見出し画像

【SD】パダックとパガン、ツインズへトレードし抑えロジャースとかお金とか獲得

ひとり酒 手酌酒 演歌を聞きながら
ホロリ酒

この前は有っても無くても良いって書きましたけれど、やっぱりここに載せるマクラ話って大事だと思うんですよ。前回パドレスオフシーズン恨み節を吉幾三の「おら東京さ行くだ」の替え歌にして歌詞載せたらスキ20-30程度/記事の我が零細noteに80近くのハートマークが付きましたから。


この大きなリアクションの理由を各方面から分析した結果、私はついに新たな読者を獲得する必勝レシピを修得しました。

つまり「より多くのMLBファン読者を獲得するには吉幾三絡みのフックが欠かせない」ということ。

ほら、ツボ突かれちゃったなと思いません?

そこで1988年発表の代表曲「酒よ」のサビ歌詞をトップに持って来ることで皆様のハートをチェンジアップのグリップでガッシリつかみ男でございますはいトレードですトレードですよ。

移籍した選手

(成績は元所属球団での2022 ZiPS Depth Chart予測)

パドレス加入 総負担年俸$1.4MM

  • テイラー・ロジャース(左抑え)67Game, 2.59ERA, 13Hold, 24Save, 67IP, 11.28K/9 ‘22年俸$7.3MM ‘23フリーエージェント

    ブレント・ルーカー(右打左翼手)44G, .216AVG, 9HR, .740OPS, 6SB ‘22年俸$0.7MM

    現金$6.6MM


ツインズ行き 総負担年俸$4.55MM

  • クリス・パダック(右先発)4勝3敗, 4.05ERA,50IP, 8.95K/9 ‘22年俸$2.25MM ‘25FA 

    エミリオ・パガン(右セットアッパー抑え候補)62G, 3.51ERA, 13Hld, 3Sv, 62IP, 10.77K/9  ‘22年俸$2.3MM ‘24FA

    後日発表選手

パドレスの狙い

  1. 実績のある抑えの獲得

  2. 手薄な左腕リリーフ補強

  3. 余剰先発投手放出によるリソース転換とサラリー削減


1の「実績のある抑えの獲得」は今回のトレード動機そのものである。ナショナルリーグのセーブ王に輝いたマーク・マランソンのFA移籍と、屈腱筋手術により6月後半までIL入りが見込まれるドリュー・ポメランツの離脱により開幕時の抑え役は空席となった。

早速開幕戦で阪神から移籍したロベルト・スアレスを9回2点リードで登板させたが、四球、四球、ワイルドピッチ、死球と1アウトも取れずに降板。次いだスタメンがワイルドピッチと逆転サヨナラ3ランを浴び逆転負け。スアレスは1901年ホワイトストッキングスのフランク・ドュピー以来121年ぶりとなる、MLBデビュー戦で対戦した3打者以上全員に四球か死球を記録し1アウトも取れずに降板し黒星が付いた投手になった。

昨年3セーブを記録したピアース・ジョンソンは3番手として投げており、パガンは奇しくも先に行われたこのトレードで既に移籍、ルイス・ガルシアは腹斜筋痛でIL入りしていた。そのため日本での抑え経験を買われ登板したスアレスだが、さすがに緊張した様子。ルーベン・ニエブラ投手コーチの指示か投球間隔の短さも影響したかもしれない。

大乱調のデビュー戦を終えたスアレスのロッカー前から記者が去った後、フランシスコ・セルベーリ捕手コーチがスアレスの身体に腕を回し、気休めに缶ビールを空けて渡した。その後、ニエブラ投手コーチもスアレスの肩に腕を回し会話をしながらクラブハウスから出て行ったそうだ。

この開幕戦の様な試合を防ぐ事が2019年に30セーブを挙げてからツインズの抑えを務めてきたロジャースの役目だ。開幕投手ダルビッシュ有の6回無安打ピッチングに続き、先発ショーン・マナイアが7回無安打。8回にヒルが連日安打を許したもののディネルソン・ラメットと共に無失点で抑え、9回にパドレスで初登板。1三振を含む三者凡退で初セーブを挙げた。

