箱マスの水瀬伊織について

はじめに

 最近になってXbox360の本体と『アイドルマスター ツインズ』(『THE IDOLM@STER』(箱マス) と 『THE IDOLM@STER Live For You!』のセット版)を購入した。現在は少しずつ箱マスをプレイしている。今の時点でプロデュースを終えたのは春香、真、律子、伊織、やよい(Trueエンドを達成したのは春香、伊織、やよいの三人)だが、ゲームをプレイする中で自分の知らないキャラクターの一面を知れて面白かった。
 というのは、私がアイマスにハマったきっかけはアニメの『THE IDOLM@STER』だからだ。アニメでアイマスの世界に魅了されてからは、765ASが登場するミリシタをはじめ、シンデレラガールズのアニメを見て、SideMのアニメも見て、シャニマスもはじめ、ディアリースターズ(アイマスDS)も買った。(実写版の.KRと黒歴史? なゼノグラシアはまだ見ていないが)
 私は今あるアイマスの5ブランドにすっかりハマってしまい、今では時間があればアイマスのことばかり考えている。

アニメとのギャップ

 本題に入る。アイマスはコンテンツ全体で好きなのだが、やはりハマったきっかけの765プロは私にとっては大きな存在だ。そんな765プロのゲームをプレイしたいと以前から思っていたのだが、私は対応ハードを持っていなかった。PSPもPS3も家にない。最近になってやっとXbox360を購入し、箱マスをプレイするに至った。
 今回は水瀬伊織について書いていくが、特にプロデュースしていて驚かされたのが彼女だった。というのは、私が想像していた「水瀬伊織」と、ゲームの水瀬伊織がかなり違ったからだ。
 私はアニメからアイマスの世界に入ったので、「水瀬伊織」は「ちょっとツンデレ気質で、プロ意識が高くて、その上でちゃんとした自分を持っている、とても頼りになるアイドル」という風に捉えていた。しかし、これはアニメ化するにあたってアレンジされた水瀬伊織のキャラクターだった。アニメから箱マスに遡って、そのギャップにびっくりした。(アニメの世界観の基本的な部分はアイマス2だから箱マスとの違いがあるのもわかるけど)
 箱マスの伊織からは「わがままなお嬢様」ということを特に強く感じた。アニマスの伊織だったらこんなことしないでしょ……、ということも結構していた。伊織のコミュも、アニメの伊織のことを考えて選択肢を選んでいたためか、パーフェクトがなかなか取れなかった。
 箱マスの伊織は「わがままなお嬢様で、わかりやすいツンデレで、かなりの自信家で、手のかかるアイドル」という感じがする。でも、そんな伊織がまた可愛かったりする。
 コミュの中では、猫かぶりをしたり、P(プロデューサー)とファンへの演技の練習をしたりと、表裏を使い分けているキャラであることも描かれる。アニメではあまり猫かぶりのシーンはなかったけれど、普段の伊織とどれくらい違うのかは結構気になる。「演技」といっても、アニメの方ではそこまで過剰に媚びたりとかはなかった気がする。でも、箱マスの方ではファンの前ではガチガチに媚びてる感じなのかな……?
 あと、アニメでは描かれていなかった自分の境遇への不満や、家族との関係が見られたのはよかった。Eランクの営業「ランクアップ」のコミュでは、はじめてのギャラが3000円で伊織がショックを受けていたりする。しかもそのコミュでは彼女のお小遣いがこの十倍(30000円)であることも語られる。こういう境遇に不満を感じるのはいかにもお嬢様キャラっぽくて面白い。

伊織の人格形成

 伊織については、いつも抱えているうさぎのぬいぐるみ(うさちゃん)についてのコミュ(営業「ある日の風景3」)もよかった。お嬢様ゆえに孤独で、ちゃんとした話し相手がおらず、心を許していたのはうさちゃんだけだった……、というのは結構辛い。お金持ちの家に産まれ、その広い家の中で孤独だったということは彼女の人格形成に大きく影響を与えていると思う。
 人格形成については、優秀な兄が二人いることも大きいだろう。優秀な兄がいて、なにかと比較されることもコミュの中で語られる。(営業「ある日の風景4」)
 これは私の妄想なのだが、そういう境遇で生まれた劣等感みたいなものから、人に対して素直になることができず、ツンデレ的な性格になってしまったのではないだろうか?
 アイドル活動を続けていく内に、欲しいものは自分で手に入れるから面白いと気づいたコミュは特に好きだ。(営業「ある日の風景5」)
 広い家も結局は父親の所有物にすぎない。しかし、アイドル活動で得たもの(歌や仕事、仲間、プロデューサー)は紛れもなく自分の力で手にしたものだ。このコミュで、自分の力で自分のものを手に入れることに喜びを感じている伊織の姿はとても印象深かった。
 わがまま娘だった伊織も、ランクが上がるごとに、Pに対して好意的になっていくのも面白い。(そして可愛い)
 Bランクの営業「ランクアップ」で、伊織が、自分が頑張れるのは周りの人の力も大きい、と口にするのが本当によい。こういうところはアニメの伊織にも受け継がれている気がする。そのコミュの中ではPのことを「MVP」というくらいだし、素直じゃなかったころからの成長を感じてグッとくる。

伊織Trueエンド

 そんな伊織のTrueエンドは、Pへの思いが溢れ出ていて好き。Pとの別れは、伊織が気を置かずに話せる相手がいなくなってしまうことを意味する。1年間のアイドル活動で、伊織の中でのPの存在が大きくなっていったのがよくわかるコミュだ。
 ここからは私の妄想なのだが、最初のころは伊織の中ではPは下僕とか、当たり散らしてもいい程度の存在でしかなかったのだと思う。しかし、日々を重ねていくごとに伊織の心境も変わってくる。下僕程度の存在だったPに、精神的に結構頼るようになったりして、その気持ちはいつしか恋愛感情に近いものになっていくのだ。
 引退ライブを一度拒絶したのは、アイドルを引退することだけではなく、Pとの別れもまた拒絶しようとしていたのではないだろうか。結局はライブを行うのだが、ライブ終了後には前述の、伊織の思いが溢れる言葉を聞ける。Trueエンドはまだ3人のキャラでしか見たことがないけれど、このエンドは特に好きだ。最終的にPと恋人候補になって水瀬伊織の物語は幕を閉じる。
 ここで、ベストの選択肢が「友達」ではなく、「恋人」でもなく、「恋人候補」なのが実に良い。友人や恋人というと、今までの「アイドルとプロデューサー」という関係とは別の何かになり、そこで終わってしまう。しかし、「恋人候補」であればここで終わりにはならない。「候補」から実際の「恋人」になるまでのプロセスがまだ残っているからだ。関係をしっかりと別のものにして終わらせるのではなく、「候補」として、未来を予感させる関係のまま終わる。こうすることで気持ちのいい余韻が感じられ、最高の幕引きになる。

終わりに

 今回は箱マスの水瀬伊織について書いたが、まだまだ私の知らない伊織の姿がたくさん存在している。とりあえず箱マスのアイドルのTrueエンドを全員分見たら、Live For You をプレイする予定だ。それが終わったら今度はPSP本体とアイマスSPを購入しようと思っている。アニメから765プロのアイドルを知ったが、こういった形で自分の中でのキャラクター像が深まっていくのは本当に楽しい。また琴線にふれるキャラやコミュがあれば文章を書くつもりだ。

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