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日々の豊かさというもの

先月上旬、引っ越しをした。
勤務先からは電車で1時間ちょっと、
という少し田舎へ。

元々住んでいたところは、
勤務先へ40分くらいで着くことができ、
駅近、オートロック、浴室乾燥機付き、エレベーター付き、宅配ボックス付き
という、一人で住むには便利なところだった。
最寄りの駅前にはスーパーが3つあり、
コンビニもすぐ近くにある。

越して来たところは、
3DKが1LDKにリノベーションされた団地で
駅から徒歩12分、階段のみ(ちなみに我が家は最上階の5階である)、
浴室は窓を開けて換気するタイプ、
もちろんオートロックや宅配ボックスは付いていない。
スーパーは駅から少し歩いたところに1軒、10分くらい歩いたところにもう1軒、
しかもどちらも小さめなスーパーだ。
コンビニは家から5分歩いてたどり着く。
前の家から比べたらちょっと不便かな、という感じ。

ちょっと不便、なのにここに住もうと思ったのは
南側に向いた大きい窓から差し込む日差しと
窓から見える緑の多さ、
近くの公園や保育園で遊ぶ子ども達の賑やかな声があったから。

一年前、ちょうど今頃、病気を患った。
2ヶ月休職して、その間
とにかく朝食を食べて日の光を浴びて朝の時間に軽くお散歩をしなさい、と言われていた。
元来だらけがちな性格なので、どう頑張っても朝早く起きられず、いつもお昼過ぎにようやく外に出られる、くらいの状態だった。
復帰してからも、フレックス制の良さか悪さか、始業の時間が決まってないものだから
だらだらと遅い時間に起きてきて、
眠いままの体で出社して仕事をこなしていた。

引っ越したら、駅まで距離あるし、最寄り駅から会社の駅までも時間がかかるようになるから、
今まで以上に無理矢理起きないとダメだな、と不安に思っていた。
浴室乾燥機も付いていないから、どんなに眠くても朝起きて洗濯しないと乾かないし。
と、普通の人なら行える日常を、
本当に最近までできなかったし、できる気さえもしなかった。

引っ越してきた直後は、やはり起きれなかった。
あぁ、やっぱり起きれないし、自分の体はダメなんだな、自分は怠惰な性格なんだな、と残念に思った。

それでも毎日、部屋から見える緑が嬉しかった。
駅まで歩く道のりで香るくちなしの花に、夏が来るのを感じた。
近所の子ども達の遊ぶ声が聞こえて、思わず微笑んだ。

二週間くらいそうして過ごしていて、ある日、朝日が眩しくて目覚めた。
次の日も、その次の日も。
絶対に、朝の6:30頃、一度目が覚めるのだ。
朝の時間に洗濯して、朝ご飯を食べ、バタバタと焦ったりせずに支度ができるようになった。
前の家から同棲を始めた相方にもびっくりされるくらい。

一番の理由は、寝室に朝日が差し込むことだと思うけど、
この土地に来て、たわいもない日々の物事が、すごく心を豊かにしている気がした。
この土地の、のんびりした空気感に、
自分が受け入れられているような気がした。
そして明らかに、ウキウキしているのだ。
晴れて、木々の緑が光を浴びるのを見るだけで、嬉しくなってしまうのだ。

とっても抽象的だけれども、
生きていくってそういうことじゃないか、
と思った。
小さい小さい喜びを積み重ねていくこと。
もちろん苦しい時があったからこそ、
小さな出来事も喜びと感じられること。

その、繰り返しなんじゃないかなーと思ったら、
何も焦らなくて良いんだな、と
少し前向きに捉えられるようになった今日この頃なのです。


#暮らし
#豊かさってなんだろう
#小さな喜び
#のんびり生きる

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とりとめもない話を読んでくださってありがとうございます。

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