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加工屋のボヤキ~刺しゅう編~

皆さんこんにちはーカワシマですー。
先日、Youtubeにてラジオ形式で動画をUPしたんですけど・・・
noteの方にも+αして文面で起こしてみようかなーと思います。

過去の投稿でもYoutubeの内容と同じものを紹介していることが多いんですけど、それは文面や写真で紹介した方が冷静になれるというか、時間がコントロールできるというか、そんな理由からです!笑

”刺繍の起源”

刺繍の起源は諸説あり、正確なことは分かっていません。ですので、色々調べた結果と私見を混ぜてお話していきます。

時は遡ること「古代エジプト」。その頃にはもうすでに刺繍のベース(ステッチ、サテン振りなど)ができていたそうです。よくよく考えてみれば、原始人が来ている服は動物の皮を剝いだものを繋ぎ合わせたものなんですよね。そこで針と糸のようなもので刺繍をしていたとあっても不思議ではないなと。
古代エジプトからヨーロッパ、インド、中国などに手刺繍の文化が広がっていき、機械を使って刺繍する現在に至るという感じなのですが、昔は今よりも刺繍のネーミングが細かかったようです。
蘇繍(そしゅう)・粤繍(えっしゅう)・湘繍(しょうしゅう)・蜀繍(しょくしゅう)など、今でいう「普通の刺繍」が微妙な打ち方の違いでネーミング分けされていて、素人(私も含めて)からみたらどれが蘇繍でそれが湘繍なのか分からないです・・・苦笑。

これが機械ではなく手刺繍っていうんだからすごいですよね。今でもハンドメイド作品ですごく凝った素敵な刺繍がたくさんありますけど、昔はそれが普通だったんだから。現代では工業用ミシンが1時間で何十枚も縫える時代だから、お金のことを考えるとどうしたってそっちに行っちゃいます。いわゆる”付加価値”の”価値”が目に見えにくい(大変さが可視化されない)時代な気がします。

刺繍で大変なこと

大変さが可視化されない、ということで。
刺繍工場における大変なことっていうのをかいつまんでお話していこうかなと。
まずは「静電気」ですかねー。
乾燥する季節になると糸に帯電するんですよ。特にS-55やケイトなんかは顕著です。帯電していると何が起こるか・・・針に糸を通す際、糸が針の穴に入ってくれない!フイーンって離れていっちゃう!そして一番困るのは、糸調子が縫っている間に変わっちゃうこと!糸調子が変わると刺繍の仕上がりに大きな影響が出ちゃうので,これが一番厄介です。静電気除去?のスプレーみたいなのもあるんですけど、いちいちそれをやっていると量産が追い付いていかない!笑。
人の手ではいかようにも難しい問題です・・・。

お次はワンポイント刺繍に関して。
ワンポイントって人によって感覚が違うと思うので一括りにはできないんですけど、ちっちゃい刺繍を入れてみるって感じで解釈したときにですね・・・例えば3㎝×3cmくらいの「お花」を刺繍するとしましょう。糸の色が1色で構成されていようと12色であろうと【ワンポイント】なんですよ。サイズ的にね!
だからといって1色のときとコストが一緒かっていうとそんなわけにはいかないわけです。糸を12色×10頭分とか、準備するだけで半日もっていかれますから・・・。

次は特殊な生地です。
特殊といっても皆さんが知っているような素材だったりするんですけど。
刺繍、プリントも含めてもっとも代表的なのは「シルケット」という加工が生地にされている場合です。
このシルケット、どんな加工かというと・・・シルクのような光沢&肌触りを目指すために生地をサラサラ・滑らかにする加工なんですけど、これが施されていると刺繍の台に生地を貼り付けられないんです。正確に言うと、一瞬くっついたようですぐにペロッとはがれてしまうんです。イメージとしては、全然くっつかないセロハンテープみたいな感じです。これでは縫われている間に生地が滑って上手く縫えないんです。プリントも同様です。
しっかり縫えるようにサンプルの時点で対策を練る必要があるんですけど、それを見積もりに反映していくと割高に感じてしまったりすることもしばしばで。

あとはビヨンビヨンに伸びる生地!
これも厄介で、横だけに伸びるような生地ならまだしも、縦と横両方に伸びる生地の場合は刺繍をしている間に生地がつってしまう(シワが入ってしまう)んです。生地を硬化させるスプレーもあるんですけど、近年の機能性特化素材にはもはや効果を発揮することがほとんどありません。笑
そういうときは生地に芯を貼って固定させておくとかしないといけないわけなんですけど、結局その芯は後から取らないといけないわけで。接着されている芯を取るっていうのはそんなに簡単ではないのでこれもまた見積もりで割高に感じてしまうケースの1つですねー。。。

そして嬉しい時!
上記の素材の後に縫う素材が、厚手の天竺編みのものだったりすると気持ちが軽くなります。嬉しいというか、楽になるというか。笑

そしてもう1つ嬉しい瞬間は、次に控えている量産物で、使う糸が全く同じだったとき!これはなかなか無いパターンですけど、たまたま遭遇したときにはテンション上がるんですよ。だって糸を立て替える必要がないからね!

とまぁ、書きたいことを好きなように書いてきましたけど、ほとんど愚痴みたいになってない・・・?
細かいことは気にせず、これからもどんどん加工の紹介をしていくので楽しみにしていてくださいね!

ちなみに投稿頻度はYoutubeの方が圧倒的に多いと思いますので是非ご覧下さいませ。笑

ではまたー!

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