ポケモンGoのビジネス規模

ポケモンGoがサービスを開始してまだ2カ月程。それでもその2か月で、ポケモンGoに関する数字はすごい大きさになっています。いくつかの公式情報と多くのWebメディアやブログによる推測から、利用規模や売上げ、企業規模に関する情報をまとめてみたいと思います。

■ポケモンGoの利用規模

ポケモンGoが米国でサービスを先行開始したのが7月6日、日本では7月22日にサービス開始されました[1][2]。それからおおよそ2カ月が経過しました。

ポケモンGoを提供するNiantic社のCEO、ハンケ氏が9月7日のAppleのイベントで語ったところでは、ダウンロード件数は世界で5億件超、利用者が歩いた距離は総計46億kmで「地球外周11万周」「冥王星までの距離」と評されています[3]。またArs Technica UKは、実際の利用者(アクティブユーザー）数が7月に4,200万人、8月には1,200万人減少して3,000万人だったと報じています[4]。

■ポケモンGoの売上

売上については様々な推測があります。Forbesは7月11日の記事で、マーケット会社Sensor Towerからの情報として米国内のiOS分だけの売上で1日160万ドル、調査会社SuperDataからの情報として米国内全プラットフォームの累積で総額1,404万ドルを売上げていると報じました[5][6]。さらに7月28日の記事では、調査会社SurveyMonkeyの推測として米国内で1日600万ドルと報じています[7]。

Forbesの情報源となったSensor Towerは、8月5日に自社のブログに「ポケモンGoは歴史的な初月を終え、全世界で200M$（2億ドル）の売上に達した」と投稿しました[8]。これに添えられたグラフでは、日本でのサービス開始以降に売上ペースが一層高まったことが伺えます。さらに9月1日に、これまでの全世界での総計で440M$（4.4億ドル）になると投稿しています[9]。

前述のSuperDataやSurveyMonkeyの推測値から、同ペースで9月1日まで売り上げを出し続けていたらと考えると、米国内での売上が163M$ないし348M$ということになります。日本を含む全世界で440M$というSensor Towerの推測値は、数倍程度の違いはあっても一桁違うという数字ではありませんでした。大体この規模の売上と推測してよいのでしょう。

なおこの売上はそのままNianticの収入にはならず、プラットフォーム提供企業としてのAppleやGoogle、出資者としての任天堂やポケモン株式会社やGoogleなどと配分されることになるだろうとの解説や試算がブログ「憂鬱な木曜日」や「STORIA法律事務所ブログ」などにあります[10][11]。実際に7月末時点でAppleは、Apple Store経由でのポケモンGoダウンロードにより将来的に30億ドル程度の売上増を見込んでいるとのことです[12]。

■Nianticの企業規模

このモンスターゲームを提供するNiantic社はどんな規模の会社なのでしょう。もともとはGoogleの社内ベンチャーとして、Ingressという位置情報ゲームを提供していたNiantic Labsを前身としています。ゴールドラッシュ時代に工夫たちを運んだ船にちなんで名付けられたこの会社は、2015年8月に独立。

すぐにポケモンGoのプロジェクトに取組んでいることを明らかにし、ポケモン株式会社、任天堂、そしてGoogleから2,000万ドルを資金調達しました[13]。独立前のGoogle社内ベンチャーであった頃は、Ingressの運用体制がエンジニア20人、マーケティング等を合わせて50～100人だったようですが、独立し資金調達したこの時点での同社の人数は35人と答えています[14]。

現状についてはまとまった公式情報がないのですが、ベンチャーの企業情報についておそらくはニュースやインタビュー等で流れた最新情報をまとめているCrunch BaseにNianticのページもあります[15]。そちらを見ると、その後さらに500万ドルの資金を調達し、累計資金調達額を2500万ドルとしています。また社員数は現時点でも11-50人となっています。

■まとめ

サービス開始からほぼ2カ月の現時点でのポケモンGoについて、利用規模、売上規模、会社規模をまとめてみました。50人規模のベンチャー企業による、アクティブユーザー数3,000万人、累計売上400億円（4億ドル）規模のオンラインゲームということになりそうです。

ポケモンGoは、ベンチャー（スタートアップ）によるSaaS事例でもあり、またおそらくベンチャーによるIaaS/PaaSの活用事例でもあります。その観点での興味から、本ブログでポケモンGoの現状を、各所情報からまとめてみました。

■出典・参考URL（※本文はここまでで、以下はリンクだけです。）