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EAWRCやダートラリーなどVRゲームのVR酔いを克服する6つの方法

遂に24年4月末、ラリーゲームの最高傑作『EAsports WRC』がVR対応になることが発表されたのである。

実は私は、去年の秋のEAWRC発売前に、このゲームのためだけにVRヘッドセットを奮発して待ち構えていた一人だった。

しかしその時に、試しに前作のDirt Rallyをプレイしてみたら、死ぬほど酔ってVRが大嫌いになっていたのである。

現象
・吐き気
・発汗
・眠気
・頭痛
・涙目

開始直後「うわあ、すげえ立体的じゃん。はは!車内もコドラも見えるぜ!なんかちょっと受けるなあ」とVRの世界に大いに感動した私は、10分後には、ヘッドセットを投げ捨て、布団に倒れ込んでいたのである。そして真顔で仰向けのまま一切動かなかった。確かに私は小さい頃乗り物酔いをするタイプだったが、DiRT Rallyはぜったい大丈夫だと過信していた。2000時間以上プレイしたかなりハマったゲームだっただけに、最愛の人から裏切られたような気持ち。次第に吐き気は収まってきたものの、涙目だけはいつまでも収まらなかった。

と、こういうわけである。

君ももしかすると同じような感じなのではないだろうか?

しかし私はそれからいろいろ試行錯誤をして完全に酔わなくなり、めでたくEAWRCのVR対応の吉日を迎えることとなったのである。

子供のころバスの遠足が怖くて怖くてしょうがなかったような、車に酔いやすい私がどのようにしてVRを楽しくプレイできるようになったか、酔う原因と具体的な対処法を以下で紹介しているので君も参考にしてみてくれ。


■酔う原因を探る

👆俺は今走っていて、走っていない・・・

科学的に、酔う原因は「感覚の不一致」にあると言われている。

これはどういうことなのかということと、それがなぜ吐き気につながるのかということをまずは説明するのである。

◇感覚の不一致

日常生活を続けていると、いくつかの典型的な知覚の組み合わせパターンが人間の脳に保存されていく。

日常生活の知覚パターン
視覚――横へ移動している
平衡感覚――遠心力を受ける

視覚――縦揺れをしている
平衡感覚――縦揺れの衝撃がある

こうした既存のパターンにマッチした知覚が生じた時は特に何も起こらない。

しかしVRをプレイしている時には、日常のパターンとまったく異なる知覚パターンが現れるため、脳が混乱をきたすわけである。

VR時の知覚
視覚――横へ移動している
平衡感覚――遠心力をまったく受けない

視覚――縦揺れをしている
平衡感覚――なにも衝撃がない

車で本を読んだり、船で酔うのも、視覚では移動している情報をほとんどキャッチしていないのにもかかわらず、つねに平衡感覚の方は揺れるような刺激を受けている状態だからである。

こうした日常の知覚パターンから外れた組み合わせが生じると酔うのである。

◇毒殺の危機

しかし新しい知覚パターンが現れたところで、わざわざ吐かなくてもいいのではないだろうか?なんでいちいち気持ち悪くなったり、大汗をかいたりするのだろうか?

これはあくまで私の推測なのだけれども、要するにこの情報の誤差、通常の知覚パターンとは異なるパターンを脳がキャッチした時、「毒だ!毒を食ったぞ!!」と脳が誤判断してしまうからではないだろうか。このような謎の浮遊感が起こる一番の原因は、やばいものを口に入れた時だからだ。それで脳が慌てて「死ぬぞ死ぬぞ!吐け吐け吐け――っ!」と命令してしまうわけである。

実際昔は食べ物の品質もよくなかっただろうし、伊達政宗ですら実母に毒殺されかかったこともあったのである。そういう野蛮時代であれば、毒物に対する防衛本能は非常に大切だったわけだが、その条件反射が現在も無駄に残り過ぎていて、新しいテクノロジーによって誤爆してしまうわけである。

