さよならが集まる駅

稽古の帰り、22時前くらい。
池袋や新宿などの大きな駅から帰ろうとすると、たくさんの人たちがサヨウナラをしている。

人がもちもちしていて歩きにくいったらないけど、そのもちもちが「また今度ね」とか「今日は楽しかった」とかが接着剤みたいになって、人と人とをくっつけていると思うとなんだか可愛らしくも思える。

特に金曜や土曜の夜だと尚更名残惜しそうな空気がとっぷりと狭苦しい改札前に沈澱していて、ぬかるみを歩く時みたいに歩きづらい。

私も学生たちと「お疲れ様」と言い合って、それぞれのホームへ別れる。

なんだか人混みを見つめていると、人と人との間には関係があるんだなあと当たり前のことを思う。
明日も会う人も、もうしばらく会わない人も、次いつ会えるかわからない人もいる。それについてそれぞれの感情もある。それらが集合して、目的があって町になっている。

夜の駅はさよならが集まる場所。

今日もどことなく名残惜しさが漂って、
改札前にもちもちを作る。

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