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トトロのあのシーンを見て咽び泣くこの感情に名前をつけるとしたら


全く名前をつけられないから困ってます。

大学時代から通い続け、これまで優に100杯は食してきたであろうSAMAのスープカレーを啜りながら考える。
今日は調子に乗って15辛を頼んだところなかなか刺激的でスローペースでしか食べ進められないのでちょうど良かった。唇を腫らしながら、ぼけっと考えながら食べてたもんだからおそらく完食するのに1時間はかかってしまったわ。


◆26歳にしてトトロを初めてまともに見た

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タイトルにある、あのシーンというものがどこの場面を指すのかと言いますと、サツキとメイによって植えられた種がトトロのおかげで一瞬にして非現実的なまでの大木になり、しかし実際には次の日に現実的な大きさでちょびっと成長しているだけであり、それにもかかわらず姉妹でとっても大喜びするというシーンです。

大木になったあとみんなでつかまって大空を飛んでいるときにドミファファソミドミファファファシソのやつが流れるところは言うまでもなく鳥肌だったのですがやはりそれ以上に、次の日に何事も無かったように正常な大きさで成長した葉っぱを見て、それでもはしゃぐ姉妹の描写に私は嗚咽するほど爆泣きしました。


んで、なんでこのシーンで咽び泣いたのかを何となく頭の中では理解できているんだけれども全然文章化することができなくてぼけーっと考えていたわけです。


◆子供の純粋無垢な姿に大人ワイ、咽び泣いた説

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結論から言うともうこれが限界。ほらね、もう私の脳みそではこんな雑でシンプルな言葉しか思い浮かばんわけよ。もうガッカリね。このシーンへのこのクソデカ感情をうまく文章化してみたいだけの人生だった。しっかりと考察とか書ける人の才能に嫉妬する。


ところで皆様ご存知の通り私の座右の銘といえば、

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これなのはあまりにも有名なお話ですが実際のところこれは第2位くらいで、去年あたりに第1位が更新されました。


座右の銘第1位というのが、髙田郁先生の小説「みをつくし料理帖」の中のフレーズで出てくる

「いまこの瞬間を切り取ってそっと胸にしまっておきたい」という一文です。

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そもそも私は生粋のミステリーバカでありこれまでの人生ほぼミステリー小説しか読んでこなかったのですが、ある日母親にあんた時代小説も1回読んでみなさいと勧められてこのみをつくし料理帖に出会ったのです。


ミステリーバカ&未婚子無しの私にはやはりこの小説全体の雰囲気における、親が子を思いやる気持ちみたいなものがもうサッパリ理解出来なさすぎて全く共感できなかったのですが、唯一もう雷が落ちてきた衝撃のようにビリッとグサッと刺さった一文が「いまこの瞬間を切り取ってそっと胸にしまっておきたい」でした。

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私は旅行が大好きで生き甲斐であり国内外色々なところに行ってきましたが、やっぱり旅が始まってしまったらもう数日後には現実世界に戻ってこなくちゃいけないと考えてしまうから、旅行は計画を立てているときが一番楽しいのかなと思っていて。

ニューカレドニアで見たおっきな夕日が南太平洋に沈んでいく瞬間とか、知多の方で夜中に泥酔しながら海辺で見た満天の星空とか、もう全部結局明日になったら何事も無かったかのようにまた朝になってしまうから、本当にいまこの瞬間を切り取ってそっと胸にしまっておきたいとこれまで色々な場面で何度思ったことか。


あとは前の会社の上司がある日朝礼で言ってた「子供は先の不安を感じることが無いからみんなキラキラして見える」という言葉を思い出しました。

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ただでさえ朝礼がクソ長くてもう準備しないと間に合わないのに、この時間からまた更に小噺が始まるのか…?と思っていた時にこの話をしていたのをよく覚えています。


上司が朝の通勤途中地下鉄に乗った時に、今日はどこかへ少し遠出をするのか幼稚園児10人くらいの集団と同じ車両になったらしく、その時幼稚園児全員がみんなニコニコしていたらしいのね。
んで上司が、なんで子供ってこんなにキラキラしているんだろうと考えた結果、子供はこの先に起こりうることを考えないからみんなこんなに輝いて見えるんだろうと思ったと話していました。


みなさん日々やれ今月の成績が足りないだの締切が間に合わないだの先の不安ばかりを気にして死んだ目をしているから、一旦未来のことは考えずに子供のようにキラキラした目で今日の営業行ってらっしゃい!

みたいな感じでその日の朝礼は締められたはずで、その当時はいやいやそんなこと言われてもと思いながらいつも通りの濁った目で快速エアポートに揺られて営業に行ったけど、トトロを見てあのシーンのサツキとメイを見てなんかふと今思い出したわ。


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きっと大人の私があのシーンの中にいたら、木の上で笛を吹いている瞬間を切り取ってそっと胸にしまっておきたいとか言い出すだろうし、大木に成長した非現実的な場面ではああこれも明日になったら結局何事も無かったかのように現実世界に戻ってしまうんだろうな、またつまらない日常が始まるくらいならずっとこのまま時が止まって欲しいな、また仕事が始まったら今月のノルマあと何件だったっけとかぐちゃぐちゃ考え出してしまうんだろうけど、サツキとメイはどうだっただろう。


昨晩起きた出来事を名残惜しむことは一切せず、次の日にちっちゃな葉っぱが芽を出しているだけであんなに純粋無垢な姿で喜んでキラキラしていた。昨日の非現実的な出来事なんてまるで無かったかのように、ただ目の前にある現実の小さな幸せに全力で喜んでいる。


大人になって色々なことを考えるようになってしまった私には、あのシーンのサツキとメイのあまりにも真っ直ぐな姿が眩しすぎて咽び泣いてしまったのかもしれない。

だからトトロって大人には見えないようになってんのかな…



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