塩城市訪問記

 2019年6月1日から4日にかけて、中国の塩城市を訪れてきました。
 ビジネスで塩城市を視察する知人と、その知り合い数人に混じっての訪問です。
 過去、2度の訪中経験がありますが、1度目は上海近郊、2度目は深セン・義烏と割合に開けていて観光やビジネスでの訪問客も多いところでした。塩城市は韓国KIAが進出してはいるものの、これから企業等の誘致を行うための開発が進められている地域で、観光地化されていない昔ながらの中国の町の雰囲気が残っている土地柄とのこと。インターネットで検索してもあまり観光に関する情報は見つからず、数ヶ月前に起こった化学工場での大爆発事故ばかりヒットしてくるような、そんな町のようです。
 中国では普段利用しているgmailやLINE等が利用できないため、あらかじめWeChatやAripeyをインストールはしたものの、訪中前の1ヶ月程は突然仕事が大忙しになり、中国で普及しているQRコード決済の準備まで手が回らず…ちょいと準備不足のまま出発当日を迎えることになりました。
 塩城市までの直行便はないため、まずは福岡空港から上海空港への移動となります。
 福岡から上海までのフライトは2時間足らずですが、しっかりと機内食が提供されます。
 今回利用した飛行機は中国東方航空で、どんなアヤシイものが出てくるのかと期待しつつ封を開けたのですが、フツーに上海風焼きそばと呼べそうなものが出てきてやや拍子抜け。味もこれといって特筆することもなく…何ごともなくいただくことができました。
 そうこうしているうちに、程なく上海空港に着陸。入国審査も難なく通過し、いよいよ中国へ入国です。
 上海空港へは現地の人が迎えに来てくれ、そこから塩城市までは車での移動となるとのこと。マイクロバスに乗り込み、いざ出発!
 走り出してしばらくすると、バスはサービスエリアに停車。到着が現地時刻で正午過ぎだったため、ここで昼食を取ろうとのことでした。
 機内食も食べてはいましたが、地元の人も利用する食堂でどのようなものが出てくるのか興味深々の自分は迷わず了承。同行者の中には過去に中国の食べ物で痛い目にあった経験があることから遠慮する人もいましたが…
 案内されて食堂に入ると、カウンターの中におばさんがいて、その前に何種類化の食べ物が入った容器があります。肉・魚類から3品、野菜類から2品を指定すると、いくつかに区切られたステンレス製のトレイに盛ってくれ、それにご飯とスープが付くとのこと。
 品名もなにも書かれていないため指さしで、肉団子的なもの、焼豚っぽいもの、何かの皮で包まれたもの、キャベツの和え物っぽいもの、ザーサイを刻んだ的ものを選び、席へ。
 まずはスープを。わずかばかりの海草が入った薄い色の液体を口に含むと、海の水をすくってきてそのまま温めたような…
 ご飯はところどころ乾燥して固くなっているし、なんとなく茶色とも灰色とも言えるような色がかってみえます。
 ぐにゅぐにゅした肉団子、骨近くまで切り出しているのか固くて噛めない部分のある焼豚、中身がなんなのかわからない皮包み、塩気があるだけのキャベツ、酸味のあるザーサイ(?)等、何の味付けなのかも解らないものばかりでしたが、そんな感想を語り合う盛り上がったひとときとなりました。
 食後は同じ敷地内に小売店もあり、そこでお菓子やアイスを購入する人もいましたが、特にQRコード決済を促されることもなく、両替したばかりの100元札の利用を嫌がられることもなく、当たり前に現金での買い物が可能でした。
 また車に乗り出発。途中でいくつかの料金所のようなゲートを通過しますが、ETCが普及しているようで停車することなく抜けていきます…と、突然の停車。&バック!?
 聞くとETCがうまく反応せず、一度下がって通りなおしたとの説明が…後ろに続く車がいなかったからいいようなものの、後続車がいたらどうしてたんでしょうね。
 そうして車の中で過ごしていると、いつしか車は橋の上を進んでいます。ところが、この橋が進めども進めども終わりが見えず延々と続いています。
 橋の下は見渡す限り水面が広がっており、やがて同乗者の中から「ここは海の上ですか?」との質問が。
 案内者からの回答は「川(長江)です。この橋の先に中州がありますが、その先にまた同じくらいの橋があります」
 まだ3回目の訪中ですが、毎回この手のスケール感がわけ解らなくなってくる話を聞かされる気がします。(前回は新幹線で数時間走っても全く海の見えない風景が続く、でした)
 長江を渡り、さらに走っていると、片側3車線だった道路の一番左側の車線(中国は車は右側通行)にパイロンが置かれ通行止めになっている区間に差し掛かりました。さらに進むとパイロンの位置は車線の真ん中から一番左側の車線と真ん中の車線を区切るラインの上に。
 一車線を通行止めにするにしても、走行する車が接触しかねないような位置に置くのは危ないよなあと思いつつ見ていると、パイロンで区切られた(?)車線を対向車が走ってきます。
「え!?」と同情する日本人が驚愕する中、バスの運転手や案内役の方は全く気にした様子もなく…
 どうやら対向車線の左側2車線の補修工事が行われているようで、対向車線の一番右側の車線と、反対側の車線の1車線がその回避路として使われているようです。日本でもポールで区切られた対面通行の高速道路があるにはありますが、万一接触したらどこに飛んでいくかわからないパイロンで区切っただけで…ねえ、なんかまあほんと、もう、そんなんでいいんだ…と。^^;

