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【SD】パドレス2021年前半戦総括その1

いやぁ、自分の部屋にアートがあるって本当にいいものですね。

待ち合わせ場所にやってきた強面のおじさんとローン契約を結び、やってきましたよでっかい極彩色のイルカの絵が。部屋の照明を落とすと夜光塗料っぽく光るのですが、まさかカラオケ館のペイントをクリスチャン・ラッセンが全て描いているとは知りませんでした。

ちなみに実話ですが、昔シアトル郊外ベルビューという街のモールで、ラッセンのアトリエの前で店員から声を掛けられたので振り向くと、隣にはポニーテールのややガタイの良い白人が。彼はラッセンの弟だと説明されました。

時は流れ数年後、ワシントン州を離れカリフォルニア州のモールに行くと、同じようなラッセンのアトリエを見つけました。するとこれまた同じようなラッセン弟っぽいルックスの白人を見かけるんですよ。ジェネリックラッセン弟

ああラッセン家は山田隆夫さん家みたいに子沢山なのかな、もしくはジムみたいに量産可能な弟なのかなと推察しました。

その気になればこの虚実入り混じったラッセンtalkをnote運営が読みやすい文字数として推奨する2500字程度まで膨らませられなくはないですが、ふざけた挨拶文から過去ブログで半月以上お茶を濁された挙句に、ラッセンの脱線(韻踏み)した話を読まされるパドレスファンもたまったものではないと思うので前半戦の総括を致しますもう500文字超。

前半戦終了

パドレスはオールスター迄の前半戦を53勝40敗で終えた。ナショナルリーグ西地区首位と6ゲーム差の3位。6月1日から球宴前最終戦のロッキーズ戦まで19勝19敗だった。

ドジャースの牙城を崩すべくシーズンになぜ地区3位なのか。シーズン前、Fangraphsによるパドレスの勝ち星予想は94.7勝、NL西地区でドジャースに5ゲーム差の2位だった。片や現在の勝率.570で162試合を終えると92.3勝ペースで、2.4試合多く負けている。確かに期待通りではないが、大誤算というレベルではない。

ちなみにドジャースは奇しくも開幕前予想も実績も勝率.615。ベリンジャーの故障、カーショウとバウアーの離脱こそあれどOn Trackである。

予想を大きく裏切ったのは首位のサンフランシスコ・ジャイアンツ。開幕前76.3勝予想だが、蓋を開けると勝率は両リーグトップの.640、103.7勝ペースである。

ベテランが核を担うジャイアンツの回春ぶりがシーズン終了まで続くか息切れするかは神のみぞ知る話だが、パドレスとしては取り敢えず自らの勝ち星を積んでいかなければならない。

野手と捕手

最近の試合では貧打が目立ったので意外に思われるかもしれないが、パドレス打者のrWARは17.3でNL15球団中3位。上にはNL西地区ライバルのジャイアンツとドジャースが勝敗順位の並びで1-2位に居座るのみだ。

打率.241でNL5位、出塁率は.324で5位、長打率.404で6位、Park Factor考慮したOPS+が105で4位。あと走塁による得点力を示すRbaserがロッキーズに次ぐ2位。類似するFangraphs上での指標では首位だ。序盤に不安視されたISOも6位と改善傾向にある。

先に全体像を説明すると、NLのポジション別WAAとパドレスのランク(黄色)は以下の通りである。

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誰が打撃陣をけん引しているかといえば、もちろんボブ・ブレンリーとカメムシ以外全ての心清きものが崇めるスーパースター、フェルナンド・タティス・ジュニアだ。スラッシュラインは.286AVG/.364OBP/.656SLGで、特に長打率は1933年以降の遊撃手が球宴前に残した最高値をマーク。前半戦93試合中19戦欠場ながらもNLトップの28HRと20盗塁、rWAR4.6はMLB打者中堂々の首位だ(投手としての貢献も含めると大谷翔平が5.6で首位)。

パドレス初の30本塁打30盗塁どころか、メジャー5人目の40-40もしくは前人未到の50-40も射程圏内だ。またグレッグ・ボーンが1998年に記録したパドレスのシーズン本塁打記録50本の更新も懸かっている。

