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アオスジアゲハと2人の魔法使い
「こちら、星の魔法使い。
月の魔法使い様、貴方の蝶々が鳴きません。貴方の声が聴こえません。どうか声を聴かせていただけませんか、どうか。どうか」
「…こちら、月の魔法使い。
星の魔法使い、これから君は一人で歩いて行くのです。その蝶を君に預けましょう。それはいつも君を守るでしょう。その旅路に、どうか幸多からんことを」
それきり、星の魔法使いの蝶はしんと黙ってしまいました。どれだけ泣いても、蝶はじっと止まったままその美しい羽を開いたり、閉じたりするだけです。星の魔法使いは心を決めなければなりません。
僕はどうすれば良いのだろう。
月の魔法使いはいつも言いました。歩き続けなさいと。
そうして夜が明け朝焼けの差す光の中、星の魔法使いは歩き始めました。
これは独り立ちの時。
しっかりと地面を踏みしめて、自分だけの道を、蝶と共に彼は歩いて行くのです。
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