僕たちは消費者ではなく読者です。

楽天Koboで小学館コミックの電子書籍を購入していて「5年のダウンロード期限」があることに気づいたという話がありました。5年で再ダウンロードできなくなるだけでなく、端末から自動的に削除されるようです。

たまたま集めたい小学館のコミックがあって、「※このコンテンツには、5年間の再ダウンロード期限があります。」という記載はあったものの、5年以内にダウンロードしておけば、そのまま読めるものだという認識でいた。[...]楽天koboからの回答としては、外付けHDDなどへのデータの保存は不可能なうえに、5年後は、オンラインで同期してしまうと、電子書籍データは消えてしまうとのことだった。(楽天koboの電子書籍再ダウンロード期限の罠 - はてな匿名ダイアリー

再ダウンロード期限については、Koboに限った話ではなく出版社による制限で、かつ出版社によって異なる様子です。

出版社によるダウンロード制限も大きな課題だ。例えばReader Storeの場合、小学館コミックがダウンロードできるのは購入から5年以内、集英社コミックは1年以内という制限が設けられている。BookLiveの場合小学館コミックは同様の制限があるが集英社コミックには制限がかけられていないため、必ずしも出版社で横並びではないようだ(電子書籍ストアサービスを徹底比較(後編) -INTERNET Watch

次の指摘も、昔から言われている難点です。

紙の書籍と比べて最大の課題は保存性。紙であれば物理的なスペースは必要になるものの購入した書籍は半永久的に残るのに対し、DRMで保護された電子書籍はサービス終了時にどうなるのかがわからない。過去にも楽天の「Raboo」、SCEのPSP向けコミック配信サービスなど終了したサービスが存在する(電子書籍ストアサービスを徹底比較(後編) -INTERNET Watch

総じて思うのは、出版社って購入者を「消費者」だと思っているんじゃないかな、ということ。

僕たちは読書に刺激を受けながら人生を歩いていきます。大げさに言えば、書物は消費して終わりのコンテンツではなく、恩師であり友人でありパートナーです。どれもが「読み捨てのコンテンツ」ではなくて「あの頃に読んだ大切な一冊」になります。昔読んだコミックを懐かしんだり、自分の子供に読ませたりもするのです。僕たち購買者は、消費するのではなく読書するのです。消費者ではなく、読者なのです。

多分そのことを、図書館関係者は知っている。彼らは読書の意味をすごく考えていて、だから3.11直後に、saveMLAK移動図書館のような「被災地、被災者の読書を守る」活動が開始されている。でも出版社は、もう忘れていないでしょうか?僕たちを「読者」として見るのではなく、「消費者」として数えるしかできないなら、出版は文化事業ではなくただの製造業です。

...本を整理していて「走れ移動図書館」とか「金魚屋古書店」とかついページをめくってしまったので、思い出したもやもやを書いてみました。というか金魚屋古書店ってまさに小学館のコミックスじゃないか。小学館の人は斯波さんと菜月さんに謝れ。まず。

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