時計の針でいうところの10時位のやや低めの角度から左腕を振るロジャースは去年からカーブと4シームを封印し、打者に追わせて空振りを奪う為のスライダーを主な球、次に平均96mph近くのシンカーのみを用いる2ピッチ投手となった。

2.の「手薄な左腕リリーフ補強」は文字通りで、現在出場枠に左腕リリーフはヒルしか居ない。ポメランツはIL、今オフにアダム・フレイジャーを放出して獲得したレイ・カーはAAA、トミージョン手術上がりのホゼ・カスティーヨはまだライブ打者相手の投球を始めていない。昨季終盤にリリーフに回ったライアン・ウェザースはAAAで先発投手として実戦経験を積んでいる。

3.の「余剰先発投手放出によるリソース転換とサラリー削減」は開幕戦力分析でも触れたが、マナイア獲得により、マイク・クレビンジャーが膝痛で出遅れても先発5人(ダルビッシュ、マナイア、ジョー・マスグローブブレイク・スネルニック・マルティネス)が確保されており、さらにパダックの足元を見るとAAAにはウェザースとマッケンジー・ゴアが控えている明らかなダブつき状況だった。契約状況や活躍への期待度そして期待リターンを考えた際、最も放出しやすい投手はパダックだった。

チーム年俸が贅沢税ライン$230MMを超えており先発投手と捕手(ブリュワーズへのビクター・カラティニ放出に至る)が過多だった一方で、リリーフ投手や外野手は不足しているという歪な編成を調整する必要に迫られていた。だがリリーフ補強の抑えロジャースに対し、ルーカー加入による外野層強化度合いへの評価は分かれそうだ。

https://www.fangraphs.com/players/brent-rooker/19627/stats?position=OF

2017年ドラフトでツインズに1巡35位指名され、2019年プレミア12にも参加したルーカーの突出ツールは1にも2にもパワー。他のツールは40以下で、ミネソタでは昨年後半から左翼とDH起用。

速球を叩き潰しスタンドに運ぼうとする典型的なプルヒッターだ。ブレーキングボールに弱く三振率がMLB32.1%、AAAでも30%越えと高い。ボール球を追いかけ過ぎる事は無いのでマイナー時代から四球を選ぶがストライクゾーン内コンタクト率の低さ(キャリア73%対MLB平均82%)が懸念材料か。昨年11月に27歳の誕生日を迎えており、ここからの伸び代がどこまで残されているだろうか。パワー以外に売り物がない為、いずれにしても変化球の克服がレギュラー定着か又はかつてのブライアン・ブキャナンの様な右代打に甘んじるかの分水嶺になるだろう。

ツインズの狙い

まず当然ながら先発補強だと書きたいところだが、実はツインズもパドレス同様先発投手は有り余っている。ローテーション投手は5人(ジョー・ライアン、ソニー・グレイ、ベイリー・オバー、ディラン・バンディ、クリス・アーチャー)揃っており、加えて先発プロスペクトのジョシュ・ウィンダーや最速101mphジョアン・デュランをブルペンに置いている。今後6人制を用いるか入れ替えを行うかはまだ分からない。

ただツインズは少なくとも5年前からパダックの資質に惚れ込んでいた様だ。元々はFV55クラスの好プロスペクトだし不思議はない。第3の球種カーブを習得する前から、自分達なら速球の制球に長けながらも過去2年4シームのスピン量質低下と故障によりパッとしない成績に甘んじた26歳右腕を、もう一皮剥けた投手に育てられるという自信を抱いているそうだ。

ツインズにとって今年の年俸だけ見れば金銭的に損をしているトレードだが、パダックはフリーエージェントまであと3シーズン残っており、3-5番手級の先発を安価に確保したという意味では中期的に損な話ではない。