タティスと共にオールスターに選ばれた二塁手ジェイク・クローネンワースと三塁手マニー・マチャドもポジション別WARトップだ。特にクローネンワースは.276/.350/.459/12HRと二年目のジンクスを感じさせない活躍。

踵の打撲などで64試合の出場に留まった中堅手トレント・グリシャムも.274/.357/.491/11HR/8SBと好成績で、堅守も健在。また昨年から相重なる怪我(ストリップクラブでの刺傷含む)からの快復と円錐角膜用コンタクトレンズの相性に苦しんでいたファム太郎ことトミー・ファムも選球眼と出塁率が超回復し.254/.367/.406/12SB。長打力が未だ戻り切ってはいないがリードオフを任されている。

一方パッとしないのがエリック・ホズマー(.266/.323/.375/7HR)、ウィル・マイヤーズ(.253/.330/.428/10HR)のかつてフランチャイズの顔としての活躍を期待されていたベテラン二人。前者は今季から2025年までの間に$81MM、後者は来年まで$45MMの契約を結んでいる。

ホズマーは6月に打球角度に好転の兆しが見えたかと思いきや不運で打率が上がらなかった。再びゴロ打球増加したところ幸運に転じ打率が上向いたので喜んでよいのか迷うところだ。しかしゴロが多い故に長打率は.375と、メジャー二年目2012年以降最低の数字。パドレス入団後4季のうち、昨年60試合短縮シーズンでの1.3rWARが最も高く、2019年と今年はマイナス。昨年掴みかけた打撃の感覚を取り戻さないと、出番の減少に拍車がかかる可能性がある。

序盤膝の怪我とCOVID-ILで離脱低迷したマイヤーズは過去28試合で.276/.352/.539と好調だが、マイナーな故障を複数患っているためかあまりに波が激しすぎる。また高い運動能力の割にクッション処理など右翼守備が今一つで、特に送球が宜しくない。チーム事情で致し方なく守っているが、一塁か左翼が最も適したポジションだろう。

捕手は開幕前の最も期待が外れたポジションで、中指骨折と膝挫傷により僅か18試合の出場に留まっている正捕手オースティン・ノラの欠場が主な理由だ。好守のビクター・カラティニ(.224/.317/.347/6HR)は二番手捕手として申し分ないが正捕手としては打撃がやや物足りない。30歳ルーキー捕手ウェブスター・リーバス(.200/.298/.360/2HR)も守備の人だ。捕手プロスペクトのルイス・キャンプサーノ(.088/.184/.088/0HR)の昇格は時期尚早で、現在はAAAでプレーしている。

ユーティリティ選手ジュリクソン・プロファー(.232/.336/.300/1HR)の外野守備大躍進政策はファムの復帰で見かける事が少なくなった。ここ28試合で.289/.373/.378と昨年同様開幕からの絶不調から徐々に本領発揮というトレンドを追っている。そしていつの間にか10盗塁。

キム・ハソン(.208/.269/.350/5HR/5SB)のアメリカ速球適応の旅はまだ続いている。しかし二塁三塁遊撃で安定した守備をこなすおかげで、打者rWARはファムに次ぐ6位。ホズマーやマイヤーズよりも高い。

バットがボールからソーシャルディスタンスを保ち続ける元プロスペクトホルヘ・マテオ(.195/.241/.280/1HR)がパドレスのユニフォームでプレーする姿を見られるのはおそらく今月限りだろう。四球を選ばないのでリーグ屈指の俊足が活かせない。来月はブレーブスのフリーズ役か。

補強ポイントはおそらく長打力を持つ外野手。できればグリシャム不在時にセンターを守れる選手が望ましい。レンジャースのジョーイ・ギャロやカブスのクリス・ブライアントらの名前が噂に上がるが、いかんせん隠密ロックスターGMことA.J.プレラーの成す事なので予想しても当たらない。

昨夏マリナーズにテイラー・トランメル+タイ・フランス+アンドレス・ムニョス+ルイス・トレンスを出し、ノラ+オースティン・アダムス+ダン・アルタビラ+テイラー・ウィリアムズを獲得したトレードなど誰が予想できただろうか。しかしいかなる方法でも穴をしっかり埋めてくるのが近年のプレラーだ。

ラッセンの枕話が長すぎたので投手は次の機会に。

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