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【SD】2022年シーズン1/3ちょい過ぎたくらいのパドレス

奥さん『トップガン マーヴェリック』当然もうご覧になりましたか!『トップガン マーヴェリック』といえばサンディエゴパドレスですよね!私は先週ようやく第一作目を観たばかりなのでまだ観ていません!メグ・ライアンはともかく『さよならゲーム』でお馴染みのティム・ロビンスの出演に驚きました。自分の中で『ショーシャンクの空に』ではなく『さよならゲーム』がロビンスの代表作です。あと日本のポップバンドTOM☆CATからニックネームを拝借したF-14が飛んでいましたね。

おいちょっと待テオなぜ『トップガン マーヴェリック』がサンディエゴパドレスですよねなのですかといいますとですね、単に舞台がサンディエゴであるからだけではないのです。

前作『トップガン』の監督を務めたトニー・スコットは2001年、『スパイ・ゲーム』のメガホンを取ります。そしてこの中で若きスパイを演じるブラッド・ピットが1985年のレバノンを舞台とするシーンで、白橙SDロゴの紺色パドレス帽を被っているのです!

肖像権とかアレかもしれないので顔半分

しかしですよ、1985年ならこれらの帽子じゃないとおかしいわけですよ。

ディック・ウィリアムズ元監督。グウィンも黙るオールドスクール大将
1984年以前ならこちら。グース・ゴセージ。福岡ダイエーにも来ました

なぜヒゲ親父の写真ばかりなのかは置いといて、ご覧の通り先の白橙SD紺色帽子のデザイン採用は1991年なので時代考証に誤りがあるのです!発見した時は何だかなと思いましたが、レバノンでゴセージが被っているタコス帽子被っていたら目立ってしまいスパイ活動していてもレバノン当局に即しょっぴかれそうだもんなと勝手に心の中でつじつまを合わせてしまいました。

さて、時は流れ再び茶色い帽子を被る今のパドレスはどうなっているのか追いかけて追いかけて追いかけて(『雪國』より。MLBファン獲得に欠かせない吉幾三フック)みましょうよし話が繋がった。

ここまでのパドレス

上出来と言ってよいだろう。

13連戦を終えた米国6/9時点で今季パドレスは35勝22敗。ナショナルリーグ西地区では首位ロサンジェルス・ドジャースに2.0ゲーム差の2位。勝率.614はNL全体でもニューヨーク・メッツとドジャースに次ぐ3位の勝率だ。当然ワイルドカード争いの首位でNL7位のアトランタ・ブレーブスに4.5ゲームの差をつけている。162試合で99勝の勝率なので、他地区なら優勝候補と呼んで差し支えないだろう。

ただ盤石かといえばそうでもない。5月末にNLトップだったにもかかわらず後半の大失速でプレーオフ出場を逃したパドレスに6月の盤石などない。得失点差はNL3位とはいえ+44しかない。メッツは+64、ドジャースに至っては+112と上位2チームに大きく水をあけられている。この得失点差から算出されるExpected W-Lは33勝24敗、シーズン93.7勝ペース。地区優勝というよりワイルドカード争いのチームの成績に相応しい。

1試合当たりの得点4.44はNL9位。失点3.67は少ない方から数えて2位(首位ドジャース)。つまり得点力不足を投手力と守備力でカバーしている。

キングピンは打撃

いつもは投手から話を進めるが、今回は打線から始めたい。というのも打線さえ良ければパドレスの躍進は可能だからだ。

6-7人居る先発投手は問題ない。そして実はリリーフもさして問題ではない

こう書くと先発が抑えたリードをリリーフ投手が逆転される試合も多く見てきた読者諸兄は異議を唱えたくなるだろう。しかし昨年とは異なり先発投手がリーグで最も長いイニングを投げているので、仮にリリーフ投手の多少出来が悪くても登板イニングは短くて済み試合への影響は実際そう大きくはない。そして現在パドレスのリリーフERA/FIP+/fWARはNL6位、リーグ最少イニング数でならそう悪くなく、少なくとも足を引っ張っているとは言い難い順位だ。

先の得失点差から想像が容易だが、パドレスの1点差試合数18はNL5位の多さだ。11勝7敗と勝ち越してはいるが運による部分も大きい。そもそも、ホームラン一本でひっくり返ってしまう状況は避けなければならない。

つまりリリーフがリードを保てないことが問題の本質ではない。リードを広げられない、奪えない打線がぶっちぎりで大きな問題なのだ。ボウリングの1番ピンを倒すが如く、得点力アップが全てを解決する

パドレスはwRC+が92と平均100を下回るNL11位。打率.232は12位、出塁率.310は10位、そして長打率.357はNL最下位である。長打の元となるバレル率が5.6%で最下位(首位はブレーブスの11.0%)なので無理もない。打球角度は12.7°でNL8位だが、打球速度は87.6mphと12位。去年長打率.611だったフェルナンド・タティス・ジュニアが不在なので致し方ないが、スラムディエゴは遠くなりにけり。

パドレス打者のバレル率は以下の通りだ。

Source: Fangraphs

レギュラー級の打者でNL平均の7%を超えているのは今季新加入なルーク・ボイトホルヘ・アルファーロの二人のみだ。だが彼らは三振率が33.3%と39.6%と高いので本格的な脅威にはなり得ていない。とはいえボイトは二頭筋痛で腕がうまく畳めず長くなっていたスイングの軌道が故障者リスト明け後は修正されていたおかげで、4月.143だった打率が5月以降は.260を超え本来の打撃を取り戻しつつある。