そう考えると、VRで酔わないためには、VRをプレイしている時の知覚パターンを脳が覚えて「これは別に俺が今毒殺されかかっているわけじゃなく、普通の知覚パターン。」として保存されればいいと結論できる。

では、次にその対処法を見ていこう。

👆MRテクノロジーと高性能なVRゴーグルを駆使し、車ゲームを含む様々な体験を革新。グラフィック性能は前モデルの2倍以上に強化され、4K解像度と3Dオーディオによるリアルな没入感を提供。なにより値段が手ごろで、スタンドアローン型でコードがいらないところが他のヘッドセットにはないメリットだ。

■対処法――VR時の知覚パターンを脳にインストール

👆進む先を見る

酔う原因を踏まえると、対処法はこの2つにまとめられる。

1.VRプレイ時の情報の誤差は悪いことではない、そうした知覚パターンもあるんだ、ということを脳にインストールする。
2.直接的に情報の誤差を和らげる

具体的には以下の6つの取り組みで、私は見事にVR酔いを完全克服したのである。

◇克服法その1――少しずつやる

インストールするには、やはりVR知覚パターンを経験している時間を長くすることに尽きる。

これは修学旅行ではないので、かならず目的地までバスに乗り続けなければいけないわけでもないし、気持ち悪くなりかけたらすぐにやめていいが、日を改めて何度もチャレンジするようにしていくのである。次第に10分でだめだったのが20分になり、40分、1時間と長くなっていくはずである。

そしてプレイしながら「これは毒じゃない。身体に害のない知覚パターンだ」と脳に言い聞かせよう。酔う人は一生酔うわけではなく、続けるときちんとインストールされるのである。

◇克服法その2――疲れてたり寝る前にやる

朝や昼間に酔うと、その日の残りは何もできなくなるので注意しよう。寝る前にやれば、酔ったところで寝ればいいだけである。

それに私だけかもしれないが、疲れていたり、寝る前の方がむしろあまり酔わない気がする。もしかすると脳がそういう知覚のズレを「疲れているせい」「眠いせい」と考えるからかもしれない。そしてすぐ眠れる。寝酒ならぬ寝VRである。

◇克服法その3――風を身体に当てる

ここからは情報の誤差を和らげる対処法である。根本的な解決ではないが、プレイ時間を長くしたり、VR操作に使い慣れる意味でもこうした対処法も取り入れよう。

その一つ目が風だ。

車に酔った時には窓を開けたくなるけれども、風を身体に当てていると「動き」を感じられるからちょっと和らげられるのである。扇風機などを身体に当てよう。

◇克服法その4――道の先を見る

遠くの風景は動きがそれほど大きくないせいか、遠くを見ているとあまり知覚のズレが生じないのである。逆に脇などを直視すると、うわーっと風景が動いているため、知覚のズレが大きくなって一挙に気持ち悪くなる。

👆脇を見てはいけない

特にラリーの場合は、ドリフト時のカニ走りをしている時に、正面の風景がうわーっと横に動くので、うっかりこれを直視して大ダメージを受けることがある。サイド・ブレーキを引いて回るヘアピンなど、かなりきついである。VRは横を見ることができるわけだから、ドリフトで横に滑っている時は、さっと首を横に向けて、できるだけ進んでいる先を見るようにしよう。

◇克服法その5――低速コースより高速コース

ドリフトが多くなりやすいヘアピン系のトラックよりも、爽快に直線を突き進むコースの方が明らかに酔わない。さらにターマック・コースであればもっと酔わない。

ダートラリーで言えば、スペインやポーランドがおすすめだ。アルゼンチンやニュージーランドなどは低速で危険である。EAWRCであれば、スペイン、エストニアがおすすめで、ギリシャなどが危険度が高いトラックと言えるだろう。

◇克服法その6――視点リセットなどの操作方法や、環境を整える

見にくかったり、操作に窮屈な感じがあると、そちらに気を取られてうっかりうわーっと動く風景を思いっきり直視してしまう。これも慣れだが、VR時の操作方法をよく覚えて、酔わないことだけに意識を集中できる環境づくりも心がけたい。

