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【後編】スナックママとして、母として。人生のハンドルを握るための「起業」という選択。| ツカノマのはなし #2

「チャイと休息」をテーマとするツカノマチャイがお届けする連載、『ツカノマのはなし』。さまざまな領域で活躍する人のキャリアと休息について、お話を伺います。

スナック水中・坂根千里さんへのインタビュー記事、後編です。

母になることと、「起業」というキャリア選択

岩井:今年8月には「note」で、ご自身の妊娠について発表されていました。スナックのママさんは出産直前まで公開しないという方も多いと伺っています。坂根さんが発信していこうと考えたきっかけを教えてください。

坂根:発表の背景としては2つあります。

商売をする人間として、お店に来てくださるお客様に妊娠した事実をお知らせしたかった、というのがまずひとつ。お酒が伴う仕事なので、お知らせしないまま営業を続けることが難しかったのです。

そして2つ目が、スナックの働き方が女性にとって「いいな」と思ってもらえるような、選択肢のひとつになるといいなという想いから、公表しようと考えました。

自分のキャリアを考えたときにも、まさに就活中のときも、「子どもも欲しいし、仕事もしたい」という気持ちが強くあって。そのときに起業は、私にとってポジティブだったんですね。

岩井:就職ではなく起業することで、それを実現できるのではないかと。

坂根:大学生時代に周りの大人の話を聞いて、仕事と子育ての両立がかなりシビアな世界であるということは早いうちから感じていました。

どんなに頑張っても会社員をしながら、母になり、いわゆる出世コースにいける気はあまりしなくて。それで、就職することに魅力を感じられなくなってしまったというのが1つあります。

対して、自分で仕事の調整もできるし、ライフプランに合わせて自分でハンドルを握れるのが起業だろうなと思っていたので。

自分が発信することで、「母をやりながらも、スナックママってできるのかしら?」と思ってもらえたら良いなと考えています。

続けるためのチーム作りと、マインドの見直し

岩井:妊娠されている中で、ママとして店舗に立ちながら経営業務もされている。大変なことも多いと思いますが、どのようなことを大切にしながら乗り越えているのでしょうか。

坂根:自分が担ってきた店舗業務含むあらゆる業務を、役割分担しチームで運営できるような体制を作ろうとしてきました。これは、いずれにしても今後事業拡大のために挑戦しようとしていたことが、妊娠を機に早まったことです。

あとは、理想の働き方ができない自分を「ダメだ」と責めないようにしました。特に妊娠初期にどうしても眠たい、心がついてこないことが増えました。うまくリフレッシュしながら仕事に集中できる方法をこれまで以上に探求しましたね。

あまりストレスを抱えないように、寝るときは寝て食べるときは食べる、というようにしていました。

岩井:スタンスを見直してみたんですね。

坂根:はい。とはいえ創業2年目で、事業の足元もおぼつかなく容易いことではありませんでした(笑)
不安な時もありましたが、でも「大丈夫。まだまだ大丈夫。」と言い聞かせながら。

やっぱりチームで運営できるということは、欠くことはできませんでした。素晴らしいメンバーに恵まれ、その協力は本当にありがたいです。

大変なことも含めて、自分が”かけたい”時間

岩井:今後、事業家と母という2つの姿を持ちながら歩まれていくと思います。1人の女性として、仕事と子育てをする上で大切にしていきたいことや、「こういう姿でありたい」という理想があれば教えてください。

坂根:「今後の人生で何に時間をかけたいか」と考えた時に、やりたいことは本当に2つで。

1つはこの事業を伸ばしていくこと。そしてもう1つは、自分の家族と、子どもと、よい家庭を作っていくこと。それ以外ないと思っています。

逆に言うとその2つは、どちらも大切。どちらも自分にとって、欠けてはいけないと思っているので。

これから子育てが忙しくなったり、事業が伸び悩みながらも頑張ったり、両立が大変になってくるタイミングもあると思います。

だけどそれはまさに、自分が"かけたい"時間。試行錯誤しながら、やっていくのかなと思っています。

大好きな仕事を、機嫌よく続けていくために

岩井:週5日スナックの営業をしながら、事業拡大に向けた業務もされるという忙しい日々を送られていると思います。どのように「休息」の時間をとっているのでしょうか。

坂根:週に1日は、できるだけオフにしています。

忙しいとどうしても部屋が散らかってしまう、ということもあるのですが、掃除をすることが多いです。

すっきりと新しい1週間を迎えるためにも、個人的にはとても好きな休み方ですね。

岩井:スナックの営業を終えた後、帰宅が夜遅くなることも多いのではないかと思います。特に疲れが溜まっている時の過ごし方で意識されていることはありますか?

坂根:やっぱり「お風呂」ですね。最近は自分の中で香りがブームなので、入浴剤の香りを楽しみながら、ゆっくり湯船に浸かったりします。

あとは、レコードも好きで。本当に疲れ切って「今日はちゃんと整えないとな」と感じる日は、スマホを出来るだけ見ないようにして、レコードを聴きながら寝落ちする...という日もあります。そういう風に、特別に自分の心を癒すという時間はありますね。

『スナック水中』の店内にも、レコードが。

岩井:身体だけでなく、心を癒す時間を作っているんですね。

坂根:そうですね。あとは「ときめき」みたいなものって、自分は大事だなと思っていて。

元々洋服が好きだったんですが、妊娠中に身体が変化して、好きなだった服が合わなくなってしまったり...少し心が荒んでしまったタイミングがありました。

今では洋服以外でも、小物などでちゃんと心がときめくものを積極的に取り入れるようにしています。最近ではピアスを買ったり、お香の香りを楽しんだり。

月単位くらいでハマるものが変わってくるんですけど、その時に好きなものを楽しむことで、程よく自分を潤しています。

岩井:坂根さんの考える休息の大切さについて聞かせてください。

坂根:週に1日は休もうと思いながらも、創業当初はやはり忙しくて、毎日仕事するということも多々ありました。

でも休まないで仕事をし続けてしまうと、ある日突然、やる気が全然無くなってしまう。
そうなってから「ああ、休まないとな」と思うんですよね。今まで何回も、そんなことがありました。

私はやっぱり仕事が大好きで、ずっと働き続けていきたい。出来るだけ機嫌よく仕事をしたいと思うと、やっぱりちゃんと休むことが大切なんだと思っています。

チャイは、ほっこり気を緩めてくれる

岩井:ツカノマチャイは、「チャイのある休息を通じて、はたらき方やライフスタイルを見つめ直すきっかけを届ける」をテーマに活動をしています。坂根さんの中で、チャイはどのような飲みものでしょうか?

坂根:私の中でチャイは常に身近にあるものではないですが、「あったら飲みたいな」と思う飲みものです。

チャイを飲むとやっぱり、ほっこりしますよね。甘くて、香りも楽しみたいなという時に、いいなと思います。

仕事を頑張って、「ひと息つきたい」というときに気を緩めてくれる。そんなイメージです。

まだやってみたことはないのですが、鍋でチャイを煮出す時間は、きっといい時間なんだろうなと思ったり。
くつくつしながら香りも楽しめたら、きっとその時間も愛しい時間になるんだろうなと想像しています。


以上、今回はスナック水中・坂根千里さんにお話を伺いました。

スナック水中 note:https://note.com/c_fish
スナック水中 Instagram:https://www.instagram.com/snack_suichu/

『ツカノマのはなし』次回更新は未定です。


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