.329/.401/.543とMVP級の活躍を見せているマニー・マチャドだがバレル率は5.8%と意外に低く、実はキャリアワースト(平均9.8%)である。

低い方に目を向けるとオースティン・ノラの3.5%。確かに長打の見覚えが無いが、元々低バレル率のコンタクト打者なので意外ではない。ただ今年は変化球のボール球に手を出し.209/.288/.261と低迷している。

もう少し上を見るとほら居ましたよ、僕らの大好物エリック・ホズマーが。やれゴロ助だの併殺隊のゴロ柱、エリ獄・ホズマーの名セリフ「ゴ、ゴロを燃やせ」だの恒例ホズマーいちびりタイムを割くことも出来るが、打球が例年通り地を這い首位打者を争っていた4月は去年同様春の珍事でしたという平常運転以上の話はない。よって今回は別のベテラン打者の話をする。

かつて新時代のパドレス主砲としての働きを期待され6年$83MM契約を結んだウィル・マイヤーズだが、契約最終年の今年は.234/.276/.306と不調。そして内視鏡手術も視野に入れた膝の故障で怪我人リストに入っている。60試合シーズンの2020年にはタティスを凌ぐwRC+を叩き出したが、その後は低迷を続けている。理由には膝や親指や手首など長期欠場するほどではないけれどパフォーマンスに影響する怪我も考えられるが、それ以外にも注目すべき点がある。

右打席から奇麗な放物線を描き右中間に流し打つ大飛球はマイヤーズの代名詞だが、実は近年流し打ちフライのバレル飛球がリーグ全体で低下しているのだ。

Statcast計測開始以降引っ張った流し打ちバレル率は2.47%だったが、後者の数字は今年2.06%に落ち込んでいる。ボールの縫い目の高さが増したため流し打ちでボールに生じるサイドスピンが増した(打球が横に弧を描き直線的でなくなる)からではとの説もあるが、定かな理由はまだ明らかになっていない。そしてマイヤーズの流し打ちフライ率は59.4%と規定打席到達打者中6位の高さだ。これまでスタンド入りしたりフェンス直撃していたそれらの飛球の打球速度が落ち、外野フライに終わったりファウルになったりしている。今年のISOは.073、キャリア.188に対して100pts超下回っている。ならば流さず引っ張ればよいではないかと言いたくはなるが、打者が記録するフライの方向がシーズンごとに大きく変わるケースは滅多にない。根本的な打法改造が求められるため、このままだとマイヤーズは怪我が治っても厳しいシーズンを送るのではなかろうか。

トレント・グリシャム(.179/.286/.302)ジェイク・クローネンワース(.226/.313/.373)の成績も今ひとつだが、彼等のインプレイ打率は.242と.270。前者はキャリア平均より44pts、後者は18pts低いので改善する余地がある。しかしマイヤーズのBABIPは.322。MLB平均は勿論のことキャリア平均.319を僅かながら上回っているため、今の打球では大きな改善は見込めないかもしれない。現在マイヤーズに代わって右翼を守るノマー・マザラ次第だが、彼はおそろしく左投手を打てないのでいずれにしても打てる右打ち外野手が必要になる。マイヤーズの復調が無い限りおそらくトレード期限前補強の最重要ポジションとなるだろう。

好調な打者に目を向けてみよう。ジュリクソン・プロファーは今季.252/.350/.424/7HR。124wRC+はチーム内でマチャドに次ぐ高さだ。そして外野守備も向上している。今まで内野外野殆どを守れるがどこの守備も拙い安物万能ナイフと揶揄するけしからん輩(俺)が湧くほどではあったが、今季メルビン監督がレフトに固定したことが功を奏したようだ。昔の手術の影響か肩があまり強くないにもかかわらず内野手特有の横投げで茹で麺アームと揶揄するけしからん輩(俺)が湧くほどではあったが、外野手固定により上から投げ下ろす送球フォームを習得したため制球が驚くほど安定。ポジションの固定化が守備への憂慮を減らし打撃に集中できるようになったのかもしれない。もしくはフェルナンド・タティス・シニアとの自主トレの成果か。開幕に下位だった打順が徐々に上がりリードオフを任されているが、四球率が高いのでフィットしている。グリシャムが調子を取り戻すまではそのままで良いのではなかろうか。

補強の話もそろそろ出て来る頃だが、おそらく起こり得るトレードの前にタティス・ジュニアが復帰するだろう。MRIの結果次第で早ければ来週バットスイング再開へのゴーサインが出るはずだ。サンディエゴのローカルメディアは6月下旬や7月上旬の戦列復帰を期待しているようだが、いかんせん今年の実戦経験がまだゼロなのでトレーニング、アリゾナ練習場での模擬戦、マイナーリハビリを含めると所要期間はおそらく一か月、オールスター明けと見るのが無難な線か。

明日のロッキーズ戦を皮切りに今シーズン最多の18連戦が始まる。幸い全て今季勝率5割以下のチームのみだ。ロッキーズ2戦目はダブルヘッダーなので5/27から31試合で31試合を行なうことになる。パドレスにとっては1990年ぶりの長丁場だそうだが、先発7人衆がアドバンテージになりそうだ。折を見て話を続けたい。

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