「親指の絵文字で契約成立」事件
絵文字はふんわり気持ちを伝えてくれて、雰囲気で進むやわらかいコミュニケーションを助けてくれる。一方で同じ絵文字でも、そこに込める意味は人によって違っていて、言った・言わない論になるような場面では悩ましい。そう思うニュースが流れてきた。
こういうやりとりがあったらしい。
「親指の絵文字は同意」というのはそうだけど、同意と言っても書類送付への「受け取りました」という同意か、契約内容への「承諾します」という同意かわからない場面だ。僕だったら、親指の絵文字っていわゆる「イイネ」の軽さだし、「受け取りました」の意味で使う。それぐらいの意味でしか、使わない。でも「承諾します」の意味で使う人がいてもおかしくない。そして裁判所はそう判断したとのことだ。
ただし、裁判所の判断についてはこう書かれている。
今回の取引では、SWTはアクター氏に事前に条件等をメッセージで送っていて、さらに電話で会話もしたうえで、契約書を作成し送付したという。交渉の段階ではなく、契約締結してもおかしくなさそうなタイミングだ。また過去に4回契約をテキストメッセージで結んでいて、違いはこれまで返信が「OK」などの文言だった。「OK」の一言だって、同意を示してはいても、書類送付と契約内容のどちらへの同意か分からない。でもアクター氏自身がそれを契約への同意としてきた。
そういうすべての状況とかすべての背景があるから、「OK」の代わりに「親指を立てる絵文字」でも普通は契約の方への同意と考えるよねという判断だ。「イイネ」一つで契約同意とみなされるという話ではなくて、ほっとした。
もちろん、絵文字は雰囲気や温度感をイイ感じに伝えてくれるけど、かっちりした意思表示には向いてない。これからも絵文字は使っていくとしても、使い方は気を付けないととあらためて思った。だからといって「確認します」とか「承諾します」とか書くばかりじゃ、かっちり意思表示できるけど雰囲気や温度感は伝わらなくて、それもアレだし。でもよく考えるとこれ、それ以前に「OK」の一言で契約成立にしてきたいままでの雑さにフォーカスした方がいい問題な気もしちゃうなあ。