もう1人の移籍選手パガンにもFAまであと2シーズン残っている。三振はそれなりに取るが、問題は「イヤンパガーン」でお馴染みな2.27HR/9という一発病。球速やスピン数は被弾が増えた昨季後半には寧ろ増加し、パダックと同じく四球は少ないが、ストライクゾーン際の球が減り甘いコースが増えた。特に4シームでインハイが突けていない。

カッターの動きが若干悪くなったが、それよりパガンの生命線は配球5割を超える4シームの出来に懸かっている。ただ昨オフ中にスプリットを習得したとコメントし、オープン戦でもらしきものを投げていたので今年の配球に変化をもたらすかもしれない。そもそもリリーバーなのでサンプルの分母に相当するイニング数が少なく、また分子に相当するホームラン数もそう多くないため、ともすれば投球に大きな変化がなくても改善する可能性すらある。パガンに期待される理想の役割はロジャース放出により空席となった輪番クローザー候補か。上手くいかなければ7-8回だろう。

またこのトレードに関するSSS-1912氏のnoteを紹介しておくので参考までご一読いただきたい。

Goodbye Cowboy

パドレスに視点を戻しざっくりまとめると、FAまであと3年の若手中堅先発と2年のリリーフで実績ある単年抑えと宝くじ的調停前3-4番手パワー専任外野手候補を買い、戦力を未来より現在に寄せましたというところか。長い再建期を経てポストシーズン出場がまだ2020年短縮シーズンのみ、加えて2021年の記録的後半大失速を受け、何がなんでも今年結果を出さなければならないというA.J.プレラーGMにのしかかるプレッシャーが見え隠れする。

さてミネソタ移籍が決まり、まだ捕手だった少年時代憧れの選手ジョー・マウアーが所属したツインズのユニフォームに袖を通すこととなったパダックはツインズ番記者とのインタビューで「自分によく似合っていると思うよ。茶色と金色より良い。(アメリカの宅配業者)UPS(の制服)みたいだったから。よくジョークのネタにされていた」とパドレスのユニフォームについてコメントした。


これを受け怒りを露わにしたパドレスファンは「当番日に変な色のシャツ着てカウボーイ姿で球場に来ていたお前が言うか?」「少なくともUPSはdeliver出来るけどな」等と反応した(deliverには「運ぶ」の他に「職務を遂行する」という意味もある)。

Twitterで弟のチームメイトに文句を言っていた兄貴マイケル同様要らんことを口にするのはパダック家の血統なのかとボヤきつつ振り返ると、パダックが輝いていたのは確かに茶金ユニフォーム以前のジェネリックな紺色を着ていた頃だった。

マーリンズからフェルナンド・ロドニーとのトレードでパドレス入団後、トミージョン手術から先述の兄と二人三脚のトレーニングで驚異的な快復を見せ2019年メジャー開幕昇格。26試合に先発し9勝7敗、ほぼ4シームとチェンジアップのみで3.33ERAと9.8SO/9、2.0BB/9、1.5HR/9と堂々たる成績を収めた。

悔しさをバネにすべく自らのドラフト指名順位「236」をタトゥーに身体に刻む(2021年には左腕にライオンタトゥー追加)という熱いけど友達出来るのか心配になりそうなキャラクターや、登板日には周囲をシャットアウトしカウボーイ姿で球場入りする様子は「Paddack Day」と称されファンの間で話題になった。闘志を剥き出しにして投げる姿は、かつてサイ・ヤング賞を受賞したパドレスのエースであるジェイク・ピービーを彷彿とさせ、雌伏の時を終えて勝利へ向かうチームの声明にも映った。

パドレス栄光への道中で希望の灯をともし、そして楽しませてくれてありがとう。では最後に東京の著者からミネアポリスに向けて愛を込めてひと言。

「お前さん確かにテキサス出身だけど、高校通ったCedar Parkって州都Austin郊外のベッドタウンだったから、カウボーイが居そうな放牧地とかじゃ無くね?」

ごめんねカウボーイ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?