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虎に翼 第114話(原爆裁判原告の思い)

原爆裁判 昨日のつづきです。

※ 百合さんの認知症と優未の蹴りについてはここでは割愛。

昭和37年1月 山田轟法律事務所

(岩居が原告の一人・吉田ミキさんを連れてくる。翌日の公判で原告代表として法廷に立つ予定)
ナレーション>裁判の前日 原告の吉田さんが上京してきました。
(ショールを外しケロイド状になった肌を見せる吉田さん)
岩居>国側は吉田さんにとってつらい質問をしてくるでしょうが、我々がお守りしますので安心してください。
吉田>平気です。覚悟しております。

=その夜=
轟>いやーすいませんねー。何しろ我々も先立つものがなくて。汚いところですがゆっくりお休みください。やあやあ、おかげさまでこちらも恋人の家に泊まる大義名分が出来ましたね。
※って。えっ。広島から来てくれた大事なお客様を事務所に泊めるつもり?
吉田>(よねを見ながら)あなたきれいね。りんとしている。
よね>どうも。
吉田>私 美人コンテストで優勝したこともあるの。自分で言っちゃうけど誰もが振り返るほどの美人だった。きょう上野駅に降り立ったとき、それを思い出したわ。振り返る人の顔つきは違ったけれどね。(※)
(※)若い頃と今(被爆する前とあと)で周囲の人の反応は明らかに違ったと言うことだと思われる。羨望のまなざしか哀れみのまなざしか。
そういう「かわいそうな女」の私がしゃべれば、同情を買えるってことでしょ? まあでも、他の誰かにこの役を押しつけるのも気が引けるしね。仕方ないわ。
(副音声:吉田の視線の先に、壁に書かれた憲法第14条)
吉田>差別されない…。どういう意味なのかしらね?

よね>やめましょう。
吉田>えっ?
よね>無理することはない。
吉田>あっ…心配しないで。ちょっと弱気になっただけよ。
よね>私の相棒(=轟)はもともと反対していました。あなたを矢面に立たせるべきではない。たとえ裁判に勝ったとしても苦しみに見合う報酬は得られない(※)と。
吉田>でも、私が前に立たなきゃ負ける。だから何度も私たちにお願いしてきたんでしょ?
よね>声を上げた女にこの社会は容赦なく石を投げてくる。傷つかないなんて無理だ。だからこそ、せめて心から納得して自分で決めた選択でなければ。
(副音声:吉田を見つめるよね。こらえきれずうつむく吉田。)
吉田>(泣きながら)でも私伝えたいの…。聞いてほしいのよ…。こんなに苦しくてつらいって…。
よね>その策は考えます。だから…。
吉田>ごめんなさい…。ごめんなさい…。
よね>あなたが謝ることは何もない。何もないんだ。

(※)提訴時点での請求金額は原告一人当たり20~30万円。原告全面勝訴になったとしても、轟が言っていた一生苦労しないで済むには到底満たない。

公判当日 東京地裁

漆間>当事者尋問取りやめですか。
汐見>ええ 原告代理人が手紙を代読するそうです。

=法廷=
轟>(手紙を読む)「私は広島で爆心地から2キロの場所で被爆しました。21になったばかりの頃でした。体が燃えて皮膚はボロボロになり顔に頭、胸、足に被害を受けました。(途中で吉田が語っている映像に切り替わる)
吉田>娘を産んだ際、原爆で乳腺が焼けて乳をやれず…。夫は私が3度目の流産をしたあと家を出ていきました。ただ人並みに扱われて穏やかに暮らしたい。それだけです。
轟>助けを求める相手は国以外に誰がいるのでしょうか。」
(※映像はうつむく被告代理人・反町)
ナレーション>原爆裁判は翌38年の3月に最終弁論が行われ、あとは判決を言い渡すだけとなりました。

法廷だけで約4年。準備手続きも含めると約8年の歳月を要した原爆裁判はついに結審。明日金曜日(今週の最終回)なので、そこで原爆裁判に対する判決が言い渡されるものと思われます。
個人的にはもうちょっとじっくり掘り下げて描いてほしかった気もしますが、法廷シーンはかなり見応えがあったのではないかと。
(正直、原爆裁判が実質1週で終わるなんて思わなかったんだよ…)

とはいえ、法廷での弁論が終わったここからが裁判官の出番であり、寅子たちがどのような判決を下すのかに注目したい。本当はその過程だけでも家族の認知症とかの別の問題と切り離してじっくり描いてほしいのだけど…。

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