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皇室

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#文化遺産

【批評】宮内庁書陵部所蔵資料目録・画像公開システム

はじめに  宮内庁は、皇室関係の事務を担当する内閣府所管の行政機関です。また、日本を文化財・文化遺産管理機関としての側面もあり、文化財専門部局である書陵部が設置されています。COVID19の影響により、書陵部が運営する宮内公文書館及び図書寮文庫は令和2年3月より臨時休館していましたが、令和3年10月より制限つきでの開館を再開しました。 この間、書陵部所蔵資料目録・画像公開システムの内容が大幅に充実されたことは朗報です。このシステムは、OPAC・デジタルアーカイブ・オンライ

儀礼の変容: 法隆寺における8世紀初頭の聖遺物と聖徳太子信仰の出現

聖徳太子の人物像 厩戸皇子は、第31代用明天皇の第2皇子で、「聖徳太子」の諡号で知られる人物です。昭和生まれの方々にとっては、旧一万円札の肖像として親しみがあることでしょう。叔母である第33代推古天皇の摂政として、冠位十二階や十七条の憲法をお定めになった他、大陸の技術を取り入れる目的で遣隋使を派遣されたことは、中学校や高校の教科書にも掲載されています。また、大陸より伝来した仏教の保護・普及にも積極的で、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている聖徳宗大本山・法隆寺(旧称・斑鳩寺