする者又は種苗業者があるときは、これらの者に対し、その基準を遵守すべき旨の勧告をすることができる。

3 農林水産大臣は、前項の勧告に従わない指定種苗の生産を業とする者又は種苗業者があるときは、その旨を公表することができる。

41 罰則

(侵害の罪

第六十七条 育成者権又は専用利用権を侵害した者、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

(詐欺の行為の罪)

第六十八条 詐欺の行為により品種登録を受けた者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

(虚偽表示の罪)

第六十九条 第五十六条の規定(虚偽表示)に違反した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

(秘密保持命令違反の罪)

第七十条 秘密保持命令に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3 第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

虚偽の表示をした指定種苗の販売等の罪)

第七十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

一 第五十九条第一項及び第二項の規定により表示すべき事項について虚偽の表示をした指定種苗を販売した者

二 第六十条第一項又は第二項の規定による処分に違反して指定種苗を販売した者

虚偽届出等の罪)

第七十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第五十八条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 正当な理由がないのに第六十二条第一項又は第六十三条第一項の集取を拒み、妨げ、又は忌避した者

三 第六十五条の規定による報告若しくは書類の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の書類を提出した者

(両罰規定)

第七十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

一 第六十七条又は第七十条第一項 三億円以下の罰金刑

二 第六十八条又は第六十九条 一億円以下の罰金刑

三 第七十一条又は前条第一号若しくは第三号 各本条の罰金刑

2 前項の場合において、当該行為者に対してした第七十条第二項の告訴は、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴は、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。

3 第一項の規定により第六十七条又は第七十条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。

命令違反に対する過料)

第七十四条 第十五条第六項(第四十七条第三項において準用する場合を含む。)又は第六十四条の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした研究機構等の役員は、二十万円以下の過料に処する。

(名称使用義務等の違反に対する過料)

第七十五条 第二十二条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。






参考文献・参考資料

やさしい法律講座ⅴ33 副題 種苗法(しゅびょうほう)|tsukasa_tamura|note

「韓国にルビーロマンを盗まれた」と訴える日本に、韓国の栽培農家「あきれる」「抗議なら中国に…」 (msn.com)

種苗法 | e-Gov法令検索 (e-gov.go.jp)

PowerPoint プレゼンテーション (ja-youth.jp)

岡林秀明『知識ゼロからの農業ビジネス入門』幻冬舎 2011.10.25 第1刷発行

大宮駅徒歩3分 オレンジ法律事務所 Ò 埼玉県さいたま市大宮区 弁護士 辻本恵太 ほか (orangelaw.jp)

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