エコポイント受付システムのクラウドコンピューティング活用事例
クラウドコンピューティングの国内での初期の活用事例として知られているものに、(家電)エコポイント制度のエコポイント受付システムがあります。この事例を、元情報であるセールスフォース・ドットコムの宇陀社長によるTweetをまとめたTogetterおよびPublickeyを読み直しながら、簡単にまとめてみます。
環境省、経済産業省、総務省が2009年に実施した家電エコポイント制度は、5月15日に制度開始となりました。この日以降に購入した家電にエコポイントが付与され、7月1日にエコポイント受付システムから商品交換を申請できるようになりました。
同じく7月1日、IT情報サイトPublickeyが、事業実施団体公募から結果発表、そして交換受付開始までの日程を整理し、この受付システム開発は約1ヶ月の「超短納期」で構築されたのではと考察する記事を載せます[1]。そして9月、セールスフォース・ドットコムの宇陀社長がTwitter上でこの顛末を明かします[2][3]。
「利用者数2000万人を想定、7月1日サービス開始」という打診を受けたのが5月28日。同日20時に打合せが持たれ、同社からは保科専務が出席。大まかな要件を把握した保科氏が6月1日にアプリケーションとしては「構築可能」と判断し、2000万人という規模については米本社CEOと上級副社長技術担当にサポートを取り付けるように回答。ここから詳細仕様未定ながら、並行して開発が走り出します。
初期のSalesforceはSFA(営業支援)やCRM(顧客管理)のSaaS提供者でしたが、2008年1月にその基盤を「Force.com」というPaaSとして公開しました。JAVAに似たAPEXという独自言語とHTMLなどで開発し、データストア等を備える独自のアプリケーション実行環境で、同社のSFAやCRMがこれの実用性や拡張性の証となりました。
エコポイント受付システムの開発は「Force.comに備わっている機能をうまく使う方向で」進められていきます。6月20日時点で宇陀社長が保科専務に「全体の要件と工数と金額と契約は決まったの?」と聞くと、「まだです。むしろ機能要求が増加しています」との答えだったといいます。それでも「エコポイントは、7月1日に開始され順調に」進みました。
着手から1ヶ月、「5人位」で構築されたシステムが、「順調に進んだ」ということは、最大2000万人と想定された利用者を順調に捌いたということになります。サービス開始前も「走りながら仕様を決定」していく形だったシステムは、「その後も、頻繁に機能追加の依頼が来ていたが、まさに飛行中の飛行機を改修してゆくようなものだった」そうです。
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