 なんどめかの休憩で立ち寄ったサービスエリアで「久保田」と書かれた農機具を乗せたトラックを見たり(日本のクボタは漢字表記しません)、中国語ネイティブの感覚はわかりませんが「爆燃」表記のあるタンクローリー(?)…いやあ、楽しい。

 そんなこんなしつつ、やがて車は塩城市に入り一般道へ。高速道路を走っている間は、欧州車がほとんどで、トヨタ・ホンダの車が時折見られ、その中に中国車がまれに混じった感じでしたが、塩城市に入るとお膝元とあってタクシーを中心にKIAの車が目立ちます。さらに目立つのはメーカーは不明ですが電動スクーターの数々。
 スクーターのタイプも様々、乗っている人も老若男女様々ですが、多くのスクーターにハンドルから足元にかけて覆うようなカバーが取り付けられています。風避けや保温のためなのでしょうが、日本でも、数年前に行った数多くのスクーターが行き交う台湾でもこのような装備は見たことはありません。この地域独自の流行なのでしょうか…?

 市内をしばらく走ると、ようやくその日に滞在するホテルに到着しました。
 街中からやや離れた、大きな公園に面したホテルです。ホテルのロビーに入ると、中央に十数羽の鶴の像が置かれ、その正面の壁には空を舞う鶴が描かれています。
 この塩城市は川や湿地帯が多く、丹頂鶴の飛来地となっており、このホテルを含め町のシンボルとして丹頂鶴が用いられているようです。
 また、このホテルは中国公安局が運営しているホテルとのことで、ロビーに設置された大きなモニタには繰り返し違法行為に荷担しないようにとの啓蒙映像が流されています。
 チェックインし、部屋に入るとシングル用の部屋なのにその広いこと。ベッドも大きく、親子3人くらいであれば、この部屋ひとつでで十分過ごせそうなくらい。
 外に面した側は大きなガラスのスライドドアになっており、その外側はベランダに。その向こうには広い公園が広がっていてなかなかの眺望です。

 と、ひといきつく間もなく、現地の招待者との夕食会へと向かいます。
 会場は同じホテル内なので、まずはロビーで同行者達と待ち合わせ。
 その間、なにやらロボットか何かの衣装めいたものを抱えた人が目の前を通っていき、何だろうと興味をそそられたものの、こちらも予定されている夕食会があるので会場へ移動します。

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