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あすなろの手紙~俳句を添えて~ 鶫 32

これは、俳句を通じて知り合ったnote俳句界の妹弟きょうだい、alohaさんと鮎太さんと共に紡ぐ、俳句を添えた公開往復書簡である。

aloha様、鮎太様

 もう三月が終わってしまうなんて、と書こうと思ったのだけれど、なんだか毎回時間の早さを書いているような気がしますね。最近は、日々最大限に時間を大切に過ごしている実感があるので、時間の流れは早いけれど、できるだけのことはやっている、と思えているのが有難い。

 さて、今回の鮎太さんからのご質問は「自画像を描くならばどんなポーズ?」。ご存知のとおり私は絵を描くのだけれど、自画像を描こうと思ったことはないので(アイコンすらイヌワシですから)少し考えてしまいました。
 多分、横顔のアップかな。絵を描いているか、本を読んでいるか、少し俯き加減の、何かに集中している横顔。なんとなく、それが一番自分らしい気がします。何をしているのか想像を膨らませられるように、あえて手元は描かない。

 ロハさんからのご質問は「春の遠足の思い出」。それがね、遠足の思い出はあるのですけれど、私の通った幼稚園や学校は、軒並み秋の遠足が多かったように思います。春ってあったかなあ。だから代わりに、中学校の美術部の遠征ことをお話しします。
 どこかでも書いたのだけれど、私の家は両親が自分たちの学歴コンプレックスから子供たちの教育に熱心で、中学校は運動部には入ってはいけないという謎ルールを課せられ(多分土日も練習だの試合だのなんだのあったから)、絵が好きだった私は美術部に入りました。ところがこの美術部が当たりで、担当の先生がとても良かった。
 経歴は知りませんが、本当に美術に造詣が深くて、中学校の部活で油絵の基礎を学べたのはこの先生のおかげだと思います。芸術家の話もたくさんしてくれました。
 そして毎年二回、春と秋の休日に、希望者だけ美術館に連れて行ってくれたのです。従来は上野辺りの美術館だったのですが、その年の春は、箱根彫刻の森美術館でした。
 いつもより遠くまで行った興奮と、少し前から好きになっていたピカソの展示があること、都内の美術館とは異なる緑の多く広々とした美術館に、なんだか夢の中にいるような一日だったのを憶えています。

野遊や鳥博士めく准教授    橘鶇

 居ますよね、仕事として専門でなくとも、ふと何かのきっかけで好きな分野になると熱く語る人。いや、その先生は准教授でもないし特に鳥には詳しくなかったけれど。なんだか、我が道をゆく教授感があって、当時私ととても気が合ったのです。
 私のことを最初に「かぐや姫」と呼んだのはこの先生です。「橘さあ、いつか月に帰っちゃいそうだよな」って。それからしばらくクラスメイトにかぐや姫と揶揄われました。実際はただの転校生だったんですけどね。

 今回の私からの質問は「普段使っている鞄について教えてください」。
 出かける時の荷物って、個性出ますよね。仕事の時、プライベートどちらでも、どちらともでも良いです。
 二人とも年度末の忙しい時期かも知れませんが、健やかに穏やかに過ごせますように。

快晴の青い青い空の下、強い風の音を聴いている長女
鶫より

鳥たちのために使わせていただきます。