特に「視点リセット」を押しやすいボタンにして、妙に手前だったり、妙に上だと思ったら、頭を前後や上下に動かしてリセットして視点を素早く微調整できるようになろう。アクセルボタンなどを設定する、オプションのコントローラー設定のところで視点リセットボタンも設定できるのである。

ヘッドセットの位置で視点がリセットされるので、スタート前によくそれを調整する。たとえば視点が若干左に寄ってるような気がしたら、ヘッドセットをあえてやや右に向けてリセットするといったこともできる。

👆没入感にこだわるならばやっぱりVIVE。4896×2448の高解像度と90/120の高リフレッシュレートを備え、風景がかなり緻密で精細。広い視野角と精密なトラッキングも特徴。ハイレゾ対応のサウンドで車の音もリアルに再現できるし、カメラによるパススルー(装着しながら外が見える機能)ももちろん余裕。私はこれだが、やっぱり広い視野角とフレームレートが高いのはカーゲームではありがたい。

👆ひとつグレードが低いタイプのVIVE。解像度は2880 x 1700。私はProの方の上位機種であるが、ピクセルの網目(スクリーンドア)は完全に消えていないので、正直こちらで十分だった気もしている。しかもこちらも90のフレームレートが出る。

■まとめ:酔いは陶酔へと変わる

👆最高!!

上記の対処法を心がけながら、私がたどったステップはだいたい以下のような流れだったのである。

1日目、2日目:即座に発汗吐き気。ヘアピンなどを曲がる時浮遊しているような感覚に襲われて一挙に気持ち悪くなり10分で撤退

3日目:40分50分くらいは大丈夫になる。でも多少ゲップが出るような感じがあり、まだプレイどころではない

4~7日:大丈夫な時間が長くなっていく。「ゲームをプレイしている」という感覚が芽生え、タイムや順位が気になり始める。1時間やっても涙目や、頭がちょっとぼうっとするだけになる

7日~:余裕!むしろ痛気持ちいいくらいに。プレイ後も、全然普通に日常生活に戻れる

日数にして大体7日くらい、プレイ時間は合計で4、5時間といったところだろうか。

根本的な解決策は、やはり少しずつやって経験値を増やすことである。そしてそのためには、できるだけ知覚のズレを減らしながら、だましだましプレイ時間を増やし、脳にVR特有の知覚パターンをインストールしていくことがコツとなる。一生酔うわけではなく、続ければきちんとインストールされるのである。

慣れるとやはりVRは面白い。君もよくスキーなどでこんな傾斜の話を聞くことがあるのではないだろうか?

「30度っつってもさ、上に立ったら垂直だよ!崖だよ!」

こういった話はよく聞くけれども、VRでもそんな風に傾斜の迫力がまったく違うのである。2Dの時は大した坂道ではないと思っていた場所が、VRで見ると完全崖。そこを一気に駆け降りるのだから面白くないわけがないのである。それから2Dだと妙に曲がりにくくて、なんでだろうと思っていたコーナーでも路面の複雑な凹凸形状がはっきり見えて、それが原因で曲がりにくかったことがよくわかる。

英語では「motion sick」と言うらしい。でも日本語の「酔う」の方がうまい言い方だと思う。確かに酒と似ている。最初は少し気持ち悪いけれども、慣れると独特の陶酔感があるのだ。

さあ君も、このEAWRCというイギリス生まれの最上級スコッチをたっぷりたしなみ、心地よい酩酊状態の中で、世界中のトラックを、そして虚実の被膜の境界を爆走しまくろう。

👆ハンコンもあれば、完全にゲームと一体化できる。T300はPS5、PS4、PCと互換性のあるフォースフィードバック機能付きの高性能デバイス。産業用ブラシレスモーターを搭載。摩擦が少なく滑らかな操作感、回転角は40から1080度まで調整可能、交換可能なホイールとメタル製の3ペダルセット「T3PA GT EDITION」が同梱されていることがポイントだ。

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